業務改善助成金


業務改善助成金は、中小企業・小規模事業者の業務改善を国が支援し、労働者の賃金引上げを図るために設けられた制度です。
2024年の最低賃金は、全国加重平均で過去最大となる51円の引き上げが実施され、すべての都道府県で最低賃金が950円を超えました。地方においては、慢性的な人手不足や若年層の流出といった課題が深刻化しており、賃金水準の引き上げは避けて通れない重要なテーマとなっています。
キヤノンシステムアンドサポートでは、お客さまにあわせた助成金活用のご提案、業務改善のお手伝いをさせていただきます。
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本ページの内容は、2025年6月時点の情報です。
業務改善助成金とは
業務改善助成金は、中小企業・小規模事業者が生産性向上に資する設備投資(例:機械設備の導入、コンサルティングの活用、人材育成・教育訓練など)を行い、かつ事業場内最低賃金を一定額以上引き上げた場合に、その設備投資等にかかった費用の一部を助成する制度です。
業務改善助成金のメリット
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賃上げコストの大幅軽減
賃上げ幅対象人数に応じて、最大600万円まで助成されます。基本要件を満たせていれば、原則として100%の受給となりますので、企業の負担を大きく軽減できます。
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業務効率化・生産性向上の支援
生産性向上のための設備投資により、自動化やデジタル化によって、業務のスピードと正確性が向上します。助成金により、財務的なリスクを負うことなくさまざまな設備投資に取り組めます。
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従業員のモチベーション向上
賃上げにより従業員の満足度が上がり、離職率の低下や人材確保にも貢献します。また、快適な職場環境の整備も支援対象となる場合があり、職場全体のパフォーマンス向上にもつながります。
業務改善助成金の支給要件
業務改善助成金の申請対象者は以下のとおりです。
- 中小企業・小規模事業者であること
- 事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額がプラス50円以内である従業員がいること
- 会社都合による解雇、賃金引き下げなどの不交付事由がないこと
業種 | A 資本金または出資額 | B 常時使用する労働者 | |
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小売業 | 小売業、飲食店など | 5000万円以下 | 50人以下 |
サービス業 | 物品賃貸業、宿泊業、医療、福祉、複合サービス事業など | 5000万円以下 | 100人以下 |
卸売業 | 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
その他の業種 | 農業、林業、漁業、建設業、製造業、運輸業、金融業など | 3億円以下 | 300人以下 |
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AまたはBの条件に当てはまる場合、中小企業と見なされる
以上の要件をすべて満たした場合に、工場・事務所など、それぞれの事業場ごとに申請いただきます。
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事業場:事業場の適用範囲は、原則として同じ場所にある場合は一つの事業場とみなされますが、異なる場所や労働状態が異なる場合は別々の事業場とみなされます。
助成対象経費
助成対象事業場における、生産性向上に資する設備投資等が助成の対象となります。
また、一部の事業者については、助成対象となる経費が拡充されます。
経費区分 | 対象経費の例 |
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機器・設備の導入 |
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経営コンサルティング | 国家資格者による、顧客回転率の向上を目的とした業務フロー見直し |
その他 | 顧客管理情報のシステム化 |
助成上限額
助成上限額は以下のとおりです。
引き上げる最低賃金額及び引き上げる労働者の人数によって助成上限額が変わります。
コース区分 | 事業場内最低賃金の引き上げ額 | 引き上げる労働者数 | 助成上限額 | |
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事業場規模30人以上の事業者 | 事業場規模30人未満の事業者 | |||
30円コース | 30円以上 | 1人 | 30万円 | 60万円 |
2~3人 | 50万円 | 90万円 | ||
4~6人 | 70万円 | 100万円 | ||
7人以上 | 100万円 | 120万円 | ||
10人以上※ | 120万円 | 130万円 | ||
45円コース | 45円以上 | 1人 | 45万円 | 80万円 |
2~3人 | 70万円 | 110万円 | ||
4~6人 | 100万円 | 140万円 | ||
7人以上 | 150万円 | 160万円 | ||
10人以上※ | 180万円 | 180万円 | ||
60円コース | 60円以上 | 1人 | 60万円 | 110万円 |
2~3人 | 90万円 | 160万円 | ||
4~6人 | 150万円 | 190万円 | ||
7人以上 | 230万円 | 230万円 | ||
10人以上※ | 300万円 | 300万円 | ||
90円コース | 90円以上 | 1人 | 90万円 | 170万円 |
2~3人 | 150万円 | 240万円 | ||
4~6人 | 270万円 | 290万円 | ||
7人以上 | 450万円 | 450万円 | ||
10人以上※ | 600万円 | 600万円 |
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10人以上の上限額区分は、特例事業者が対象です。
引き上げのルール
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全ての労働者の賃金を新しい事業場内最低賃金以上まで引き上げる必要があります。
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賃金を引き上げる労働者数に応じて助成上限額が変動します。(上表参照)
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事業場内最低賃金の者以外でも、申請コースの額以上賃金を引き上げた場合は引上げ人数にカウントされる場合があります。
助成率
助成率は以下のとおりです。
申請を行う事業場の引き上げ前の事業場内最低賃金によって、助成率が変わります。
1,000円未満 | 4/5 |
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1,000円以上 | 3/4 |
助成金額の計算方法
生産性向上に資する設備投資等にかかった費用に一定の助成率をかけた金額と、助成上限額を比較し、いずれか安い方の金額が、助成金額となります。
例
- 事業場内最低賃金が980円→助成率4/5
- 8名の労働者を1,070円まで引き上げ(90円コース)→助成上限額450万円
- 設備投資等の額は600万円

特例事業者
以下の要件に当てはまる場合が特例事業者となります。なお、(2)に該当する場合は、助成対象経費の拡充も受けられます。
(1)賃金要件 | 申請事業場の事業場内最低賃金が1,000円未満である事業者 |
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(2)物価高騰等要件 | 原材料費の高騰など社会的・経済的環境の変化等の外的要因により、申請前3か月間のうち任意の1か月の利益率が前年同月に比べ3%ポイント以上低下している事業者 |
申請期限と賃金引き上げの期間
申請期間 | 賃金引き上げ期間 | 事業完了期限 | |
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第1期 | 令和7年4月14日~ 令和7年6月13日 |
令和7年5月1日~ 令和7年6月30日 |
令和8年1月31日 |
第2期 | 令和7年6月14日~ 申請事業場に適用される地域別最低賃金改定日の前日 |
令和7年7月1日~ 申請事業場に適用される地域別最低賃金改定日の前日 |
令和8年1月31日 |
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賃金引き上げは、申請日より後に行う必要があります。
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第3期以降の募集がある場合、発表され次第お知らせいたします。
助成金支給の流れ

事業場所在地を管轄する都道府県労働局に対し、所定の様式で交付申請を行っていただき、労働局による申請内容の審査を経て交付決定がなされたら、申請内容に沿って事業を実施します。
事業完了後、労働局に事業実績報告と助成金支給申請し、労働局による報告内容の審査を経て、助成金が支給されます。
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事業場内最低賃金の引き上げおよび設備投資については、これから実施するものが助成の対象となります。
よくあるご質問
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Q1申請に関してのアドバイスを受ける際は、有償ですか?
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A1
リモートによる制度概要のご説明の実施は無償で承っております。
業務改善助成金は就業規則の改定などもあり、申請に関してはお客さまご自身もしくは社労士さまが代理申請可能となります。
弊社にて専門家のご紹介も可能ですので、一度ご相談ください。 -
Q2リースは補助対象ですか?
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A2
リースも補助対象となります。ただし事業実施期間内における一括払いが条件となります。
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Q3ハードウエアは補助対象ですか?
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A3
ハードウエアの購入費用も補助対象経費となります。
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Q4パソコンの導入も補助対象となりますか?
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A4
特例事業者に認定されれば補助対象経費として認められます。
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特例事業者とは
原材料費の高騰など社会的・経済的慣行の変化等の外的要因により、申請前3か月間のうち任意の1か月の利益率(売上高総利益率又は売上高営業利益率)が、前年同月に比べ、3%ポイント以上低下している事業者
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Q5申請はどのようにするのですか?
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A5
jGrantsによる電子申請もしくは、紙媒体による申請も可能です。
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提出先は各都道府県の労働局となり、丁寧なアドバイスを受けられると聞いておりますので書類お持ち込みによる申請をお勧めしております。
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jGrantsとは、デジタル庁が運営する補助金の電子申請システムです。国や自治体の補助金が、オンラインで申請できます。
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