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従業員と連絡が取れない場合の給与支給について

従業員が入社後、数日だけ勤務して、連絡が取れなくなってしまいました。数日勤務した分の給与は発生していますが、振込先口座がわからないため、この場合は支払わなくても問題ないでしょうか。

労働基準法第24条において、賃金は、(1)通貨で、(2)直接労働者に、(3)全額を、(4)毎月1回以上、(5)一定の期日を定めて支払わなければならないと規定されています。(賃金支払いの五原則)
事業主にはこれにのっとって賃金を支払う義務があり、勤務がごく短期間であっても、労働者との連絡が取れない場合であっても、その義務が免除されることはありません。

ご相談のケースにおいては、労働者と連絡が取れず、振込先も分からないことから、まずは給与計算をした上で給与明細を会社で保管しておき、労働者と連絡が取れた際には、直ちに支払い可能な状態にしておきます。
また、ご家族に連絡をしたり、住所を把握している場合には書面を送ったりと、可能な限りの対応をします。ご家族と連絡が取れている場合には、代わりにご家族に支払えば問題ないと思われるかもしれませんが、上記(2)直接払いの原則があるため、本人以外に支払うことはできません。

なお、賃金の支払いには時効の定めがあります。
賃金請求権の消滅時効は、当分の間3年(退職金は5年)であるため、3年が経過した時点で労働者から支払い請求がない場合は、請求権の時効となり、賃金支払いの義務も消滅します。

また、遅滞なく賃金の支払いができるよう、振込先口座は入社時に速やかに確認すると良いでしょう。

著者プロフィール

アクタス社会保険労務士法人
スタッフ約200名、東京と大阪に計4拠点をもつアクタスグループの一員。
アクタス税理士法人、アクタスHRコンサルティング(株)、アクタスITソリューションズ(株)と連携し、中小ベンチャー企業から上場企業まで、顧客のニーズに合わせて、人事労務、税務会計、システム構築支援の各サービスを提供しています。

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