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Peppolとは?
紙の請求書からデジタルインボイスへの変革

  • 会社の処方箋

2025年4月1日

ビジネスのデジタル化が急速に進む中、紙の請求書からデジタルインボイスへの移行が注目されています。その中心にあるのが、世界標準規格であるPeppol(ペポル)です。本コラムでは、Peppolの基本的な仕組みや導入のメリットについて解説します。

Peppol(ペポル)とは

Peppolとは、国際的な標準仕様として設計された電子データのやり取りを可能にするためのネットワークです。ベルギーに本拠地を置く非営利団体であるOpen Peppolが管理しており、現在35カ国以上で利用されています。Peppolは、「4コーナーモデル」という仕組みに基づいており、売り手や買い手をアクセスポイントで接続することで、異なるシステム間でもスムーズな連携を実現します。

図:Peppol(ペポル)とは

日本でもデジタル庁やデジタルインボイス推進協議会(EIPA)を中心に導入が進められており、2023年10月に施行された適格請求書等保存方式(インボイス制度)に対応する形で普及が進んでいます。Peppolは、経理業務の効率化や取引の負担軽減、さらにはテレワーク環境の推進など、企業の電子取引に多くのメリットをもたらすことが期待されています。

紙の請求書からデジタルインボイス(Peppol e-invoice)へ

デジタルインボイスとは、請求書データを紙媒体ではなく電子形式で作成・共有・管理する仕組みです。従来の紙の請求書では、印刷、郵送、保管といったプロセスが必要でしたが、デジタルインボイスは、これらを電子的に処理することで効率化を図ることができます。
また、電子データ形式のため、適格請求書や仕入明細書といった会計処理に必要なデータが、正確かつ迅速に交換されることが特長です。さらに、異なるプラットホームが規格に準拠することで、普及が進んでいます。

図:紙の請求書からデジタルインボイス(Peppol e-invoice)へ

デジタルインボイスのメリット

デジタルインボイスの導入には、事業者にとって多くのメリットがあります。

  • ペーパーレス化によるによりコスト削減と環境負担軽減
  • データが電子化されることで改ざん防止やセキュリティ向上
  • 法令順守が容易になり、適格請求書などの記録保存が効率化

このようなメリットにより、経理業務の効率化やテレワークの推進が促進され、取引の透明性が向上します。特に国際的に統一されたPeppol規格の電子インボイスは、国境を越えた取引を容易にすると期待されています。

中小企業が抱えるPeppol導入のハードル

Peppolの普及が進む中で、中小企業はその導入に対していくつかの課題を抱えています。

コスト面
Peppolを活用するためには、システム導入やプロバイダー契約が必要となるため、初期投資額や運用コストが中小企業にとって大きな負担になることがあります。特に、既存の会計システムや業務フローにPeppol対応の機能を追加するには、企業規模に関わらず一定の予算や専門知識が必要です。
異なるシステム間の連携における課題
Peppolは国際標準規格に基づいて設計されているため、各事業者が利用する既存のシステムをどのように対応させていくかが重要です。導入している会計ソフトや独自の業務プロセスとの互換性や調整に時間とコストがかかる場合があります。
デジタル化への抵抗感
中小企業の中には、従来の手書きや紙媒体の請求書に依存して業務を行っている事業者も少なからずおり、Peppolの導入に対する心理的な障壁があります。このような事業者にとって、新しい仕組みの理解や運用には慣れが必要であり、教育やサポート体制が重要となります。

これらの課題に対して、デジタル庁をはじめとする関連機関やプロバイダーは、中小企業へのサポートプログラムの展開、低コストの導入支援サービスの提供、法令順守に関する具体的なガイドラインの整備を進めています。今後、こうした取り組みを通じて、Peppolの普及とともに中小企業がそのメリットを享受できる環境の整備が期待されています。

デジタルインボイス導入による経理業務の変化

デジタルインボイスを活用することで、請求業務が効率化され、コスト削減や業務の透明性が向上します。例えば、請求データの作成から送信、受領、会計システムへのデータ登録までを一貫して自動化できます。この仕組みは、業務の効率化を図ると同時に人的ミスを削減します。さらに、適格請求書の要件に適合した電子データを活用すれば、法的な正確性も確保できます。結果、異なるシステム間の連携が深まり、データ入力やチェック作業に費やす時間が大幅に短縮されます。

従来の会計処理との違い

従来の会計処理は、紙媒体の請求書を手作業で確認し、システムへ個々に入力する方法が主流でした。しかし、デジタルインボイスの活用により、取引情報が直接システムに取り込まれるため、入力ミスのリスクが軽減されます。また、異なるシステム間での連携が容易になるため、事業者同士の取引がスムーズになります。これにより、経理担当者は、単純なデータ入力作業から解放され、経営分析や戦略的な業務へ時間を割けるようになるのです。

図:従来の会計処理との違い

まとめ

Peppolを利用することで、経理業務の効率化や法令順守が促進されるほか、テレワーク時代の働き方にも適応しやすくなります。しかし、中小企業を中心に導入コストや運用面での課題は残されており、これら課題を解決する取り組みが必要です。さらに、デジタル電子インボイスの保存や運用においては、安全性や利便性を高めるクラウドシステムの活用が推奨されています。
今後、デジタルインボイスがさらに普及するためには、多くの事業者がPeppolによる標準仕様を受け入れ、業務効率の向上や国際的な取引のしやすさを実感できる環境づくりが求められます。これにより、日本における経理業務のデジタル化が進み、取引全体の効率と透明性が向上することが期待されています。

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