住まいにたとえてわかる、中小企業のセキュリティ対策
「セキュリティ対策ソフトは入れているけれど、それだけで本当に十分な対策ができているのか」「ランサムウエアの被害にあった話をよく聞くが、何から対策すればいいかわからない」
そんな不安を感じている中小企業の方に向けて、社内のセキュリティ対策を“住まい”にたとえて解説します。
住宅の防犯が、鍵・エントランス・警備・防火・監視カメラといった複数の対策を組み合わせて成り立っているように、企業の情報セキュリティも、ひとつに頼らず重ねて守る「多層防御」の考え方が重要なポイントです。
中小企業がまず整えたい社内セキュリティ対策
| 想定される攻撃・リスク | 起こり得る被害 | 対策の考え方 | 主な対策 |
|---|---|---|---|
| マルウエア感染 | 情報漏えい | 端末の入り口を守る | セキュリティ対策ソフト |
| 不正アクセス | 社内ネットワーク侵入 | ネットワーク入り口を守る | UTM |
| 未知の攻撃 | 気づかない侵入・被害 | 怪しい動きに気づく | 未知脅威対策ソフト |
| 被害の拡大 | 社内全体への感染 | 被害を広げない | 脅威拡散防止スイッチ |
| 内部不正・操作ミス | 情報持ち出し・データ消失 | いつ・だれが・何をしたか記憶 | クライアント運用管理 |
こちらは、優先して対策すべき社内セキュリティ一覧です。
想定される攻撃から被害を防止するために、不足している対策がないか社内のセキュリティ環境をぜひ見直してみてください。
それぞれの対策について、このあと住まいにたとえた図解で説明します。
住まいにたとえる社内セキュリティ対策 「図解で理解」
各住戸の鍵|ウイルス対策ソフトによる入口対策
社内のセキュリティ対策を考えるうえで、まず欠かせないのがセキュリティ対策ソフトによる入口対策です。外部から侵入しようとするマルウエアを検知・ブロックする役割を担い、企業の情報を守るための基本となる対策といえます。
しかし、近年のサイバー攻撃は年々巧妙化しており、セキュリティ対策ソフトを導入しているだけではすべての脅威を防ぎきれないケースも増えています。
マルウエア対策はあくまで重要な入口対策のひとつであり、それだけで安心できるわけではありません。
これを住まいにたとえると、セキュリティ対策ソフトは「鍵のついた扉」にあたります。
扉に鍵がかかっているため、犯罪者(マルウエア
)の侵入を防ぐことは可能です。
しかし、扉の前まで犯罪者が来ている状態であるため、鍵を破壊されたり、ちょっとした隙を突かれて部屋の中まで侵入されてしまう可能性があります。
そのため、扉の鍵だけに頼るのではなく、建物の入口全体を守る仕組みを考える必要があります。




キチ君
悪い人です。セキュリティ対策ソフトのパターンファイルに登録されている既知のマルウエア
を表します。
まいこちゃん
マンションの住人です。企業として守るべき大切な情報(マイナンバーや個人情報)や資産を表します。
このように、セキュリティ対策ソフトは社内セキュリティの入口対策として欠かせません。
まずは、自社の環境に合ったセキュリティ対策ソフトを導入することが重要です。
入口対策として導入したいセキュリティ対策ソフト
エントランスのゲート|UTMによる不正通信の遮断
社内のセキュリティ対策を考えるうえで、セキュリティ対策ソフトに加えて重要になるのが、社内ネットワークの入口を守るUTMによる対策です。外部から社内に出入りする通信をまとめて監視・制御し、不正なアクセスや危険な通信を社内に入れない役割を担います。
UTMを導入することで、社内ネットワーク全体を俯瞰した入口対策が可能となり、複数の脅威に対して効率的に備えることができます。社内セキュリティを強化するうえで、非常に有効な対策といえるでしょう。
住まいにたとえると、UTMはマンションのエントランスに設置されたセキュリティゲートのような存在です。住人や宅配業者を装ってマンションに侵入しようとする犯罪者の「怪しい動き」を見つけて、建物内への侵入をブロックすることが可能です。
ただし、近年のサイバー攻撃はさらに巧妙化しており、正規の利用者や通信を装って侵入するケースも見られます。セキュリティゲートがあっても、見た目や通行証だけでは危険人物かどうかを判断できない場合があるのと同様です。
まだ指名手配(パターンファイルに登録)されていない不審者、つまり未知の脅威や巧妙な攻撃に備えるためには、エントランス対策に加えて、建物内での不審な行動を見逃さない対策も重要になります。




キチ君
悪い人です。セキュリティ対策ソフトのパターンファイルに登録されている既知のマルウエアを表します。
まいこちゃん
マンションの住人です。企業として守るべき大切な情報(マイナンバーや個人情報)や資産を表します。
このように、UTMは社内ネットワーク全体を守るために欠かせないセキュリティ対策です。
自社の環境に合ったUTMを導入し、外部からの不正な通信に備えましょう。
社内ネットワークを守るためのUTM
まず導入したい基本のUTM
警備員の巡回|未知の脅威を検知する振る舞い検知
セキュリティ対策ソフトやUTMによって入口対策を強化していても、すべてのサイバー攻撃を完全に防ぎきれるとは限りません。正規の利用者や通信を装って侵入するなど、入口対策をすり抜ける巧妙な攻撃も想定しておく必要があります。
そこで重要になるのが、社内に入り込んだ後の挙動に着目し、「怪しい動き」をリアルタイムで監視し、攻撃の兆候を検知・分析して迅速に対処する仕組み(XDR/MDR)の構築です。あらかじめ登録された情報だけに頼らず、通常とは異なる操作や振る舞いを検知することで、まだ確認されていない未知の脅威にも対応します。
住まいにたとえると、マンション内を巡回する「警備員」のような存在です。住人や宅配業者を装ってマンションに侵入した犯罪者の「怪しい動き」をみつけて、被害が発生する前に対応することが可能です。まだ指名手配(パターンファイルに登録)はされていないため、見た目だけでは危険人物と判断できない不審者(未知の脅威)が行う犯罪を、未然に防ぐことができます。




まもる君
警備員です。怪しい行動を見逃しません。未知脅威対策ソフトの役割を擬人化しています。
ミチちゃん
住人を装った悪い人です。パターンファイルに登録されていない未知の脅威を表します。
まいこちゃん
マンションの住人です。企業として守るべき大切な情報(マイナンバーや個人情報)や資産を表します。
このように、入口対策をすり抜けた場合に備えて、建物の内部でも不審な行動を見逃さない仕組みを整えておくことが、社内セキュリティ対策では欠かせません。
未知の脅威から守る対策ソフト
まず導入したい基本の未知脅威対策
防火壁|感染後の被害拡大を防ぐ内部対策
多層的な防犯対策を行っていても、社内への侵入を許してしまう可能性を完全にゼロにすることはできません。そのため、被害が発生した場合でも、影響を最小限に抑えるための対策をあらかじめ講じておくことが重要です。
住まいにたとえると、防火壁、火災報知器のような存在です。
二次的な被害を最小限に食い止めるための防止策です。社内セキュリティにおいても同様に、脅威拡散防止スイッチは、万が一マルウエアなどが侵入した場合に、不正な通信や挙動を遮断し、被害が社内全体に広がるのを防ぐ役割を担います。被害の拡大を防ぐことで、業務停止や情報漏えいといった深刻な事態を回避しやすくなります。




ホノー
火です。社内に入り込んだマルウエアを表します。
まいこちゃん
マンションの住人です。企業として守るべき大切な情報(マイナンバーや個人情報)や資産を表します。
このように、入口対策や内部対策に加えて、被害を最小限に抑えるための「拡散防止対策」まで整えておくことが、社内セキュリティ対策では欠かせません。
被害拡大を防ぐための拡散防止対策
二次的な被害を最小限に抑えたい場合に
監視カメラ|操作ログ管理と内部不正の抑止
社内にいる利用者すべてが常に安全とは限りません。
内部不正や、意図せずルールに反した操作が行われる可能性も考慮する必要があります。
そこで重要になるのが、社内で「誰が・いつ・何をしたのか」を把握し、不審な操作やルール違反を見逃さないためのクライアント運用管理ソフトです。操作ログの取得や端末の利用状況の可視化により、問題が起きた際の原因追跡や、未然防止につなげる役割を担います。
住まいにたとえると、この対策はマンション内に設置された「監視カメラ」のような存在です。
建物内の住人が犯罪者であった場合はどうでしょうか。
他の住居への侵入を試みていないか、家財を盗み出したりはしていないかなどの監視として、マンション内に防犯カメラを設置しましょう。いつ・誰が・何をしたかを追跡したり、不審な動きには警報を鳴らすことで、犯罪防止・抑止効果につながります。




くうたくん
ビルの管理人です。システム管理者を表します。
ミチちゃん
住人を装った悪い人です。ウイルスのパターンファイルに登録されていない未知のウイルスを表します。
まいこちゃん
マンションの住人です。企業として守るべき大切な情報(マイナンバーや個人情報)や資産を表します。
このように、社内にいる利用者の行動を可視化し、問題が起こった際にすぐ把握・対応できる環境を整えておくことが内部リスクへの備えとして重要なポイントとなります。
社内の利用状況を見える化する内部監視対策
社内を一括管理し、内部不正を抑止したい場合に
なぜ中小企業にも本格的なセキュリティ対策が必要なのか
中小企業もサイバー攻撃の対象となっており、実際に約3割の中小企業が攻撃被害を経験しています。さらに、ランサムウエアの被害は前年比で約4割増えるほど急増しており、攻撃者は「セキュリティが弱くて侵入しやすい」企業を狙う傾向があるため、「うちは狙われない」という思い込みは非常に危険です。実際に、約7割の中小企業ではセキュリティ体制が整っていないことから、攻撃者にとって“入りやすい標的”になりやすい現状があります。
また、中小企業が被害に遭うと自社だけでなく約7割のケースで取引先にも影響が及ぶため、業務停止や信用失墜が連鎖し大きな問題になります。
つまり、会社の規模に関係なく、中小企業であっても被害は現実に起こり、その影響は大きく広がるため、「狙われる前提で備える」本格的なセキュリティ対策が必要不可欠なのです。
出典:
中小企業の社内セキュリティ対策でよくある質問
-
Q1セキュリティ対策ソフトだけでは不十分?
-
A1
不十分です。 セキュリティ対策ソフトの更新を行っている企業は7割以上ありますが、
- 脅威情報の共有(37.9%)
- 社内ルール化(39.2%)
- 緊急時の体制整備(39.8%)
など、組織的な対策が大きく不足しているとIPAは指摘しています。
また、幅広い対策を実施している企業ほど、サイバー被害が発生していない傾向が確認されており、ウイルス対策単独では防御が不十分であることが示されています。出典:
-
Q2社員数が少なくても必要?
-
A2
必要です。 中小企業はセキュリティ体制が弱い企業が多く、攻撃者にとって「侵入しやすい標的」になりやすいことが調査で明らかになっています。実際に、サイバー攻撃被害の7割が取引先へ影響(サイバードミノ)を起こしており、小規模な企業でも被害が自社にとどまらず、周囲に大きな損害を与えるリスクがあります。さらに、インシデントの復旧費用は数百万円~数千万円規模に上るケースもあり、小規模企業ほど経営に重大な影響を受けやすい状況です。
-
Q3ガイドライン作成なども可能?
-
A3
可能です。
独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)は「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」を公開しており、- 情報セキュリティ基本方針
- 5分でできる!情報セキュリティ自社診断
- インシデント対応手引き
などが提供されています。
弊社では、それらに準拠した基本方針の作成支援から、社内セキュリティルールの作成をしています。
社内セキュリティ対策は「家を守る」発想で考える
家を守るためには複数のセキュリティ対策が必要なように、社内のセキュリティ対策もひとつの製品に頼らず重ねて守る「多層防御」が必要です。
まずは社内の「どこが無防備か」を知ることが、さまざまな攻撃から被害を防ぐための第一歩となります。
この機会に攻撃されてしまう隙がないか、社内の環境をぜひ見直してみてください。
住まいにたとえてわかる、中小企業の社内セキュリティ対策についてのご相談・お問い合わせ
キヤノンシステムアンドサポート株式会社





