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クラウドPBXが可能にするストレスフリーな電話応対

  • 会社の処方箋

2025年6月10日

「固定電話機のあるオフィスでしか仕事ができない」「在宅勤務が増え、電話転送の手間や対応遅れが発生している」、このような課題を解決するために、クラウド活用が注目されています。本コラムでは、電話応対に着目し、さまざまな課題から効果的なクラウド活用のポイントまでご紹介します。

電話応対における課題

テレワークやサテライトオフィスなど柔軟な働き方が広がる中、これまでのような電話応対の仕組みでは、場所にとらわれずにスムーズなコミュニケーションを取ることが難しくなっています。
特に中小企業では、人手不足により電話応対専門の人材を確保することが難しく、社員が持ち回りで出社するなど、テレワークの効果が十分に発揮されない・テレワークがそもそもできないケースがあるのではないでしょうか。これでは、電話を取るためだけに誰かが出社しなければならない状況が生まれてしまいます。
以下に、企業が直面しやすい具体的な課題をいくつか挙げています。貴社に該当するものがないか、確認してみましょう。

頻出する課題

お客さま応対業務
  • 担当者が不在の場合、折り返し対応が遅れ、商談機会を逃してしまう
  • 出社している社員では電話が受けきれず、お客さま満足度が低下している
  • お客さまからの申し込み受付時、通話録音等の証跡が無く、「言った・言わない」の齟齬(そご)でクレーム化している(カスハラ)
社内外のコミュニケーション課題
  • テレワークが増えたことで、各拠点の電話が受けきれず、転送が手間
  • 個人携帯からの発信でプライバシーが守れない
端末・通話の利用コスト
  • 個人携帯を業務で使用しているため、通話料が個人負担、かつ経費精算も煩雑
  • 業務用携帯電話の管理の手間や費用が増えている
フリーアドレス化・音声設備
  • 固定電話のある場所でしか仕事ができないため非効率
  • 老朽化、レイアウト変更による機器の購入や業者への依頼が発生
  • 通信インフラが止まると業務継続が困難になる

いくつ該当しましたでしょうか。
こうした課題に直面している企業にとっても、顧客との初期接点としての役割や、信頼感のある窓口として、代表電話の機能は依然としてビジネスにおいて重要です。
そこで、代表電話を完全に廃止するのではなく、クラウドPBXを活用して効率化・最適化するという方向性が主流になりつつあります。以下より、クラウドPBXについてみていきましょう。

クラウドPBXとは

クラウドPBXとは、従来、オフィス内に設置していた電話交換機(PBX)をクラウド上で提供するサービスのことです。インターネットを通じて電話の発着信や内線通話、転送などを行えるため、場所にとらわれない柔軟な電話運用が可能になります。例えば、社員が自宅にいながら会社の代表番号を使って発着信が可能です。
すでにテレワークを導入している企業や拠点が複数ある企業(支店・営業所など)、中小企業で電話応対の人手が限られている企業などにおすすめとされています。

項目名 従来のPBX クラウドPBX
設置場所 オフィス内に物理機器が必要 インターネット経由でクラウド上に構築される
利用端末 固定電話機が必要 PC・スマートフォン・タブレットで通話可能
内線通話の範囲 社内のみ 全国・海外でも内線通話が可能
保守・管理 自社で機器の保守・管理が必要 ベンダーがクラウド上で一括管理
拡張性・柔軟性 拡張には機器の追加や工事が必要 ユーザー追加や設定変更が柔軟・迅速に可能
コスト 初期費用・保守費用が高い 初期費用が抑えられ、保守費用も低減
災害・緊急時の対応 機器が故障すると通話不能 インターネット環境があればどこでも業務継続が可能

さらに、自動応答やコールキューといった機能も備えているため、電話業務の効率化が期待できます。働き方の柔軟性を広げつつ、通話管理をスマートに整えることができる点で、クラウドPBXはまさに働き方改革を支えるツールです。

自動応答

代表番号にかかってきた電話に対し、アナウンスを流し、ダイヤルに設定された番号へ自動で割り振る機能です。(0~9、#、*に設定可能)
例えば、「1」を押すと営業部、「2」を押すとサポート窓口につながるように設定できます。また、営業時間外には「ただいまの時間は営業時間外です」といったメッセージを流すことも可能です。
このように、電話応対を自動化することで、担当者が不要な対応に追われることなく、本来の業務に集中できるようになります。

利用可能シーン

  • 休日、営業時間外の自動転送
  • ボイスメール代わりのアナウンスメント
図:自動応答

コールキュー

着信した電話を自動的に管理する機能です。オペレーターが対応中の場合でも、着信した電話を保留状態にして、次に対応可能な社員が空くまで待機させることができます。この機能により、多数の着信があった場合でもお客さまを取りこぼすことなく対応でき、顧客満足度の向上が期待されます。さらに、社員のスキルや対応可能な件数に応じて、着信の割り当てを最適化することも可能です。これにより、効率的な顧客対応体制を構築できます。

利用可能シーン

  • カスタマーサポートやキャンペーンの問い合わせ窓口
  • ヘルプデスク受付
  • オフィスの受付電話
図:コールキュー

上記の機能のみならず、AI技術やIoT連携可能なPBXもあります。
例えば、AIが会話の内容を分析し、重要なポイントをリアルタイムで記録・通知する機能などが挙げられます。これにより、会話が長引いた場合でも手間なく内容を把握でき、迅速な対応が可能になります。
IoT技術との連携では、電話の発着信状況を基に会議室の空き状況の自動管理や、センサーを通じてオフィス内の社員の動きを把握して最適なコミュニケーションツールを提案するといった活用が可能です。
これらの仕組みは企業の業務効率化だけでなく、社員の業務負荷軽減にも貢献します。

クラウドPBXを選ぶポイント

クラウドPBXは、現在多くの事業者から提供されており、それぞれに異なる機能や強みがあります。そのため、自社の業務スタイルやニーズに最適なサービスを選ぶことが重要です。ここでは、クラウドPBXを選定する際に押さえておきたい4つのチェックポイントを取り上げ、解説します。

  • 現在の電話番号が使えるか事前に確認する

    クラウドPBXに切り替える際、現在使用中の電話番号を継続利用できるかどうかは重要です。番号が変わる場合、取引先や顧客への周知が必要となり、案内文の作成・送付や郵送費などのコストが発生します。
    クラウドPBX事業者によって、引き継げる番号の種類が異なるため、導入前に必ず確認しておきましょう。

  • 社員の増加に柔軟に対応できるか確認する

    社員の増加に応じてアカウントや内線を柔軟に追加できるかを確認しましょう。対応できないサービスを選んでしまうと、一部の社員が電話を使えない状況が発生し、業務に支障をきたす恐れがあります。将来的な拡張性も視野に入れて選定することが大切です。

  • 誰でも使いやすく、どこでも使えるサービスを選ぶ

    クラウドPBXを社内に定着させるには、使いやすさと利便性が重要です。導入後、社員がスムーズに操作できるかどうか、UIのわかりやすさや音声品質、必要な機能の使いやすさを事前に確認しましょう。

  • セキュリティ対策が万全か確認する

    クラウドPBXはインターネットを通じて通話を行うため、セキュリティ対策は非常に重要です。万が一、通話内容が盗聴されたり、システムが不正アクセスを受けたりすれば、企業の信頼性に大きな影響を与えかねません。

    導入前には、以下のポイントを確認しましょう。

    • 通信の暗号化やアクセス制御など、十分なセキュリティ対策が講じられているか
    • サーバーが災害に強いデータセンターに設置されているか
    • ログ管理や監査機能が備わっているか

これらを満たすサービスを選ぶことで、安心してクラウドPBXを活用することができます。

まとめ

クラウドPBXの活用が、従来の電話応対体制が抱える課題を解決し、スムーズなやり取りに役立つことをお伝えしてまいりました。導入することで、柔軟な通話管理を目指す重要な一歩となります。最適なクラウドPBXを選択し、社員やお客さまにとってストレスフリーな電話応対を実現していきましょう。

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