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Windows Server 2012/2012R2サポート終了に伴う情報システムへの影響

  • 会社の処方箋

2023年6月29日

Windows Server 2012/2012R2のサポートが2023年10月10日に終了します。これに伴い、お使いのシステムにさまざまな影響を及ぼす可能性があります。本記事では、このサポート終了に伴う問題と対策についてご説明いたします。

サポート終了とは?

サポート終了をEOSとも言います。これは、END OF SUPPORTの略で「製品やサービスのサポート終了」のことです。
ハードウエアやソフトウエアは、サポート期間がメーカーによって定められているのが一般的です。もちろん、サポート終了の時期を迎えてもその製品自体が利用できなくなるわけではないため、サポート切れの状態で運用を継続することも可能です。しかし、ハードウエアの故障時に修理交換ができない、ソフトウエアのぜい弱性が放置されたままとなり、セキュリティ上非常に大きなリスクを抱えることになる。などの問題も発生します。
また、一言でサポートが終了すると言っても、その中には「メインストリームサポート」と「延長サポート」があります。まずはこの違いを理解しておきましょう。

  • ぜい弱性とは、コンピューターのOSやソフトウエアにおいて、プログラムの不具合や設計上のミスが原因となって発生した情報セキュリティ上の欠陥のことを言います。

    ぜい弱性は、セキュリティホールとも呼ばれます。ぜい弱性が残された状態でコンピューターを利用していると、不正アクセスに利用されたり、ウイルスに感染したりする危険性があります。
    総務省HPより抜粋

図:サポート終了とは?

メインストリームサポート

メインストリームサポートとは、Microsoft社がWindowsの発売後最低5年間に提供するサポート(保守などのサービス)のサイクルのうち、セキュリティ更新プログラムの提供や仕様変更といった主要なサポート業務を提供すること、または、そうした主要サポートを提供する期間のことです。Windows Server 2012/2012R2は、既に2018年10月9日にメインストリームサポートが終了しています。

延長サポート

メインストリームサポートが終了後、さらに最低5年の期間は「延長サポート」が提供されます。延長サポートが提供されている間は、セキュリティ更新プログラムの提供は継続されますが、その他の無償サポートは終了となります。
そしてWindows Server 2012/2012R2は、その延長サポート期間も2023年10月10日をもって終了となります。

サポート終了の影響

クラウドサービスが私たちのビジネスに浸透してきたとはいえ、Windows Serverは多くの中小企業にとって重要なシステム基盤となっています。しかし、延長サポートが終了した後も使い続けていると、以下のようなリスクが発生します。

周辺ソフトウエアのサポート終了

ドライバーやアプリケーションといった周辺ソフトウエアのアップデートやサポートも、同時終了となります。

  • サーバーにインストールしているソフトウエア(アンチウイルスソフトや業務システム)もサポート対象外となり不具合が起きる

業務効率や競争力への影響

Microsoft社のサポートがないため、トラブルが起きても自社で解決しなければならなくなります。

  • トラブル対応が難航し、ビジネスが止まってしまう
  • 新しい機能や最新のテクノロジーへの対応も制限されるため、業務効率や競争力が落ちる

セキュリティリスク

修正プログラムが配布されず、ぜい弱性が放置されたままになり、サイバー攻撃の標的となる恐れがあります。

  • ぜい弱性を突かれて侵入され、顧客情報等の機密情報が漏えいする
  • Webサーバーが改ざんされ、訪問者がウイルス感染の被害に

社会的信用の失墜

機密情報が漏えい等により、信用問題に発展すると自社のブランド力低下を招いてしまう恐れがあります。

  • 自社サーバーが踏み台にされて加害者となり、損害賠償に発展
  • 得意先の情報を抜き取られ漏えいし、取引の停止や入札参加資格を失う

現在は、半導体不足によるサーバー等の供給不足は解消されつつありますが、導入計画~本稼働までのタイムスケジュールを考えると、意外と時間は残されておりません。
EOSに向けて、お早めのご検討をお勧めします。

対策方法

Windows Server 2012/2012R2のサポート終了による影響を最小限に抑えるために、以下の対策を検討してみてはいかがでしょうか。

サーバーのアップグレード・入れ替え

サポート終了の問題を解決するためには、新しいWindows Serverへのアップグレードまたは入れ替えが一つの解決策となります。オンプレミスのサーバーを最新のバージョンにすることで、セキュリティの向上や最新機能への対応が可能になります。既存システムの入れ替えに伴う手間とコストと、クラウドへの移行に伴うランニングコストによる費用負担増を考慮した場合、中小企業にとってはクラウド移行より有効な選択肢となる場合もあります。

自社のニーズに合わせたカスタマイズ

サーバー入れ替えの際には、自社特有のビジネスニーズや要件に合わせたカスタマイズも検討しましょう。サーバー機器本体のCPUやメモリ、ソフトウエアなどを自社システムに合わせたものにすることで、最適な環境で運用できるようになります。
また新しいサーバー環境を構築する際に、セキュリティポリシーやデータバックアップの仕組み、ユーザーアクセス権限などを適切に設定することで、業務の効率化やセキュリティ強化につながります。

クラウドサービスの検討

近年は、リモートワーク/ハイブリッドワークなどが広まり、どこにいても働ける環境を整備するためシステムのクラウド化を選択する企業が増えています。クラウドサービスへの移行を選択する場合、従来のオンプレミスとは異なるシステム環境を構築することになります。クラウドサービスの選定、業務アプリケーション等のSaaSへの移行、セキュリティポリシーの見直し等、企業としての今後のIT投資計画やセキュリティ戦略にも大きく影響します。また実際に活用する従業員の使い勝手も大きく変わる可能性がありますので、そうしたことも視野に入れてEOSに間に合うよう早めに着手しましょう。

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経験豊富なITベンダーに相談する

検討から実際の導入・運用までを一括で相談できるITベンダーを見つけ任せることができれば、情報システム担当者の負荷を減らすことにもつながります。
サーバーをアップグレードする場合も、クラウドへ移行する場合も、その対応には専門知識と経験が必要となります。通常業務で多忙な情報システム担当者が全て対応するのは困難な場合もありますので、経験豊富で信頼できるITベンダーに相談することもご検討ください。そして、サポート終了時期を見越したスケジュールを立て、スムーズな移行ができるようにしましょう。

ITベンダー選定にあたってのポイント

ITベンダーを選定する際には、しっかりと作業を実施してくれることはもちろんですが、お客さまのシステム基盤の安定稼働とさらなる生産性向上のために付加価値を提供してくれるかも確認しましょう。

例)

  • 最適なツールとその導入スケジュールを提案してくれる
  • 環境が変わった後の問い合わせにも対応してくれる
  • サーバーだけでなく、UTMやクライアントPCなど周辺機器も含め対応窓口が一本化できる
  • アクセス権設定やデータバックアップなど、稼働後の運用面でも対応してくれる

まかせてIT DXシリーズ

EOSに伴うサーバーの入れ替えやクラウドへの移行の他にも、情報システム担当者の悩みは尽きません。
システムの技術革新はもちろんのこと、残念ながら攻撃手法も日進月歩で進化しています。それらを一つひとつ調べ上げて対策を考え、自社に最適なITツールを選定・運用することは非常に困難であり、なにより多くの時間を要します。

キヤノンシステムアンドサポートの「まかせてIT DXシリーズ」とは、お客さまのITや人材に関する課題・ニーズに対し、その導入・運用支援や必要となるIT投資計画の策定、教育支援サービス等を通じてご支援する包括的なサービスです。

  1. システムの安定稼働とトラブル時の安心サポート

    システムの安定稼働とトラブル対応は非常に重要です。安心パックシリーズでは、定期的な保守点検や修理、リモートおよびオンサイトでのサポートを提供することで、システムの安定性を確保し、トラブルが発生した際には迅速に対応します。

  2. リソースの節約と効率化

    中小企業の情報システム担当者は、限られたリソースで多岐にわたる業務を遂行する必要があります。安心パックシリーズでは、リモートサポートやバックアップジョブの監視やハードウエアの障害監視等によって、業務の効率化とリソースの節約を支援します。専門の技術者が遠隔地からサポートすることで、拠点で障害が起きたとしても現場に赴く機会が大幅に減り、時間やコストを節約できます。

  3. セキュリティ強化とデータ保護

    企業のデータやネットワークのセキュリティを確保し、かつ使用する従業員がストレスなく安心して業務遂行できる環境を維持することに、日々注力されていることと思います。
    安心パックシリーズの中でも「セキュリティ対策安心パック」では、FortiGate・SubGateのトラブル対応や、導入後の設定変更、重大なぜい弱性が発見された際の対策など、お困りごとをまるごとおまかせいただけます。

さまざまなサービスをご用意してお客さまが安心して本業に専念いただける環境作りをご支援いたします。
サーバーの入れ替えに際しても、用途に応じて「安心パック」「保守運用サービス」の活用をご検討ください。

現状システムの環境調査やガバナンス選定からじっくり行いたい企業さま向け

キヤノンシステムアンドサポートでは、事業計画に沿ったIT投資計画のロードマップ作成、ネットワークセキュリティレベルの可視化など、IT戦略全般に関するご相談をお受けする「まかせてIT コーディネートサービス」もご用意しております。ITコーディネータ資格保有者が外部の支援者としてお客さまのIT課題解決を計画段階からサポートさせていただきます。

まとめ

Windows Server 2012/2012R2の延長サポートと、その対策についてまとめます。

  • 延長サポート期限は、2023年10月10日です。早めのご検討をお勧めします。
  • サポート切れのサーバーをそのまま使い続けることは、セキュリティ面・業務効率低下・周辺システムもサポート終了となるなどといった点で、多くのリスクを伴います。
  • 対策として、新しいバージョンのサーバーへのアップデート・新たなサーバーへの入れ替え・クラウド移行といった方法があります。どちらが優れているとは一概に言えませんので、自社の環境や今後の事業戦略に最適なサービスを選択することが大切です。

Windows Server 2012/2012R2のサポート終了による影響を最小限に抑えるためには、早めの対策が重要です。中小企業の情報システム担当者の皆さまにわかりやすい内容を提供することで、適切な対策を行っていただくお手伝いができれば幸いです。
お困りごとや疑問点がございましたら、ページ最下部の「ウェブサイトからのお問い合わせ」にございますボタンからお気軽にご相談ください。

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