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永年勤続表彰金は社会保険料、労働保険料の対象となりますか?

当社では長期勤続の奨励策として勤続5年に達した従業員に対し、「永年勤続表彰金」の支給を検討しています。勤続5年ごとに支給をする場合、社会保険料及び雇用保険料の計算対象になりますか?

長期勤続の奨励を目的としたものであり、勤続年数のみを要件とし、表彰の間隔も勤続5年ごととなっていますので、表彰金額がいわゆるお祝い金の範囲を超えていないものであれば、社会保険料及び雇用保険料の対象となりません。 

人手不足や採用難が深刻化する中、長期勤続の促進を目的に「永年勤続表彰金」制度の導入を検討されている会社が増えていますが、その性質上、年3回以下の支給となるため、賞与としての取り扱いを懸念されるかと思われます。

社会保険・労働保険の取り扱いにおける注意すべき点は以下の通りとなります。

社会保険の取り扱い

社会保険では、労働の対償として経常的かつ実質的に受けるもので、被保険者の通常の生計に充てられるすべてのものを報酬及び賞与(以下、「報酬等」という)として扱いますが、永年勤続表彰金については、2023年6月27日に日本年金機構が公表した「標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集」でその取り扱いが明確化され、以下の要件をすべて満たすような支給形態であれば、恩恵的に支給されるものとして、原則として報酬等に該当しないことが示されています。

  • 表彰の基準:勤続年数のみを要件として一律に支給されるもの
  • 表彰の目的:企業の福利厚生施策や、長期勤続の奨励として実施するもの
  • 支給の形態:社会通念上いわゆるお祝いの範囲を超えていないものであって、表彰の間隔がおおむね5年以上のもの

労働保険の取り扱い

労働保険では、賃金、手当、賞与、その他名称を問わず、労働の対償として支払うすべてのものを賃金として扱います。
賃金とするもの、賃金としないものが具体的に列挙されており、「年功慰労金」「勤続褒賞金」については、就業規則・労働協約等の定めがあるか否かを問わず、賃金としないものに分類されています。名称は異なりますが、「永年勤続表彰金」と同じ性質のものと解されます。

制度の運用にあたり、社会保険・労働保険の性質について判断要件に照らし、その取り扱いを改めて確認しておきましょう。

著者プロフィール

アクタス社会保険労務士法人
スタッフ約200名、東京と大阪に計4拠点をもつアクタスグループの一員。
アクタス税理士法人、アクタスHRコンサルティング(株)、アクタスITコンサルティング(株)と連携し、中小ベンチャー企業から上場企業まで、顧客のニーズに合わせて、人事労務、税務会計、システム構築支援の各サービスを提供しています。

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