退職を申し出た労働者との年次有給休暇にまつわるトラブルを防ぐには?
3月31日に退職する従業員がいますが、3月1日に入社後6カ月が経過します。
このような場合でも、年次有給休暇は付与しなければならないのでしょうか。
また、退職に伴うトラブルには、どのような事例がありますか。
年次有給休暇(年休)は、雇い入れの日から6カ月間継続して雇用され、全労働日の8割以上出勤した労働者に付与されます。すでに退職日が確定していても、所定労働日数と勤続年数に応じて年休を付与しなければなりません。
労働者から「残った年休全てを退職日までの勤務日に充てたい」と言われるケースがあります。年休の取得は労働者の権利であるため、正当な理由なく会社が申請を拒むことはできません。ただし、労働者の業務の引き継ぎ等を考慮したうえで、労使間で事前に協議し、労働者の合意にもとづいて年休取得日や退職日を変更することは可能です。
また、よくあるケースとして、労働者から年休の買い上げを求められることがあります。
年休を付与する目的は、心身を休め、ゆとりある生活を保障することであるため、行政通達(昭和30年11月30日基収4718号)では、会社が年休の買い上げを予約して、労働者から請求された年休を与えないことを禁止しています。
退職時のトラブルを防ぐためにも、日頃から年休を取得しやすい職場づくりに努め、計画的付与などを活用して年休の取得を促進することが大切です。
著者プロフィール
アクタス社会保険労務士法人
スタッフ約200名、東京と大阪に計4拠点をもつアクタスグループの一員。
アクタス税理士法人、アクタスHRコンサルティング(株)、アクタスITコンサルティング(株)と連携し、中小ベンチャー企業から上場企業まで、顧客のニーズに合わせて、人事労務、税務会計、システム構築支援の各サービスを提供しています。