【2025-2026年版】令和7年度補正予算から読み解く補助金戦略のポイント
2026年1月13日
2025年以降の中小企業向け補助金の動向を左右する「令和7年度補正予算案(2025年度)」が閣議決定されました。この予算案は、総額が新規予算と既存基金の活用を合わせて1兆円を超える規模となり、国が中小企業の成長支援に強力な姿勢を示していることがうかがえます。
さらに、「売上高100億円」を目指す企業への集中支援が明確に打ち出されており、地域経済をけん引する中核企業を創出したいという政府の戦略的意図も読み取れます。
本コラムでは、「令和7年度補正予算案」の概要・特長を整理するとともに、主要な補助金の変更点、今から取り組むべき事前準備のポイントについて解説します。
【ご注意】 本記事の情報は、国会での審議・成立前の「予算案」を基に作成しています。今後の審議過程で内容が変更される可能性がありますので、最新の情報にご注意ください。
令和7年度補正予算の全体像
総額1兆円超えの大型支援
今回の補正予算案では、「新規予算」として8,364億円が計上されています。これに「既存基金の活用※」約4,000億円弱(推計)を加えると、総事業規模は1兆円を超える大型のものとなっています。
-
※
過去の予算で積み立てられ、複数年度にわたって利用可能な財源
6つの支援カテゴリ
本予算は、主に以下の6つの支援カテゴリで構成されています。
| 支援カテゴリ | 施策内容 |
|---|---|
| 成長投資支援 | 経済構造の転換を図るための大規模投資を支援し、中堅・中小企業の成長を加速させる。 |
| 生産性向上・省力化投資支援 | 人手不足の解消と持続的な賃上げの原資確保のため、デジタル化やIoT・ロボット導入を支援する。 |
| 伴走支援 | 補助金申請だけでなく、事業計画の策定、実行、収益化まで専門家が寄り添い、経営改善を支援する。 |
| 取引適正化 | 下請け取引における価格交渉の円滑化や、価格転嫁しやすい環境を整備し、中小企業が適正な利益を得られるよう支援する。 |
| 資金繰り支援 | 物価高や金利上昇などの環境変化に対応するため、融資制度の拡充や事業再生支援を通じて、企業の足元の資金繰りを安定させる。 |
| 災害支援 | 能登半島地震をはじめとする各種災害からの復旧・復興に向け、施設や設備の再建など、切れ目のない支援を提供する。 |
「100億円企業」への集中支援
今回の補正予算案で特に注目すべき点は、売上高100億円を目指す成長志向企業への重点支援が明確に示されたことです。主な施策は以下の2点です。
-
大規模成長投資支援
中堅・中小企業が生産性向上や事業規模拡大のために行う、工場新設などの1億円以上となる大規模な設備投資を支援する制度です。4,121億円の予算が用意されており、新規公募分として措置される基金2,000億円のうち、「100億宣言企業」向けに1,000億円程度が確保されることが明記されています。
-
中小企業成長加速化補助金の拡充
売上高100億円を超える「100億企業」の創出を目的とした財政支援で、「中小企業生産性革命推進事業」全体で、3,400億円が確保されています。飛躍的な成長を目指す企業の大胆な設備投資などを後押しします。
この「100億宣言企業」への重点配分は、単なる支援のばらまきではなく、地域経済をけん引する中核企業を創出し、その成長の波及効果でサプライチェーン全体の賃上げや活性化を狙うという、より戦略的な意図がうかがえます。自社が直接の対象でなくとも、この流れを理解し、自社の立ち位置を再確認することが重要です。
主要補助金の変更点
さらに今回の補正予算案では、主要な補助金の変更点についても言及されています。
政府が掲げる6つの柱のうち、「生産性向上・省力化投資支援」に関連する、3つの補助金の変更点をご紹介します。
IT導入補助金は「デジタル化・AI導入補助金」へ
これまで多くの企業に活用されてきたIT導入補助金は、「デジタル化・AI導入補助金」へと名称が変更されます。名称に「AI」が加わったことで、今後はAI関連のツール導入支援が強化される可能性が高いと予想されます。大規模な成長投資には、生産性を飛躍的に向上させるAIや高度なデジタル技術の活用が不可欠であり、政府がその両輪を同時に後押しする姿勢を明確にしたと言えるでしょう。
小規模事業者持続化補助金は継続
販路開拓などを支援する持続化補助金は、「生産性革命推進事業」の枠組みの中で継続されることが示されています。
ものづくり補助金は既存基金で実施
「革新的製品等開発や新事業進出支援【既存基金の活用(1,200億円規模)】」が、実質的にものづくり補助金の後継または継続事業に当たると見られており、引き続き活用できる見込みです。
「今」着手すべき3つの事前準備
中小企業向けの補助金予算が過去最大級の規模になる一方で、2025年の採択率は3割前後にまで低下するなど、審査基準が高度化しているのも事実です。公募が始まってからではなく、「今」着手すべき3つの事前準備をご紹介します。
1.中長期経営計画の策定
補助金はあくまで事業成長を実現するための「手段」であり、重要なのはその先にある企業の成長ビジョンです。特定の補助金の公募要領を待つのではなく、まず自社の中長期的な経営計画を策定しましょう。その上で、「高成長」「生産性向上」「賃上げ」「DX/AI」といった国の示すキーワードと自社の投資計画を照らし合わせ、一貫性のあるストーリーを構築しておく必要があります。
2.100億宣言への取り組み
「100億宣言」とは、売上高100億円を目指すビジョンや具体的施策(生産増強、海外展開、M&A等)を宣言し、専用ポータルサイトで公表する取り組みです。
宣言企業は専用ロゴを名刺・Webなどに掲示でき、社外への「高い目標に向かう成長企業」という信用力やブランディングに貢献します。また金融機関・投資家からの評価が向上し、採用力のアップにも好影響をもたらします。更には宣言企業の経営者同士の交流機会を中小企業庁や中小機構を中心に提供され、経営知見の共有やビジネスマッチングの促進に役立ち、企業成長の後押しとなります。
補助金によっては、必須要件として「100億宣言」が求められているものもあり、早期の対応が有効です。
3.事業計画の具体化
競争の激しい補助金申請においては、国の経済戦略の中核となる以下の要素を、定量的かつ具体的に示す必要があります。
-
生産性向上
「既存事業の延長」と見なされる計画は評価が低くなる傾向にあります。「付加価値額の年平均成長率+3.0%以上」など、国の示す基本要件を明確な数値で提示することが重要です。単なる機械の更新ではなく、革新的な新製品開発や生産プロセスの劇的な改善であることを論理的に説明し、いかに成長を「加速化」させるかを具体化します。
また、AI活用や高度なDXによる生産性向上が求められる傾向にあります。 -
賃上げ
利益をどのように従業員へ還元するのか、根拠ある中長期的な還元計画が求められています。給与支給総額の年平均増加率(例:+2.0%以上、大幅賃上げ特例の場合は+6.0%以上)や、事業所内最低賃金の引き上げ額(地域別最低賃金+30円~50円以上)など、要件を満たすための具体的な数値を、根拠を持って記載する必要があります。
-
増人化
人手不足への対応として省力化を進めつつも、事業規模の拡大に伴う「新たな雇用の創出」が評価のポイントとなります。自社の成長が地域企業へどのような好影響を与えるか、また地域の「モデル企業」としていかに雇用を安定・拡大させるかという地域波及効果を記述する必要があります。
まとめ
今後の補助金政策は、支援の「量」ではなく、中核となる企業への集中投資へと大きくかじを切っています。
この政策の潮流を正しく理解し、自社の成長戦略と結び付けることが、採択への近道となるでしょう。
キヤノンシステムアンドサポートの取り組み
キヤノンシステムアンドサポートではIT導入補助金(デジタル化・AI導入補助金)をメインに補助金・助成金全体の活用をお手伝いさせていただいております。
ご要望の補助金・助成金に関して、リモートによるご説明会や申請自体のお手伝い可能な専門家をご紹介することも可能ですので、まずはお気軽にご相談ください。
今すぐ読みたいおすすめ情報
会社の処方箋についてのご相談・見積・お問い合わせ
キヤノンシステムアンドサポート株式会社