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中小企業省力化投資補助金:限られた人材で事業を維持拡大していくための方向性

  • 会社の処方箋

2024年7月25日
更新:2025年5月14日

人口減少と高齢化が進む日本。特に中小企業は人材不足に悩む一方で、限られた人材で事業を維持拡大させていく必要に迫られています。そこで注目されるのが、中小企業省力化投資補助金やITを活用した業務の効率化や生産性の向上です。本コラムでは中小企業白書を読み解き、ITの活用を進めていく上での課題や中小企業を後押しする補助金についてご紹介します。

ますます進む人材不足

日本の人口動態は、高齢化とともに労働力人口が減少しています。
中小企業庁の2018年版「中小企業白書」によれば、わが国の生産年齢人口(15~64歳)は、1995年の約8,700万人をピークに減少に転じており、2015年には約7,700万人まで減少しています。そして、この傾向は将来にわたって継続すると見込まれ、当時の試算によれば2060年には約4,800万人と、2015年の約6割の水準まで減少すると予測されています。国内企業の人材確保は継続した経営課題といえるでしょう。(図表1-1)

図表1-1:年齢別人口推計の推移

特に中小企業は、この人材不足の影響を大きく受けています。
人材確保の困難さは、事業の維持や拡大に影響を及ぼし、企業の成長を阻害する可能性があります。
2024年版「中小企業白書」によれば、需要回復を受けて中小企業の売上げが回復傾向にある一方で、人手不足と感じている企業が依然として多い状況が見て取れ、引き続き深刻な課題となっていることが示唆されます。(図表1-2)

図表1-2:中小企業の売上額DI・従業員数過不足DIの推移

注目される中小企業省力化投資補助金の活用

この様に人材確保が困難な環境下において、中小企業省力化投資補助金が注目されています。
人手不足解消のための製品導入費用を一部支援し、省力化投資を促進します。中小企業の売上拡大や生産性向上を後押しするとともに、賃上げにつなげることを目的とした補助金です。この事業では、ロボットやIoT機器をはじめとする人手不足解消に効果がある汎用製品を「製品カタログ」に掲載し、中小企業等が選択して導入できるようにすることで、簡易で即効性がある省力化投資を促進することが期待されています。
中小企業省力化投資補助金のスケジュールや補助対象などの詳細については、下記よりご確認ください。

デジタル化で業務を効率化して生産性を向上

また、人材不足解消の手段として業務をデジタル化し、業務の効率化と生産性の向上を図るという方法もあります。例えば、オンライン会議システムの導入を考えてみましょう。オンライン会議システムを導入することで得られるメリットには以下のようなものがあります。

  • 従業員は場所を問わずに会議に参加することが可能となる
  • 移動時間の削減や柔軟な働き方が実現できる
  • 会議の録画や共有機能の活用による情報共有の効率化が図れる

そして、削減された時間を使って他の付加価値を生み出す業務に費やす時間を増やすなど、より良い成果を生み出すための時間に費やすことで組織の生産性を高めることができます。こうしたITツールの導入を支援するIT導入補助金という制度もあり、この補助金を活用することで、企業はデジタル化を進め、業務の効率化と生産性の向上が図れます。

中小企業におけるデジタル化の課題

しかし、中小企業におけるデジタル化には課題があります。2021年版「中小企業白書」によれば、もっとも大きな課題として「アナログな文化・価値観が定着している」ことがあげられています。これは、デジタル化に対する理解や受け入れが不十分であることを示しています。次に続く課題として、「明確な目的・目標が定まっていない」、「組織のITリテラシーが不足している」ことがあげられています。(図表2-1)専任のIT担当者を置くことが困難な中小企業にとって、組織のITリテラシー不足、IT人材不足を起因として、明確な目的・目標を定めることが難しい状況となり、結果としてアナログな文化・価値観が定着してしまっていることが推察されます。

図表2-1:デジタル化推進に向けた課題(業種別)

経営力の重要性

こうした課題を考慮すると、従来のやり方では現状維持も難しくなるでしょう。
変化の中で成長・発展を実現するには、経営者はこれまで以上に「経営力」が問われます。中小企業が足下で最も重要と考える経営課題は「人材確保」ですが、特に中規模企業では「省力化・生産性向上」、小規模事業者では「受注・販売の拡大」、「事業承継」が比較的高い傾向にあります。
経営者は、こうした足下の課題への対応に加え、長期的な視野で投資や人材確保に向けた戦略を検討し、不断に見直していく必要があります。中小企業省力化投資補助金の活用も有効な手段であると言えるでしょう。限られた人材は本業に注力し、IT化の計画や導入を外部の支援を受けて行うことで、事業を維持拡大させていく近道となります。

図表3-1 中小企業の経営課題(企業規模別)

中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)について

人手不足解消のための製品導入費用を一部支援し、省力化投資を促進します。中小企業の売上拡大や生産性向上を後押しするとともに、賃上げにつなげることを目的とした補助金です。
キヤノンシステムアンドサポートは、販売事業者としてお客さまの補助金の活用のご支援、生産性向上のお手伝いをさせていただきます。
申請時のアドバイスから交付後のサポートまで一貫してご支援することが可能なキヤノンシステムアンドサポートにぜひおまかせください。

中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)のメリット

  • 生産性向上とコスト削減
    中小企業省力化投資補助金は、ロボットやIoT機器をはじめとする最新技術の導入を通じて、生産性の向上をサポートします。特に業務プロセスの効率化により、これまで多くの時間とコストを要していた作業が簡略化される点が、大きなメリットです。補助額が最大1500万円であるため、企業が負担する金額を大幅に削減できる点が魅力です。これにより、通常なら手の届きにくかったロボットやIoT機器といった設備導入へのハードルを下げることができます。
  • 人手不足への対応
    日本の中小企業が直面している大きな課題の一つに「人手不足」が挙げられます。省力化設備やロボットの導入により、従業員一人ひとりの負担を軽減し、労働効率を改善することができます。特に少子高齢化の影響で採用が困難な現状において、人手不足解消の手段として省力化投資補助金を活用することは、事業の持続可能性を高める重要なステップとなります。
  • 申請・手続きのサポートや導入支援を受けられる
    申請する際に、導入する製品の販売事業者から、申請や手続きに関するサポートを受けられるメリットがあります。また、製品を導入する際にも、製品の効果的な活用方法や扱い方に関する支援を受けることができます。

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