レーザー干渉計セットアップガイド光学計測機器
このガイドでは、一般的なセットアップの一例をご紹介しております。
日々の測定の手助けとなれば幸いです。
平面の測定セットアップ
球面の測定セットアップ
曲率半径の測定セットアップ
非球面の測定セットアップ
参考情報
- 透過型球面原器の選択
- 測定口径の変更
- 測定系の増設
- 高精度な平面測定(3平面法)
- 高精度な球面測定(2球面法)
- ピックアップレンズの自動アライメント測定
平面の測定セットアップ
平面度測定/Surface Flatness
セットアップ例
このセットアップは、光学ミラー・プリズムなどの表面の平面度測定に使用されます。サンプルは、Tip/Tiltの2軸調整マウントで保持し、平面原器と平行になるようにセットします。Äpre干渉計ではAlignment Cameraモード(粗調)とView Cameraモード(微調)が同時に表示できるため、簡単に素早くサンプルのセットが可能です。
測定結果表示例
各名称 | 内容 |
---|---|
Menus | 解析や保存をはじめとした機能が入っています。 |
Tool Bar | アイコンから各機能に素早くアクセスできます。MenusのViewからアイコンの表示の設定が可能です。 |
Data Screens | アプリケーション内で使用できる解析を集めたものです。 |
Profiles | データ測定を行うためのアプリケーション群です。基本的な測定が可能なGeneralをはじめ、PHom測定などはこちらにあります。 |
Measurement/Analysis Controls | 測定の実行に関するボタンと簡単な減算を行うボタンがあります。 |
Results+Info | 基本的な結果とデータの情報を表示します。 |
平面の透過波面測定/Plane Transmitted Wavefront
セットアップ例
このセットアップは、サンプルを光が透過する際の平面波がどの程度歪むのかを測定するのに使用されます。一般的なサンプルは、光学フィルターやプリズムなどです。加えて、ガラスなどの透過性の材料であれば、内部の均質性(Homogeneity)も測定できます。レーザーがサンプルを透過する為、サンプルはレーザーに対して垂直になるようにセットする必要があります。特殊なマウントや調整は必要ありません。
測定結果表示例
平行度(ウェッジ)測定/Parallelism(Wedge)
セットアップ例
1. SCI(スペクトラル制御干渉法)、SRW(波長変調モデル)を用いた場合
非常に小さなクサビ角の透明なサンプルの場合、内部干渉縞を得る事が出来るので、透過型平面原器は不要です。サンプルを干渉計の光軸に対して垂直にセットする事で、干渉パターンから光学的なクサビ角と機械的なクサビ角を算出することが可能です。中程度のクサビ角の付いたサンプルの場合は、透過型平面原器と参照平面原器を用いて、透過波面計測をする事で秒以下のクサビ角を計測する事が可能です。
2. SR、HR(メカニカルシフトモデル)を用いた場合
非常に小さなクサビ角の透明なサンプルの場合は、上記のセットアップにて縞観察のみ可能となります。中程度のクサビ角の付いたサンプルの場合は、1の場合と同様の測定が可能です。Äpreの解析ソフト(Reveal)は測定結果から自動で計測エリアを認識する為、Reference面の選択が容易となり、スムーズな平行度測定を可能にします。
測定結果表示例
プリズム・コーナーキューブの計測/Prism and Corner Cube Testing
セットアップ例
プリズム・コーナーキューブの測定手法には①ダブルパス測定②シングルパス測定の2種類があります。シングルパス測定の際は、40%以上の高い反射率を持つサンプルの場合、減衰板(フィルター)を使用する事で測定可能です。Äpreの解析ソフトウエア(Reveal)は、透過波面計測だけでなく、角度エラーを解析することも可能です。
各測定における光軸
測定結果表示例(シングルパス)
球面の測定セットアップ
凹面の測定/Concave Surface Figure
セットアップ例
透過型球面原器は、干渉計から出射されるレーザーを正確な球面波に変換します。凹面サンプルの表面を、透過型球面原器の焦点から、サンプルの曲率半径分離れた位置にセットすることで、その形状誤差を測定することができます。球面測定には、サンプルの調整用に3軸または5軸のマウントを必要とします。平面度測定も行うお客さまにはTip/Tiltが付属した5軸マウントがお勧めです。
測定結果表示例
凸面の測定/Convex Surface Figure
セットアップ例
凸の球面は、下図のようなセットアップで表面形状誤差を計測することが可能です。最適な透過型球面原器を選択するためには二つの基準を満たす必要があります。第一に、サンプルの曲率半径が、透過型球面原器の焦点距離よりも短いことが必要です。第二に、サンプルの曲率半径を口径で割ったRナンバーが、透過型球面原器のFナンバーよりも大きい必要があります。 4インチと6インチ、両方の透過型球面原器を、このアプリケーションに利用する事ができます。サンプルの調整用には3軸または5軸のマウントを必要とします。
測定結果表示例
曲率半径の測定セットアップ
曲率半径計測/Noncontact Radius of Curvature and Figure
セットアップ例
表面形状誤差に加えて、凹面/凸面サンプルの曲率半径を計測することが可能です。
下図の1番目のセットアップの通り、サンプルの曲率中心は、透過型球面原器の焦点と同じ位置にセットされます。この位置で発生する干渉縞からは、表面形状誤差の情報以外に、球面原器の焦点位置とサンプルの曲率中心の正確な位置情報も含まれます。
また、このコンフォーカル位置の誤差(Z4項:power成分)は自動補正します。
2番目のセットアップのように、サンプルの表面が透過型球面原器の焦点位置に到達するまで、干渉計の光軸に沿って移動させます。サンプルの表面を移動する距離は、曲率半径と同じです。デジタルラディウススケールで、移動量を表示させます。
また、このキャッツアイ位置の誤差(Z4項:power成分)は自動補正します。
測定結果表示例
大曲率半径凹面の曲率半径測定(R>数m)
Radius of Curvature Differential Technique
セットアップ例
カメラズームレンズ、望遠鏡、レーザー共振器ミラーの中には、数m~10mレンジの長い曲率半径の球面があります。これらの曲率半径測定を行う場合は、繰返し干渉法(Differential Technique)のセットアップが有効です。干渉計に、中心のみ高反射ミラーを有する特殊な透過型平面原器をセットし、出射ビームをサンプルにアライメントすると、透過型平面原器とサンプルの間に繰返し反射が起こります。透過型平面原器の中心、被検球面中心に被検球面のフォーカス点が来ると干渉縞が発生しますが、このn回反射とn-1回反射の時の干渉縞発生位置間の距離Zn-1-Znを測定すると、サンプルの曲率半径は次式で計算できます。
R=Cn(Zn-1-Zn)
n:反射回数
Zn-1-Zn:被検球面の移動量
Cn:換算係数(次表参照)
C1 | 4 |
---|---|
C2 | 9.65685 |
C3 | 19.62512 |
C4 | 35.08255 |
C5 | 57.23525 |
C6 | 87.29584 |
C7 | 126.47741 |
C8 | 175.99437 |
実際のセットアップでは、n回反射とn-1回反射の時の干渉縞発生位置間を移動するガイド、距離Zn-1-Znを測定するスケールが必要になります。
非球面の測定セットアップ
セットアップ例
非球面の表面形状誤差は、干渉計から出射されるレーザーをCGH(回折レンズ)に通し正確な非球面波に変換することで計測することが可能です。セットアップのアライメントずれが測定データの誤差を生じます。精密な5軸マウントによる正確な位置決めを必要とする測定です。
光学計測機器のご相談・お問い合わせ
キヤノンマーケティングジャパン株式会社 産業機器事業部 第二営業本部 営業部 営業第一課
Webサイトからのお問い合わせ
光学計測機器のご相談・お問い合わせを承ります。
受付時間:平日 9時00分~17時00分
※ 土日祝日・当社休業日は休ませていただきます。