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組織の活性化と目標管理の重要性

  • 会社の処方箋

2024年9月20日

中小企業が限られた人材で最大限の成果をあげるためには、組織の活性化が不可欠です。
そのためには、明確な目標設定とその達成に向けた効果的な目標管理制度(MBO:Management by Objectives)が有効です。
本コラムでは、目標管理制度の基本的な概念から、その導入方法、そして自社事例までを詳しく解説します。

中小企業における組織活性化と目標管理の重要性

中小企業にとって必要不可欠な資源のひとつ、それはヒトです。しかし、昨今の日本社会の状況は人手不足や人材不足が深刻な問題となっています。この問題に対処するためには、従業員一人一人のモチベーションを高め、生産性を向上させることが重要です。そのためには、組織全体の活性化が欠かせません。また、従業員が目指すべき目標を明確に示すことも重要になります。以下では、組織活性化と目標管理における重要なポイントについて説明します。

組織活性のための重要要素

人材不足が深刻化する昨今、企業における社員、つまり「人」は貴重な経営資源です。企業の成長のカギは「人材活用」であり、社員一人ひとりの生産性やエンゲージメントの向上には、組織の活性化が不可欠です。なお、組織活性の重要な要素は「共通目的」「コミュニケーション」「貢献意欲」の三つであると言われています。

共通目的

まず、会社は全社員に対し、例えば売上目標や市場シェアの拡大、新製品の開発など、企業としての目標や目的を明確に伝え、理解してもらうことが重要です。全員が共通の目的に向かって迷うことなく進むことができれば、組織全体もおのずと強くなります。社員一人ひとりに対しては、全社方針から部門方針、個人の目標へとブレイクダウンし、より具体的に示していきます。会社の目指すところ、そして自身の立ち位置や役割を改めて理解することで、会社全体の成功に貢献する意識も高めることができます。

コミュニケーション

コミュニケーションも重要な要素です。円滑なコミュニケーションは、情報の共有や問題解決のスピードを高めます。定期的なミーティングや1on1の対話を通じて、社員一人ひとりの意見やアイデアを吸い上げることが大切です。自由闊達に意見を交わせる仲間の存在は、仕事のモチベーションをあげてくれます。また、上司と部下の間でのオープンな対話は、信頼関係を築き、組織全体のパフォーマンスを向上させる効果があります。

貢献意欲

貢献意欲とは、言葉どおり「組織や仲間に対して貢献したい」という気持ちのことです。会社全体の目的を共有し、かつ自分の役割を理解したうえで、会社の目標達成に繋がる個人としての目標を設定することにより、自身の仕事が会社全体の成功にどのように貢献しているかを実感できます。目標達成に向けては、日々のコミュニケーションを大いに活用し、目標と実態の差異があれば、周りのアドバイスも参考にしながら次のアクションを起こします。貢献意欲が高まれば主体的な行動が増え、生産性も向上します。

これら三つの要素が揃うことで、組織は一体感を持ち、より高い成果を達成することができるのです。

目標管理制度とは

目標管理制度(MBO)とは、社員が自ら目標を設定し、その達成度によって評価するマネジメント手法です。特徴的なのは「社員の自主性を重視すること」と「組織目標と個人目標がリンクすること」です。自身の役割と責任をしっかりと認識できることに加えて、自己管理能力が高まるなど、成長面での効果も期待できます。個人の目標を達成することで、組織の目標達成にも貢献できるというメリットがあります。

この制度は、アメリカの経営学者ピーター・ドラッカーによって提唱されました。

目標管理制度(MBO)の主な特徴は以下の通りです。

  • 目標設定:社員が上司とのコミュニケーションを通して、具体的かつ達成可能な目標を設定します。目標は、組織全体の目標と一致する必要があります。
  • 自己管理:社員は自らの目標達成に向けて自分で計画を立てて進捗を管理していきます。これにより、自己管理能力の向上が期待できます。
  • 評価とフィードバック:定期的に目標の達成度を評価し、上司からのフィードバックを行います。これにより、社員のモチベーションが維持され、業務効率の向上が期待できます。

目標管理制度(MBO)のメリットには、社員のモチベーション向上や業務効率の改善が挙げられます。一方で、目標が曖昧であったり、評価が不公正であったりすると、逆にモチベーションが低下するリスクもある為、留意が必要です。

目標管理とフィードバック

目標を設定した後は、その達成度を定期的に評価し、上司による適切なフィードバックを行うことが必要です。目標とのギャップや課題を共有し、目標達成に向けた支援を行うことで、部下のモチベーションを維持・向上させることができます。例えば、四半期ごとの評価やフィードバックの場を設け、細やかなコミュニケーションを通じて社員の成長を支援します。フィードバックの際には、単に評価を伝えることに留まらず、改善点や次のステップを具体的に示すことで、社員の成長を促します。

目標の設定方法

目標管理制度(MBO)の中でも最も重要なのが目標の設定方法です。適切な目標設定は、会社の組織目標と従業員個々の目標をリンクさせることで、組織全体の生産性向上に寄与します。目標設定のためには、まず具体的で測定可能な目標を作成することが必要です。このとき、従業員が自律的に目標を設定し、その達成に必要な行動を計画します。また、目標は短期的なタスクではなく、長期的な視点で達成可能なものであることが理想的です。

進捗のモニタリング

目標を設定した後は、その進捗を定期的にモニタリングすることが不可欠です。1on1ミーティングを通じて、上司と従業員が目標達成の進捗状況を共有し、必要に応じて修正を行うことが効果的です。
このプロセスでは、従業員の自己管理能力が求められ、同時にリアルタイムのフィードバックが得られるため、従業員の成長と目標達成に向けたモチベーションの維持が期待できます。

キヤノンシステムアンドサポートの取り組み

キヤノンシステムアンドサポートにおいても、目標管理制度を導入しています。
1月から12月までを評価対象期間とし、期初の役割・目標設定面接において、その年における「役割」の確認と、達成すべき「目標」の設定を行います。

目標設定にあたっては、上司・部下間で存分に話し合い「何をどのレベルまでやるか」について、プロセスも含め、具体的に設定していきます。質・量ともに適切な水準であるかを確認しながら、上司の期待値と、部下が達成したいことの擦り合わせを行います。部下としても、ただ一方的に課されたものでなく、自身の意思が反映された目標になっていれば、モチベーション高く取り組むことが出来るはずです。大事なことは「部下がその目標に納得する」ということです。

一年が終わると、評価面接を行います。前年1月に立てた目標に対し「できたこと」「できなかったこと」を上司・部下間で再び確認していきます。「チームとしての成果を出すため行動」や「同僚・後輩・若手への支援」など、個人の業績だけでなく、組織全体への貢献度も評価の対象です。
なお、評価にあたっては、「役割」や「成果」だけでなく、「人」も含めた三要素をバランス良く勘案し、処遇を決定しています。「人」としての具体的な着観点は、会社が期待するキヤノンパーソンとしての「仕事に対する価値観」と「仕事に取り組む行動基準」を有し、発揮できていたかというものです。会社と社員がなるべく同じ価値観をもち、目標に向かって一致団結し、同じベクトルを向いて走り抜けていくことができれば、組織はより安定し、強くなると考えています。そのため「評価」という観点では、単に数値的な成績が良いというだけではなく、「お客さまの進化を支援する」というキヤノンS&Sの企業価値をより一層引き上げるマインドも備えていることが重要です。

評価の納得度を向上させるには、「普段から部下をよく見る」ということが非常に大切です。
モチベーションの低下につながる一つの要因は「評価フィードバック時における上司からの説明不足」です。部下を知らなければ、十分な説明もできません。一人ひとりの特徴(抱えている業務の量・質、得手不得手、本人を取り巻く環境や、現状の課題、困りごと等)を把握し、上手くいかない時には的確なアドバイスや軌道修正の手助けをし、成果が出せた時はともに喜びを分かち合うなど、日々細やかなコミュニケーションを行うことが必要です。

マネジメントの基本はコミュニケーションです。コミュニケーションとはただの会話でなく、お互いを知り、分かろうとすること、心を開き、信頼関係をいかに構築するかを本気で考え、最善を尽くすことです。親が子にかける愛情にも例えられ、「社員はみんなキヤノンという大家族の一員である。そして、家庭においては、家族1人ひとりが主役であり、それぞれの考え方を尊重し、意見し、お互いに成長していくべきだ。」というキヤノンの「新家族主義」にも通ずる考え方となっています。

コミュニケーションの充実を図るうえで、キヤノンシステムアンドサポートでは、1月の期初面接や7月の中間面接だけでなく、標準マネジメントスタイルとして1on1ミーティング(個別定期コミュニケーション、略して「個別.com」)を10年以上継続実施しています。
基本的なルールは

  • 課長と部下が一対一で、個室(もしくはオンラインでも周りに人がいない場所)で行う
  • 原則は週次開催、日程は事前に案内する、一回の時間は15分程度
  • 話す内容は、仕事の進捗確認と、それに対するアドバイス
  • 課長は、話した内容を記録する

です。

部下が「上司は自分のことを真剣に考えてくれている」「よく見てくれている」と感じることができれば、評価に対する納得度の向上はもとより「この会社、この上司のために頑張りたい」といった貢献意欲の醸成にも繋がると考えています。

クラウドソリューションの活用

こうした取り組みは、一見ハードルが高く感じられますが現在では最適なソリューションが提供されており、クラウドソリューションを選ぶことが可能です。クラウドであれば導入のハードルも低くなります。クラウドベースの目標管理ツールやコミュニケーションプラットフォームを導入することで、効率的に情報を共有し、目標達成に向けたサポートを行うことができます。例えば、クラウド上でのプロジェクト管理ツールを利用することで、各プロジェクトの進捗状況をリアルタイムで把握し、必要なサポートを迅速に提供することができます。

まとめ

中小企業が限られた人材で最大限の成果をあげるためには、組織の活性化が不可欠です。共通目的の明確化、効果的なコミュニケーション、貢献意欲の向上。そしてこのことを実現していくための目標管理とフィードバックの徹底が、その鍵となります。

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