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中小建設業向け!売上も利益も向上させる仕組み作りoffice Gunshi 中小企業診断士事務所・行政書士事務所

  • 会社の処方箋

2024年11月1日

中小企業は限られた経営資源(人・モノ・金・情報)をフル活用して売上も利益も獲得していかなければなりません。
ですが、「コロナ禍が明けたのに売上が上がらない」「利益が出ない」などの収益問題から「人がすぐに辞めてしまう」「離職が多い」などの人材問題まで悩める中小建設業者・経営者様から多くの相談を受けています。本コラムでは令和時代に突入し建設業界として課題山積の中でも中小建設業者で実現可能な収益力向上策をご説明します。

建設業界の現状

建設業界は、リーマンショック、東日本大震災、コロナウイルスなどの影響を受けたこの20年間で、消費者や労働者の考え方や行動も大きく変わり、多様化と複雑化が進みました。このような難しい状況に直面し、中小建設業者は急激な変化に対応しなければ生き残れない時代に突入しています。

建設投資はピーク時のマイナス20%だが増加傾向

国土交通省によりますと、建設投資額は平成4年の84兆円(民間投資52兆円、政府投資32兆円)をピークに年々減少し、平成24年には42兆円(民間投資26兆円、政府投資16兆円)まで落ち込んでいることが以下のグラフより読み取れます。
その後増加に転じ令和4年は67兆円(民間投資44兆円、政府投資23兆円)まで回復していますがピーク時比でマイナス20.2%と厳しい状況が続いています。

建設投資、許可業者数及び就業者数の推移

建設業における職業別就業者の推移

建設業就業者数の減少と高齢化の進行

上記の図より、建設業許可業者数はピーク時の平成11年の60万者から令和3年度末は48万者とピーク時の20.9%減少していることが読み取れます。
また、就業者数の推移は、平成9年の685万人をピークに就業者数の減少に歯止めがかからず、令和4年は、479万人とピーク時比でマイナス30.1%と人手不足が深刻であることが分かります。特に技能者(職人)は、平成9年445万人いましたが、令和4年では302万と就業者減少の大きな要因となっています。
また、高齢化の進行も他の産業と比べて顕著に進んでいます。55歳以上の就業者が全産業で31.5%、建設業は35.9%と高齢化者の割合が多いだけでなく、29歳以下の割合は全産業で16.4%、建設業は11.7%と若者の割合が少なく、若者に人気がない業種あることが確認でき次世代への技術継承が大きな課題にもなっています。

建設業就業者の高齢化の進行

売上拡大と利益向上の仕組み作り

売上や利益を拡大するのに必要なのは会社の経営資源である「人、モノ、金、情報」が必要となります。特に先述の通り、中小建設業の収益向上において「人」は重要な経営資源となります。

働き手に選ばれる会社の3要件

厚生労働省によりますと建設現場で働く若手が求めることとして以下が挙げられています。

第1位 週休2日制度の推進
第2位 仕事が年間を通じてあること
第3位 仕事の内容に対応した賃金

先ほど建設業の現状を確認した通り、建設投資は平成24年以降上昇傾向にありますが、建設業就業者数は減少しています。建設需要と人材供給にギャップが生まれており、人材確保が出来ない事業者は受注できず売上が減少し、倒産廃業に繋がります。逆を言えば、人材を獲得できている事業者は「大きなビジネスチャンス」と言えるのです。

今後、建設業で働き続けるために企業に求めること

資格取得の推奨・経験の見える化と適正評価

仕事の内容に応じた賃金を提供し年間を通じて仕事を受注するには「技術や経験の証明」が必要です。
その一つに「資格」があります。資格を取得するには、各分野の専門知識を身につけ、一定の実務経験を積むことが重要です。認定されるためには、特定のスキルを専門的に学ぶ必要があります。
資格取得を推奨する一つの方法として、厚生労働省の「人材開発支援助成金」の活用があります。建築施工管理技士や足場の組立作業主任技術者などを受講させた事業主は「1人あたり上限10万円まで」講習費用の一部助成が受けられます。

目に見えることが出来ない経験の見える化も必要です。その方法として「建設キャリアアップシステムの導入」があります。これは、技能者の保有資格・社会保険の加入状況だけでなく、いつ、どの現場に、どの職種で、どの立場(職長など)で働いたのかを就業履歴として電子的に記録・蓄積することで経験の証明に繋がります。

資格取得と経験の見える化によって、いままで労働時間や就業年数を根拠にした賃金評価から、働く側もより分かりやすく納得出来る評価を行う事で働く側の「やる気向上」に繋がり離職率防止へと繋がっていくのです。

休暇も利益向上も実現するには業務効率化が必須

国土交通省は「3K(きつい・きたない・危険)」のイメージ払拭のため「新3K(給与・休暇・希望)」の取組推進をしています。日本全体として少子高齢化が進み建設業界も高齢化が進む中、限られた人材で「新3K」を実現し利益も向上するには業務効率化は必須です。業務効率化を実践するためには現在行っている業務内容の情報を棚卸し、整理して、ECRS(無くせないか・一緒に出来ないか・順番変更できないか・簡単にできないか)を行う必要があります。

従業員も業務量も多くない場合は、業務情報の把握も容易なため無料の表計算ソフトなどで対応することも可能です。しかし、事業が拡大し業務量が多くなった場合は、「IT化・DX化」などの情報技術の活用を行って、業務効率化をより早く確実に進める事が必要になってきます。

IT導入時は多額の費用が必要となる事もあるため「IT導入補助金」等の補助金も活用し費用を抑えることが必要です。補助金を活用する際には、導入のための「計画書」を作成することが一般的です。これにより、システム導入の目的が明確になり、「多額の費用をかけて導入したが、ほとんど使用されなかった」という状況を避けることができます。IT化やDX化することは目的ではなく、業務効率化の手段なので導入の際に計画は重要です。

まとめ

今回は経営資源の中でも「人」にフォーカスして収益向上の施策をご紹介致しました。売上も利益も向上させるには私たちが外部環境に対応しなければなりません。コロナウイルスも震災も自分自身ではコントロール出来ません。しかし、ダメージを小さくする、逆にピンチをチャンスとして捉えるなど対応することは可能です。
そのために、我々中小企業は限られた経営資源(人・モノ・金・情報)を無理のないようにフル活用して効果を最大限にする必要があり、フル活用するためには自社に合った「仕組み作り」を経営者が考え、計画し、実行する「勇気と力」が必要になります。

著者プロフィール

office Gunshi 中小企業診断士事務所・行政書士事務所
代表 髙橋 朋智

父の営む建設業及び建材小売業の倒産を機に建設業支援の道を目指す。
約20年間建設業界に身を置き民間向けの営業、設計、現場監督及び公共工事の現場監督、建設不動産部の部長として部門管理も行う。
現在は建設業専門の経営コンサルタントとして売上拡大、資金繰り改善、事業承継、人事制度導入、建設業に係わる許認可申請など建設業に特化した経営課題解決を行い、創業1年半で50社以上の経営相談を受け課題解決支援の実績がある。

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