夫婦ともに育児休業を取得した場合の給付金の創設(2025年4月施行)アクタス社会保険労務士法人
2024年8月29日
雇用保険法の改正を含む「子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案」が2024年6月5日に成立しました。これにより、雇用保険の育児休業給付に新たに「出生後休業支援給付」と「育児時短就業給付」が創設されます。本コラムでは各給付の内容や創設の背景について解説致します。
出生後休業支援給付とは
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給付の内容
夫婦ともに育児休業を取得した場合に、通常の育児休業給付に一定額が上乗せされる制度です。具体的には子の出生直後の一定期間以内(男性は子の出生後8週間以内、女性は産後休業後8週間以内)で被保険者とその配偶者がそれぞれ14日以上の育児休業を取得した場合、28日間を限度に「休業開始時賃金の13%相当額」が上乗せ支給されます。
なお、配偶者が専業主婦(夫)の場合やひとり親家庭などの場合は、配偶者の育児休業の取得要件は考慮せずに支給されます。
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創設の背景
現状では、育児休業等を取得し育児休業給付金等の支給を受けても休業前の給与と比べると手取り額は低くなり、男性の育児休業取得が進まない理由の1つと考えられていますが、この「出生後休業支援給付」により育児休業中の手取り額低下に対する不安が減少し、男性の育児休業取得の促進、「共働き・共育て」のできる環境の推進が期待されています。
育児時短就業給付とは
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給付の内容
育児のために時短勤務を行い収入が低下した場合、その収入を補うために給付金を支給する制度です。具体的には2歳未満の子を養育するために短時間勤務で就業した場合、勤務中に支払われた賃金額の10%が支給されます。ただし、給付金の額と短時間勤務後の賃金の合計が短時間勤務前の賃金を超えるような場合は、給付金の支給額が調整されます。
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創設の背景
現状では育児のために短時間勤務制度を選択し賃金が低下した場合に支給される給付はありません。「育児時短就業給付」は育児とキャリア形成の両立を支援するために2歳未満の子を持つ親が育児のために短時間勤務を行う際に収入減少を補塡(ほてん)する目的で創設されました。
「出生後休業支援給付」や「育児時短就業給付」を含む改正雇用保険法は2025年4月1日から施行されます。人事担当者は就業規則などの改定や従業員への周知を漏れなく行える様、早めに情報を収集し社内準備を行っておきましょう。
著者プロフィール
アクタス社会保険労務士法人
スタッフ約200名、東京と大阪に計4拠点をもつアクタスグループの一員。
アクタス税理士法人、アクタスHRコンサルティング(株)、アクタスITコンサルティング(株)と連携し、中小ベンチャー企業から上場企業まで、顧客のニーズに合わせて、人事労務、税務会計、システム構築支援の各サービスを提供しています。
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