定年再雇用に伴う必要な手続きとは?
60歳の定年を迎えた正社員を継続して有期の嘱託社員として再雇用しました。
必要な労務上の手続きはありますか。
労働者を定年再雇用する場合、再雇用後の給与が従前より下がるケースがあります。
その場合、社会保険において同日得喪という手続きを行うことができます。
同日得喪とは
60歳以上の社会保険の被保険者が、同一事業所で継続して再雇用され、給与が減額となった場合に、被保険者資格の喪失手続きと取得手続きを同日付けで行うことを指します。
当該手続きを行うことで、再雇用された月から、再雇用後の給与に応じた標準報酬月額に決定することができます。
メリット
一般的に給与額が下がった場合は、随時改定手続きを行いますが、同日得喪を行うことで、随時改定を待たずに再雇用後の給与に基づき標準報酬月額を減額改定することができます。そのため、随時改定時よりも早いタイミングで社会保険料を下げることが可能です。
デメリット
標準報酬月額が下がるため、傷病手当金の給付額や将来受け取る老齢厚生年金の受取額が下がります。
なお、本手続きは定年再雇用時にとどまらず、60歳以後に退職した後、同一の事業所にて継続して再雇用される場合に行うことができます。そのため、今後、この労働者との有期雇用契約を更新する際、給与がさらに減額になる場合は、契約更新の都度、同日得喪の手続きを行うことが可能です。
<日本年金機構>
著者プロフィール
アクタス社会保険労務士法人
スタッフ約200名、東京と大阪に計4拠点をもつアクタスグループの一員。
アクタス税理士法人、アクタスHRコンサルティング(株)、アクタスITコンサルティング(株)と連携し、中小ベンチャー企業から上場企業まで、顧客のニーズに合わせて、人事労務、税務会計、システム構築支援の各サービスを提供しています。