電子帳簿保存法の効率的な業務の進め方
2024年8月20日
電子帳簿保存法(以下電帳法)の施行により、業務が複雑化した企業も多いのではないでしょうか?本コラムでは、電帳法の運用で生じるお悩みや、課題を解消するきっかけとなるような効率的な業務の進め方についてご紹介します。
制度開始後の現状
2022年1月に電帳法の改正が施行されました。実際に対応が開始され2年経過しましたが、「想定よりも業務負荷が多い」「運用が複雑化している」など、“始めてみたけれども業務が増えて大変だ”という企業も多いです。電帳法の懸念・課題について帝国データバンクが出しているアンケート結果によると、70%近くの方が、「業務負担の増加」と回答しています。次に多い回答は、「社内での理解・連携不足」になります。
アンケート期間は2023年12月8日~12日 有効回答企業数は1,023社(インターネット調査)
では、どの業務に負担がかかっているのでしょうか。それは、紙や電子データで受領している請求書等の保管業務です。紙と電子データで受領していることにより管理が2重になります。請求書業務を例にとり、担当者の業務負担内容を見てみましょう。
請求書業務
以前は紙で届いていた請求書ですが、最近は紙で届くだけでなくメール添付やWebサイトからのダウンロードなどさまざまなケースがあります。請求書の保管方法は、紙で届いたものは紙で保存が認められていますが、メールやWebサイトからダウンロードしたものは電子保存が原則です。そのため紙と電子データが混在して管理している企業が多く、保管業務の2重管理が発生しています。それにより、請求書を探すことに無駄な時間がかかることや、さらには紙の保管場所の確保ができないことも問題になっています。
業務時間を削減できる3つのポイント
業務時間を削減するためには、紙と電子データの2重管理を改善することが必要です。そのための3つのポイントをご紹介します。
1. 電子データと紙文書の一元管理
紙文書を電子化するスキャナ保存については、義務化ではありませんが、電子化することで管理が一元化できます。それにより、書類の検索がスムーズに実施できます。また、紙文書がなくなることで、紙の保管場所を確保する必要がなくなり、社内のスペース確保にもつながります。スキャナ保存をするためにはいろいろと満たさなければいけない要件はあるのですが、年々緩和されています。スキャナ保存を活用して電子データへの統一を進めていきましょう。
2. 申請承認フローの電子化
申請承認フローも紙で処理するのでなく、電子化することで業務効率化につながります。
例えば経費の証憑が電子データで届いていても、紙に起こして申請していては、電帳法の対応と経費処理が二度手間になります。電子データできたものは電子のまま、紙の証憑も電子データに統一し、申請から保管まで流れる仕組みづくりをします。それにより外出先や在宅時でも申請や承認作業をすることができます。電子化することにより経理担当者だけでなく従業員双方の業務負荷軽減につながります。
3. 会計システムへの連携
データを電子化で統一することで会計システムに取り込むことができます。電子化したデータを有効活用し、会計システムへデータを連携しましょう。
例えば、経理の方が直接請求書などの証憑を受領するケースや、領収書など従業員の方が経費としてワークフローに添付して提出してくるケースがあるかと思います。
どちらも証憑を受け取ったらシステムに保存します。データを確認し、会計システムと連携させると、仕訳起票を自動化できます。
システム導入例
業務時間を削減できる3つのポイントをもとにシステムを導入した事例をご紹介します。
証憑保管システム(NI Collabo 360 電帳法ストレージオプション)
電子データと紙文書の保管をするシステムです。保存するだけでなく、OCR機能を搭載していますので必要項目の自動入力も可能です。
【機能紹介】
- インボイス登録番号を国税庁のHPと連携して事業者登録番号の確認、自動入力
- OCR機能で必要な項目を自動入力で転記の時間やミスを削減
- 請求書や領収書以外の経理を通さない見積書などのデータの保管も可能
- 経理の担当者だけでなく、営業など社員の方がアクセスできる環境の構築が可能
申請承認業務のシステム(NI Collabo 360 経費精算)
申請、承認業務のシステムです。経費精算のワークフローをシステムで対応できます。業務の流れは下記になります。
申請者:スマホで写した領収書を添付して使った経費を、承認者へ提出します。スマホで撮るとOCR機能により、申請項目が自動で反映されます。内容をチェックして申請するだけで作業が完了します。
承認者:申請内容を確認して、承認します。内容が間違っている場合は、差戻も可能です。承認処理が完了すると、経理担当者へデータが送られます。
経理担当者:承認された内容に不備がないかチェックします。最終承認された経費は、仕訳データの状態で送られてきますので、会計伝票への入力なども不要となります。
会計システムとの連携(経理システム)
会計と証憑保管システムを連携し、証憑をアップロードすることで仕訳伝票を自動起票します。証憑は仕訳伝票に自動的にひもづけされます。
また、紙で受領した請求書もOCR機能を搭載しているシステムを利用すると、スキャンしてアップロードするだけで仕訳伝票が自動起票されます。証憑保管までされますので効率よく会計システムと連携することができます。
また、ワークフローで処理した仕訳データを会計システムで取り込めるように変換することで経費精算や支払処理の取引内容を仕訳伝票として転送することができます。
まとめ
電帳法の対応をするためには、義務化された部分だけ対応しようとすると、これまでの業務に加えて手間が増えます。まずは、紙と電子の二重管理をなくす取り組みが業務効率化の第一歩です。証憑の受領から帳簿への記帳・保存まで、一気通貫でできるシステムを活用し、業務環境を整えましょう。
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