蛍光灯の廃止が迫る!
2027年問題とオフィスで進めるべき対応策

2025年2月3日
2027年末までに、蛍光灯の製造・輸出入が全面禁止される「2027年問題」が迫っています。特にオフィスや公共施設で広く使用されている直管蛍光灯が対象となり、多くの現場でLED照明への切り替えなどの対策等が徐々に必要です。
本コラムでは、蛍光灯の「2027年問題」に対応するための効果的な対策と知っておくべきポイントを解説します。LED照明へのスムーズな移行を実現し、業務の効率化とコスト削減を図りましょう。
蛍光灯の「2027年問題」とは
蛍光灯の「2027年問題」とは、蛍光灯の製造・輸出入が2027年末までに全面禁止されることを指します。特に、オフィスや公共施設で広く使用されている直管蛍光灯を含む一般照明用蛍光灯が対象です。多くの現場で蛍光灯をLED照明に切り替える対策等が徐々に必要となり、初期導入コストの負担や、既存の照明設備との互換性、LED照明の選定や設置に関する専門知識が不足しているなど、適切な対応が難しいと感じる現場も少なくありません。
水銀に関する水俣条約と蛍光灯廃止の関係
この背景には、水銀が地球環境の汚染や健康被害を引き起こす有害物質であることが挙げられます。水俣条約は、2017年に発効された国際的な環境保護の枠組みで、水銀を使用する製品やプロセスを段階的に削減・廃止することを目標としています。この条約に基づき、蛍光灯も水銀を使用している製品の一つとして対象になりました。蛍光灯には微量の水銀が含まれており、廃棄時に不適切に処分されると土壌や水質汚染の原因となるため、国際的な規制が進められています。
条約の具体的なスケジュールとしては、一般家庭向けの電球形蛍光灯やコンパクト形蛍光灯は2026年末までに製造・輸出入が禁止されます。その後2027年末までに、直管蛍光灯を含む一般照明用蛍光灯も完全に廃止されることが決定しています。
この動きを受けて、蛍光灯の需要が今後減少し、2027年以降は交換用蛍光灯の供給が著しく制限されることが想定されています。そのため、各企業や施設では早めにLEDへ移行することが良いとされており、対応を先延ばしにするとコスト面や運用面で大きな負担となる可能性があるとされています。
しかし、蛍光灯は依然として製造・供給されており、多くのオフィスや公共施設で使われ続けています。そのため、この規制が利用者に与える影響は小さくありません。

-
※
直管蛍光ランプと環形蛍光ランプには一般タイプの「ハロリン酸塩系」蛍光ランプとプレミアムタイプの「三波長系」蛍光ランプとの二種類があり、互換性があります。後者の方が高効率でより明るい仕様です。「ハロリン酸塩系」が2026年末、「三波長系」が2027年末に、製造・輸出入が廃止されます。
廃止がもたらす影響
蛍光灯の廃止は、特にオフィスや中小企業に大きな影響を与えると予測されています。
交換用蛍光灯の供給が制限されることで、現在使用中の蛍光灯が寿命を迎えた際に、代替品が手に入りにくくなることで、LED照明への入れ替えが必要となる場合があるからです。
また、LED照明の材料価格の高騰も懸念されています。パナソニックや東芝ライテックといった主要メーカーがすでに蛍光灯の大幅な値上げを実施していることから、将来的にはLED照明の移行にかかるコストもさらに増加する可能性があります。導入を「先送り」にすると高い買い物になるリスクも考えられるため、早めに対応しましょう。
メーカー名 | 価格改定実施日 | 値上げ率 |
---|---|---|
パナソニック株式会社 | 2023年4月1日 | 約10~20% |
三菱電機照明株式会社 | 2023年4月1日 | 約10~30% |
東芝ライテック株式会社 | 2023年4月1日 | 約15% |
岩埼電気株式会社 | 2025年4月1日 | 約15~30% |
アイリスオーヤマ株式会社 | 2022年4月1日 | 約5~20% |
株式会社遠藤照明 | 2023年4月1日 | 約15% |
-
※
2025年2月時点
蛍光灯からLEDへ移行する際の課題
LED照明が市場に登場してから数年がたちました。しかし、蛍光灯からLEDへの移行は思ったほど進んでいません。なぜ、多くのオフィスや公共施設が依然として蛍光灯を使用し続けているのでしょうか?以下よりみていきましょう。
価格面のハードルと初期コスト
LED照明は長期的にコスト削減が可能である一方、初期導入コストが比較的高いため、予算面での負担が大きいと感じられています。さらに、材料価格の高騰により、LED照明自体の価格が年々上昇しています。2023年には多くの主要メーカーがLED製品の値上げを実施しており、価格面での障壁が以前よりも高まっている状況です。
既存蛍光灯との互換性の問題
既存の蛍光灯にはLED照明がそのまま利用できない場合があり、メーカーごとの仕様やソケット・電流などの互換性の問題があります。しかし、蛍光灯の入れ替えが必要となる多くのオフィスでは、技術的な互換性に関する情報が十分に共有されていないことから、適切な製品の選び方に苦労しています。
社内リソースや工事の手間
多くの企業では、LED化に向けた計画立案や設備工事をスムーズに進めるための社内リソースが不足しています。特に中小企業では、専門的な知識を持つスタッフが少なく、外部業者への依頼が不可避となります。また、オフィス全体の蛍光灯をLEDに切り替えるには、時間的・物理的な制約も大きな課題です。通常業務への影響を最小限に抑えながら工事を進めるためには綿密な計画が必要ですが、そうした取り組みが後回しになるケースも少なくありません。
これらの課題を解決するために、LED化にするメリットをしっかり理解しておきましょう。
LED化のメリット
LED照明は、蛍光灯と比較して寿命が長く、交換頻度が少ないため、ランニングコストが削減されます。初期投資が高額になるケースもありますが、長期的に大幅なコスト削減が期待できます。
また、電力消費量が蛍光灯よりも少ないため、電気料金の節約につながります。特にオフィス内で使用する照明が多い場合、電気代の削減効果が顕著です。
オフィスの省エネルギー効果
LED照明は高い省エネルギー性能を誇ります。同じ明るさを得るために必要なエネルギー量が蛍光灯と比べ半分以下となるケースも多く、エネルギー効率が非常に優れています。オフィスの照明全体をLEDに入れ替えることで、企業全体のエネルギー消費量を削減でき、環境負荷の軽減に寄与します。2027年問題の背景として環境保護が挙げられる中、LED照明は持続可能な社会を目指す取り組みとしても最適な選択肢です。
社員の働く環境改善効果
社員の働く環境を整えることは企業として大切なことです。例えば、LEDは点灯時のチラつきが少なく、目の疲労を大幅に軽減します。また、自然に近い光を再現できる製品も多く、オフィス内の雰囲気が向上し、社員の集中力や生産性の向上が期待できます。さらに、LEDは発熱量が少ないため、室温が安定し、空調負荷が軽減される点もメリットの一つです。こうした要素が重なり、LED化は働きやすい職場環境の実現につながります。
上手にLED照明へ切り替える“3つのポイント”
光源寿命が長い省エネ光の色温度が調節可能蛍光ランプからLED照明に切り替える際、
-
色温度
-
明るさ
-
大きさと長さ
この3つをそれぞれ現在ご使用の蛍光灯器具と近いものを選ぶことで、現状の雰囲気を変えることなく上手にLED化することができます。

オフィスで進めるべき具体的な対応策
蛍光灯からLED照明への移行の必要性についてここまで話してきましたが、実際にオフィスでどのように進めるべきか悩むことも多いでしょう。ここでは、具体的な対応策について解説します。
現状の蛍光灯使用状況の調査
まず、オフィスで蛍光灯をどの程度使用しているのか、現状把握することが重要です。
具体的には、下記4つになります。
- 蛍光灯の数量
- 種類(直管型やコンパクト型など)
- 稼働時間
- 寿命の把握
これにより、どれくらいの量をLED照明へ入れ替える必要があるのかが明確になります。また、蛍光灯が使用されているエリアをリストアップし、優先的にLED化すべき部分を特定すると効果的です。このような調査を事前に行うことで、無駄のない置き換え計画を立案できます。
早めのLED化計画立案の重要性
早めにLED化計画を立てることは不可欠です。2027年が近づくほど、蛍光灯の供給不足が予想され、さらに材料価格や設置コストの高騰も懸念されます。特に、価格が上昇している蛍光灯やLED照明に関する情報を収集し、適切な時期に交換を進めることがコスト削減につながります。また、計画中にはオフィスの使用電力量を考慮し、省エネルギー効果を最大限に活用できるLED製品を選定することが重要です。
補助金や助成金制度を活用する
切り替えに伴う初期コストを軽減するため、国や地方自治体が提供している補助金や助成金制度を活用することが推奨されます。多くの場合、LED化に対応した設備への補助金が設けられており、申請に必要な書類や手続きについては各自治体のホームページで確認できます。特に中小企業などでは、こうした補助制度を利用することでコスト負担を最小限に抑え、早めの対応が可能になります。
まとめ
2027年問題に伴う蛍光灯の全体的な廃止は、国内外の法律や環境問題への対応という背景から避けられない課題です。
蛍光灯の廃止は単なる照明器具の入れ替えにとどまらず、企業価値を向上させ、持続可能な社会への貢献にもつながります。今後の供給懸念やコスト変動に対応するためにも、早期行動が必要です。この取り組みによって、環境負荷の軽減や法規制対応という責任を果たし、企業として確かな未来を築いていきましょう!
おすすめソリューション
キヤノンシステムアンドサポート株式会社は、コスト削減や環境対策に貢献する照明器具「LED照明」を提供しています。
消費電力が少なく、寿命が長いため照明にかかわるコスト削減が可能です。
また、節電対策・コスト削減など、付加価値の高いLED照明のご提案をするとともに、お客さまからのさまざまなご要望に応じたご相談にもお応えいたします。
サービス概要
- 現地調査の実施
- コスト比較をご提示
- 最適な照明のLED化をご提案
- 安心・丁寧な施工
さらに、既存の照明設備からの交換工事も承ります。
コストの無料診断も行っておりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
Q&A
-
Q1これまで使用していた蛍光灯は継続して使えますか?
-
A1
現在使用中の蛍光灯は、継続して使用できます。また、2027年末までに製造された蛍光灯であれば、そのあとも販売や購入が認められています。
ただし、蛍光灯の交換部品や修理用の製品は製造されなくなるため、交換や修理が必要な場合は2027年末までに対応しなければなりません。 -
Q2ランプだけ交換してLED照明へ移行できますか?
-
A2
工事が必要になるケースとそうでないケースがあります。工事が必要であるのにも関わらずそのままLED照明を取り付けてしまうと節電効果を得られなかったり、火災の原因になったりするため、取り付ける前に必ず確認してください。
-
Q3既存の調光器はつかえますか?
-
A3
LED電球と調光器の組み合わせや器具の仕様によって異なります。
LED電球のパッケージなどに記載されている器具制限の確認を行いましょう。 -
Q4ランプの表示から水銀使用ランプかどうかを確認できますか。
-
A4
水銀を使用していることを示すマークを、ランプ本体に表示しています。(2016年末頃より順次表示を開始しています。)
また、品番を確認すると、水銀を使用しているランプかどうかがわかります。
蛍光灯の場合は、品番の最初のアルファベットが「F」または「EF」で始まります。
HIDランプの場合は、品番の最初のアルファベットが「B」「N」「M」「H」で始まります。ただし、海外製品や製造メーカーが異なる場合は当てはまらない場合があります。あいまいな場合は、製造メーカーに問い合わせて確認しましょう。
なお、白熱電球、ハロゲン電球、点灯管、LEDランプには、水銀を使用していません。
今すぐ読みたいおすすめ情報
ソリューション・商品についてのご相談・見積・お問い合わせ
キヤノンシステムアンドサポート株式会社