防犯カメラに必要な画質って?
2022年3月31日
更新:2024年12月19日
テレビやネットのニュースでも見かけることが多くなった防犯カメラの映像。「きれいになった」「はっきり映っているな」と思われた方も多いのではないでしょうか。カメラの画質は拡大したときに大きく違いがでます。さまざまな要因があれど、映像が不鮮明となれば、十分に役割を果たすことができません。また、年々画質の向上に伴って防犯カメラの用途が変わってきています。本コラムでは、目的に合った解像度、カメラの台数の考え方についてご説明します。
検挙の決め手、第2位は防犯カメラの時代!
何らかの犯罪が起きてしまったとき、初動捜査における客観証拠の収集が非常に重要だと言われています。
「警察白書」にも、「事件発生時には、迅速・的確な初動捜査を行い、犯人を現場やその周辺で逮捕し、又は現場の証拠物や目撃者の証言等を確保することが、犯人の特定や犯罪の立証、更には連続発生の防止のために極めて重要である。」と書かれています。
また、「防犯カメラ画像等は、被疑者の特定や犯行の立証に有効であることから、事件関係者の足取りの確認、防犯カメラ画像等を公開しての追跡捜査等、警察捜査における様々な場面で活用されている。」
「防犯カメラ画像等の分析結果から被疑者の検挙に結び付いた事件の中には、被害者と全く面識がない被疑者による偶発的な犯行によるものもあり、防犯カメラ画像等は、警察捜査に欠かせないものとなっている。」とあり、解決にカメラ映像が非常に重要であることが見て取れるかと思います。
2020年に警察庁より発表された統計でも、容疑者特定の主なきっかけの2位はカメラ画像(10.2%)となっており、実に1割を超えています。(1位は職務質問で16.5%)
検挙率アップにカメラが貢献していること、そしてその認知が上がってきていることがわかります。
カメラの画質の進歩
現在の防犯カメラの主流は、「ハイビジョン画質」や「フルハイビジョン画質」となっており、10年前までの主流であった「VGA画質」と比べるとめざましい進歩を遂げています。どのくらい差があるかというと、VGA画質が約30万画素(640×480ピクセル)に対してハイビジョン画質は約130万画素(1280×960ピクセル)。フルハイビジョン画質は約210万画素(1920×1080ピクセル)と、画素数を比較してもより多くなっていることがわかります。
こんなこともわかっちゃう!?カメラのチカラ
画質がきれいになった=画素数が多くなったということは、「拡大しても鮮明に映っている」ことを意味します。拡大しても鮮明に映っているということは、例えば「ほくろの位置」や「着ている服のロゴ」などが特定できるということです。つまり、以前のように「黒っぽい服装」ではなく「○○メーカーの黒の服装」のように、特徴にまで絞り込むことができるということです。
鮮明な映像はより多くの特徴を拾い出すことが可能で、対象の特定に大きく寄与しているのです。
一見すると同じような画像でも、画質の良さは拡大したときに大きく違いが出ます。
一例として、下記の写真を見てみましょう。
これは、オフィスの柱に掛けられた時計の写真です。約6メートル離れた場所から撮影しました。
何の変哲もない写真で、さほど画質の重要性はなさそうに見えます。しかし、時計の部分を拡大してみると・・・こんなに違いがあります。
実は防犯だけじゃない、防犯カメラの用途
画質の向上は、防犯カメラの活躍をより促進しただけではなく、活躍の場を広げることにもつながっています。
例えばコンビニエンスストア。レジ上にカメラがあるのを見たことがある方も多いかもしれません。このカメラは何を見ているのか、わかりますか?
それは金種です。昔であればコンビニ強盗を捉えるカメラとして、顔を映すことを目的としていましたが、今では、つり銭トラブル等のレジ前トラブルを回避させるために設置されることが増えてきています。
例えば、5,000円を払ってつり銭をもらったお客さまが、後に「さっき10,000円渡したけど」と言ってくるトラブル。この時の証拠になるのは、カメラが捉えていた映像です。当然、5,000円なのか10,000円なのかを見極められる画質が必要となります。画質がその金種までを見極められる精度に向上したことにより、活躍の場を広げた一例です。
ほかにも食品製造業の異物混入の原因を究明するために、画質の精度が活躍している場面もあります。
ふかんして製造現場を映すようにしていることが多いですが、異物混入などの事故が発生した場合に必要なのは、作業員の手元まで捉えられる映像です。拡大したときに、作業員の手元まではっきりと映し出すことのできる画質が原因究明に必要なのです。
画質が向上したことにより、あらゆる場面でのカメラの活躍、活用の幅が広がったといっても良いのではないでしょうか。
目的に合った解像度、カメラの台数はどうやって考える?
映像の鮮明さについて書いてまいりましたが、実際の導入に際しては目的によって必要な解像度は異なります。
防犯カメラの世界では、「検知」「認識」「識別」ということがよく言われます。わかりやすく言うと
- 「検知」は「あっ誰かいる!」。
- 「認識」は「あの人かな?」(知っている人ならわかる程度)。
- 「識別」は「あの人だ!」ということです。
カメラの画質が向上したことにより、今まで「検知」程度であった映像が、「認識」までできるようになり、「認識」程度であったのが、「識別」までできるようになったということになります。
また、捉えた映像が「検知」レベルであっても、高画質のカメラであれば拡大しても鮮明に詳細をとらえることができ、「認識」や「識別」のレベルで確認することができます。
導入の目的が、「認識」や「識別」できることである場合は、より高画質なカメラを選択する必要があると言えます。
では、カメラの台数はどのように考えればいいのでしょうか。
カメラの解像度が高いと、1台で識別できる範囲は広がります。識別させたい範囲が広い場合、解像度の高いカメラを選択すれば、カメラの台数を減らすことも可能になります。
逆に、解像度の低いカメラでは必要台数ばかりが増えるということになります。
導入や既存機器の入れ替えの際には、予算はもちろんですが「何を」「どの範囲で」「どの程度」(検知~認識~識別)映したいのか、を考えることが重要です。
まとめ
画質が「きれい」になると、それに伴ってさまざまなことがわかり、そしてカメラの活用機会が増えていくことをご理解いただけましたか?
最近では4K画質のカメラも登場し、今後さらに防犯カメラの活躍の場が広がっていくことでしょう。
「いつ必要になるかわからないし、とりあえずこの辺りが映っていればいいや」と選びがちであった防犯カメラ。
しかし、画像の鮮明さが解決の成否を分けることもあり、また新たな役割も担うとなれば「安かろう悪かろう」ではいざという時に役に立たないかもしれません。
導入の目的に合った解像度、台数をしっかりと見極めて選ぶことをお勧めします。
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