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「見える化」と「仕組み化」で強化する経営基盤
~建設業における原価管理の課題と解決策~

  • 会社の処方箋

2025年12月9日

建設業は、他の業種と比べて「原価管理」が特に難しい業界です。
これは、案件ごとに工期や規模が異なり、材料費・外注費・労務費など原価管理の要素が複雑なためです。さらに、工期が長期に及ぶ案件における材料と資材価格・労務費の変動、異なる条件の案件を同時並行で管理する必要性なども原価管理を難しくしている要因です。このような条件下でも案件の収益性を安定して確保するには、原価情報の「見える化」と業務プロセスの「仕組み化」を進めることが重要となります。
本コラムでは、建設業における原価管理の課題と、「見える化」と「仕組み化」を実現に向けたシステム導入のポイントとメリットについて詳しく解説します。

原価管理の現状と課題

建設業における原価管理には、以下のような課題が存在します。

  • 現場ごとの収支が見えにくい

    多くの企業では、原価情報がExcelや紙ベースで管理されており、リアルタイムでの把握が困難です。
    その結果、工事完了後に初めて「赤字だった」と気づくケースも少なくありません。

  • 情報が分散し、集計に時間がかかる

    材料費、外注費、労務費などの一元管理すべき情報が各部署や現場に分散しており、集計や分析に多くの時間と手間がかかります。

  • 属人化によるリスク

    経理担当者や現場管理者など一部のベテラン社員の経験や勘に頼った管理が多く、担当者が変わるとノウハウが引き継がれず、業務の質が低下する恐れがあります。

  • 経営判断の遅れ

    原価情報がリアルタイムで把握できない場合、経営層は追加工事や設計変更への対応、外注契約の見直し、資金計画の調整など利益を守るための重要な意思決定を迅速に行うことが難しくなります。
    さらに、昨今の建設業界では資材価格の変動や人手不足による労務費の高騰が続いており、コストを正確に把握し、利益を守るための管理体制の必要性はますます高まっています。こうした外部要因に迅速に対応するためには、従来の紙やExcelによる管理では限界があります。

原価管理の重要性とは?

原価管理は単なるコストの記録ではなく、経営の健全性を保つための「羅針盤」です。
適切な原価管理を行うことで、以下のような効果が期待できます。

  • 利益の最大化:無駄なコストを削減し、利益率を向上させます。
  • 業務の効率化:情報の一元管理により、集計や報告の手間を削減します。
  • 経営の透明性向上:現場ごとの収支が明確になり、経営層の判断材料が増えます。
  • 次回案件へのフィードバック:過去の実績をもとに、より精度の高い見積もりや計画が可能になります。

原価管理は、単なる「数字の管理」ではなく、企業の競争力を高めるための戦略的な取り組みです。例えば、過去のデータを分析することで、どの工程でコストが膨らみやすいかを把握し、次回の工事で改善策を講じることができます。こうしたPDCAサイクルを回すことで、継続的な利益改善が可能になります。

建設業の原価管理におけるPDCAサイクル

  • Plan(計画)
    • 工事開始前に予算を設定し、原価目標を明確化します。
    • 材料費・外注費・労務費などの見積もりを精査し、利益率を確保する計画を立てます。
  • Do(実行)
    • 現場での作業を進めながら、原価情報をリアルタイムで入力・収集します。
    • 購買や外注契約を計画通りに進め、コストを管理します。
  • Check(評価)
    • 実績原価と予算を比較し、差異分析を行います。
    • コスト超過の要因を特定し、どの工程で問題が発生したかを把握します。
  • Act(改善)
    • 次回の工事に向けて、改善策を反映します。
    • 例えば、外注先の選定基準を見直す、資材調達のタイミングを変更するなど、具体的な対策を講じます。
Plan:予算を設定 Do:原価情報を入力・収集 Check:原価差異を分析 Act:改善策を考え実行する

原価管理システム導入のポイント

原価管理を効率的に行うためには、システムの導入が不可欠です。導入にあたっては、以下のポイントを押さえることが重要です。

  • 現場と本社の情報連携

    現場で発生する原価情報(材料費、外注費、労務費など)をリアルタイムで本社と共有できる仕組みが必要です。
    ​モバイル端末やクラウドを活用することで、現場からの入力もスムーズになります。

  • 予算・実績・見込みの3軸管理

    工事開始前の「予算」、進行中の「実績」、そして完了見込みの「見込み」を同時に管理することで、進捗に応じた柔軟な対応が可能になります。

  • 入力の簡素化と自動化

    現場の負担を軽減するためには、入力項目を最小限にし、可能な限り自動化することが重要です。
    ​例えば、購買システムや勤怠システムと連携することで、手入力の手間を削減できます。

  • 他システムとの連携性

    会計システムや工程管理システムなど、他の業務システムと連携することでデータの整合性が保たれ、業務全体の効率化が図れます。

  • セキュリティ対策

    クラウド型システムを導入する場合、データの暗号化やアクセス権限の管理を徹底することで情報漏えいのリスクを最小化できます。

原価管理システム導入によるメリット

原価管理をシステム化することで、企業全体に以下のようなメリットがもたらされます。

  • リアルタイムな原価把握

    現場からの情報が即時に反映されるため、異常値やコスト超過を早期に発見し、迅速な対応が可能になります。

  • 属人化の排除と業務の標準化

    システムにより業務フローが明確化され、属人化させることなく一定の品質で原価管理が行えるようになります。

  • 経営数値の一元管理

    複数の現場の原価情報を一元的に管理できるため、経営層は全体の収支状況を俯瞰(ふかん)しながら戦略的な判断が可能になります。

  • データ活用による継続的改善

    蓄積され工事やプロジェクトに関する原価情報(材料費、外注費、労務費など)を分析することで、見積もり精度の向上やより効率的な施工方法の検討など、次の案件への改善につながります。

まとめ

建設業における原価管理は、企業の利益を守るための「要」です。従来の紙やExcelによる管理から脱却し、システムによる「見える化」と「仕組み化」を進めることで、業務の効率化と経営の質の向上が期待できます。今後の建設業界では、デジタル技術を活用した原価管理の高度化が、企業の競争力を左右する重要な要素となるでしょう。まずは、自社の仕組みを見直し、課題を明確にした上で段階的なシステム導入から始めてみてはいかがでしょうか。

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