DX認定取得にチャレンジしてみませんか―DXに取り組んでいる企業を認定するDX認定―

2025年3月17日
DX認定は、企業がデジタル化に向けた取り組みを公的に認められる制度です。取得することで、自社のデジタル化の現状を把握し、対外的なアピールや公的支援措置の受けやすさなど、多くのメリットを享受できます。本コラムでは、DX認定制度のメリットや取得のためのステップについて解説します。
DX認定とは
DX認定制度は、経済産業省が定める「デジタルガバナンス・コード」に対応し、デジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組む準備が整っている企業を認定する制度です。簡単に言うと、「当社はDXに向けて取り組んでいます」と公的にお墨付きをもらえるものです。
2024年10月時点で全認定事業者数は1250者、中小企業等では548者となっており、1年前と比較して中小企業等では約2倍に増加しています。これにより、DX認定制度やDX推進の取り組みが広がっていることがわかります。
「うちの会社では、DXにそれほど取り組んでいないので難しいのでは?」と感じるかもしれませんが、段階的に進めていけば不安に思う必要はありません。DX認定は、DXに取り組んでいる企業、言い換えるとこれからDXに取り組む体制を整備している企業※(DX-Ready)であれば、十分取得可能なレベル感なのです。
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出典:独立行政法人情報処理推進機構 DX認定制度 申請要項(PDF:2,018KB)
取得のメリット
DX認定を取得することには、大きく分けて3つのメリットがあります。
自社のDXレベルが明確になる
認定を取得するには、経済産業省が定める「デジタルガバナンス・コード※」に沿った取り組みが求められます。この申請プロセスを通して、自社のDXの現状を整理し、足りない部分を把握することができます。つまり、「うちの会社のデジタル化は客観的に見てどのレベルにあるのか?」を評価する機会になります。
取引先や求職者等外部へのアピール
DX認定を取得すると、DX推進ポータルに事業者名が掲載され、対外的に「DXに取り組んでいる企業」として認知されます。これにより取引先や顧客への信頼感が高まり、就職活動をしている学生に対してもデジタル活用に積極的である企業としてアピールできます。また、社内のDX推進にもプラスに働きます。
公的支援措置が受けやすくなる
認定取得によって公的な支援措置を受けやすくなる点も大きなメリットです。中小企業対象の金利優遇、人材開発支援助成金などを受けることができます。これにより、特に中小企業は限られたリソースの中で効果的にデジタル化を進めることが可能です。
このようにDX認定は、自社の現状を把握し、取り組み体制の整備を行い、対外的にもアピールできる絶好の機会なのです。
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出典:経済産業省 デジタルガバナンス・コード
DX推進ポータル DX認定制度 認定事業者の一覧
認定のハードルはどのぐらい?
では、「DXに取り組んでいる企業(DX-Ready)」とはどの程度の状態を指すのでしょうか。DX認定の申請には、大きく以下のポイントを満たす必要があります。
- 経営戦略とDXの関連性が明確になっている
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経営層がDXの必要性を理解し、推進の方針を示している
・DXの目的が、会社の事業戦略と結びついている
・DX推進のための体制がある
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DX推進の体制、組織を決定し公開している
・デジタル人材の育成と確保のための方針を示している
・デジタル技術を活用した変革の取り組みがある
・ITシステム環境の整備に取り組んでいる
・既存業務のデジタル化を進めている
・DXに関する投資や予算の確保がされている
これらを見ると、DXが進んでいないから難しいと思われるかもしれませんが、以下のような取り組みをしている企業は多いのではないでしょうか。
- 業務効率化のためのITツールを導入した
- クラウドサービスを活用している
- 経営会議でデジタル活用について話をしている
ここから整理をしていけば、認定のチャンスはあります!
それでも不安な方は、DX推進ポータルで、すでに認定を受けている企業の申請書を確認してみましょう。
従業員数、規模、業種の条件で、絞込んで検索ができます。取り組みや認定のレベル感が理解できると思います。
では、続いて申請に向けて何が必要かご紹介します。
申請に向けて何が必要か
まずは自社の現状を整理し、方針を明確にすることが大切です。
DX認定の申請にあたり、申請書に記載する6つの項目を決定する必要があります。

まずは以下のポイントを整理しましょう。
自社の現状を把握する
申請書で必要とされている項目のうち、鍵となる3点を確認します。
- 経営層はどの程度DXへの関心をもっているか
- 社内でデジタルツールを活用しているか
- IT投資の計画やデジタル化の方針があるか
DX推進の方針を定める
DX認定を取得するためには、経営戦略とDXの関連性を明確にする必要があります。経営層と共に自社のビジネス環境や経営環境について整理し、経営ビジョン実現のために必要なビジネスモデルの方向性を検討しましょう。
申請書類を準備する
DX認定の申請には、DXの取り組みや計画を示す資料が必要です。
- DX戦略やビジョンをまとめる
- DX推進体制や取組実績をまとめる
- DXに関する経営層のコミットメントを示す
これらの準備を進めることで、DX認定の取得に一歩近づくことができます。
特に重要なのは、経営層とともに検討していくことです。申請にあたり、取締役会などの意思決定機関の承認を取り、内容をウェブサイトなどで対外的に公表することが求められています。まずは、経営層と自社のDX推進について対話をすることが重要です。
DXに取り組んでいる企業(DX-Ready)とは
DX認定申請要項には次のような記載があります。
経営者が、データとデジタル技術を活用して自社をどのように変革させるかを明確にし
実現に向けたDX戦略を作るとともに自らが対外的にそれらをメッセージとして発信している状態企業全体としては、必要となる組織や人材を明らかにしたうえで
ITシステム環境の整備に向けた方策やサイバーセキュリティ対策を示し
DX戦略の成果指標を設定したうえで、課題の分析・把握を行う準備ができている状態
デジタル変革(DX)は、企業にとって単なる技術導入ではなく、ビジネスモデル自体を根本から見直し成長させる重要なステップです。DX認定取得を目指すことで、業務効率化、顧客満足度の向上、さらには新しい市場の開拓といった多くのメリットを得られる可能性があります。この変革を推進することで、企業は持続的な競争力を維持し、社会的価値も高めることが期待できます。
DX認定はワクワクする未来に向けたパスポート
キヤノンシステムアンドサポートは、DX認定事業者としての経験・ノウハウを元に、DX認定を取得したいお客さまからの相談をお受けしております。初めてDX認定を取得したいお客さまを対象に、DX推進指標に基づいた現状の可視化・整理や、申請書類作成のアドバイスや原案作成を行います。
DXを推進したい、時間をかけずに効率よくDX認定を取得したいお客さまはぜひご相談ください。
DX認定は、ワクワクする未来に向けてのパスポートのようなものです。DX認定は企業の競争力を高め、持続的な成長を支援します。
これを機に、自社のデジタル化を一歩前進してみませんか?
著者プロフィール
キヤノンシステムアンドサポート株式会社
経営戦略部
宮崎 花子
キヤノンシステムアンドサポートのDX戦略の立案・実行状況を統括する企画本部に所属し、2022年よりDX認定申請の実務を担当している。
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