5月まで待ち?
初任給の支給日ルールとその理由を解説!

2023年5月18日
更新:2025年3月3日
新しい職場での初任給は、誰にとっても特別な瞬間です。初任給の使い道を決めていた方もいれば、とりあえず貯金という方もいらっしゃるでしょう。しかし、なぜ初任給の支給が4月、5月と企業によって違うのでしょうか?本コラムでは、初任給の支給日ルールとその背後にある理由を分かりやすく解説します。
初任給とは?
初任給とは、初めて受け取る給与を指します。正式にはその月の勤務に応じて支払われる最初の給料のことです。もらうタイミングは、社会人としての第一歩を実感する重要な節目とされます。特に、これまで学生として生活してきた人々にとっては、自身の働きの対価として給料を受け取ることで、社会人としての責任感や達成感を得る大切な機会と言えるのではないでしょうか。
初任給の額面と手取りの違い
初任給の額面とは、労働契約などで提示された基本給与の金額を指します。額面は魅力的に見えることが多いですが、実際に手元に支払われる「手取り額」はここから各種控除を差し引いた金額となります。この控除には税金や社会保険料が含まれ、結果的に初任給の手取り額は額面よりも下回ります。
社会保険料控除とその影響
社会保険料には健康保険、年金保険、雇用保険などが含まれ、これらは法律で定められた割合に基づき額面から差し引かれます。この控除により、初任給の手取り額は額面より減少するため、「思っていたより少ない」と感じる新社会人も少なくありません。ただし、それらは今後の生活を支える重要な保障であるため、内容をしっかり確認しておきましょう。
締め日と支払日の違い
毎月の給与は25日に自動的に振り込まれていると思っていませんか?
給与支払いにおいて重要なのが、「締め日」と「支払い日」の関係です。
「○日~△日分」を決めているのが「締め日」(その日をもってひと月の区切りとする)、
「◇日に支払う」というのを「支払い日」と呼びます。
そのため、給与の支払いは「〇日~△日に働いた分を◇日に支払う」ということになります。初任給の支給月が異なるのは、「締め日」と「支払い日」が企業によって異なるためです。締め日・支払い日は五十日(ごとおび)と呼ばれる5の倍数日に設定されることが多く、ここをどう決めているかによって、特に入社月の給与支払いに影響します。
民間企業の場合、支払い日は25日が多いですが、国家公務員であれば人事院規則九―七(俸給等の支給)により16日~18日に決められています。(地方公務員は自治体ごとに決定。東京都=15日、大阪府=17日など)
初任給がいつもらえるかを正確に把握するためには、企業の給与規定や労働契約書に記載された情報を確認し、どのような締め日・支払い日ルールが適用されているのかを理解することが重要です。
締め日・支払い日の例(4月1日入社と仮定)
末締め翌25日支払いの場合
4月1日~30日に勤務した分の給与は、翌月の5月25日支払われます。(4月は受け取れない)

15日締め当月25日支払いの場合
前月の16日から当月の15日までの分が当月の25日に支払われます。
4月1日入社の場合、1日~15日までの勤務分が25日に支払われます。(4月は半分受け取れる)

末締め当月25日支払いの場合
4月1日~30日分が4月25日に支払われます。
この場合、26日~30日の5日分は勤務したと仮定して前倒しで支払われます。
その間に欠勤があった場合は翌月の給与で調整されます。(4月は満額受け取れる)
この仕組みでは、初任給を早めにもらえる点が魅力的ですが、社会保険料や税金の控除後の手取り額にも注意が必要です。

上記のように「いつからいつまでの分をいつ支払うか」によって入社当月に受け取れる給与が変わってきますが、それによって労働者に不利益が出るわけではありません。
就業前に確認すべき初任給の条件
就職活動や転職活動において、初任給の条件を事前に確認しておくことがとても重要です。具体的にどのようなことを確認すべきか、いくつかのポイントをおさらいしていきましょう。
支払いタイミング
初任給には「いつもらえるのか」という支給日が重要です。就業先企業の給与規定では、締め日と支払日のルールが定められています。たとえば、月末締め翌月10日払いの場合は、4月分の給与が5月10日に支給されるのが一般的です。このようなルールを知ることで、初任給が手元に入る具体的なタイミングを把握しておくことができます。
「額面」と「手取り」の違い
求人情報や採用案内に記載される初任給の金額は、通常「額面」で示されることが多いですが、ここから社会保険料や税金が差し引かれた額が実際に受け取る「手取り」となります。特に、ボーナスが含まれる場合や月中に就業を開始した場合などには日割り計算が適用され、手取り額がさらに変動する可能性があります。
社会保険料や所得税などの控除内容
これらの控除は法律で義務づけられており、初任給から必ず差し引かれるものです。そのため、実際の手取り額を正確に把握するには、控除後の給与もシミュレーションしておくと安心です。
支払いルール
「賃金規定」や「給与規定」にも目を通しておくことをおすすめします。特に月給制か日給制かといった支払い方式や、初任給の締め日・支払い日の詳細が明記されているため、これを確認することで予期せぬトラブルを防ぐことができます。
初任給は、新たな社会人生活の第一歩を踏み出すためにとても重要なものです。そのため、給料が「いつ」支払われるか、受け取れる手取りは「いつまで」に確定するかなど、条件をきちんと把握することが快適なスタートにつながります。
入社2年目は手取りが減る?
社会人2年目になると、手取り収入が減ったと感じることは珍しくありません。住民税の支払いがスタートし、社会保険料の負担が増加したことが原因です。会社員が住民税を納め始めるのは社会人2年目からです。自分で支払う「普通徴収」に変更していなければ、自動的に特別徴収が適用されて給与から天引きして納入されるため、手取り額が減ります。
住民税は前年の1月から12月までの所得に応じて1月1日に住民票がある自治体によって課税されます。税額は6月に決定され、そこから課税が始まります。昇給より税額の方が高いことが多く、その場合は賃金が上昇しても手取りは実質的にマイナスになります。
6月に住民税決定通知書が送付されますのでよく確認しましょう。
なお、給与明細書の見方も解説しています。併せてご覧ください。
参考:
まとめ
初任給は、新社会人や転職者にとって特別な瞬間であり、新たなキャリアのスタートを実感する重要な節目です。しかし、初任給の支給日や手取り額にはさまざまなルールや控除が関わってきます。額面と手取りの違いや、社会保険料の影響、企業ごとの締め日・支払い日の仕組みを理解することが大切です。
また、最近では給与のデジタル化も進んでいます。デジタル給与(給与デジタル払い)は、電子マネーやスマートフォンの決済アプリを利用して給与を受け取る方法です。これにより、振込手数料の削減やキャッシュレス決済の利便性向上などのメリットがあります。
これらのポイントを押さえて、初任給を有効に活用し、充実したキャリアを築いていきましょう。
おすすめソリューション

キヤノンシステムアンドサポート株式会社では、従業員の雇用継続を支援するため、総務・人事・労務のあらゆる業務において最適な運用を実現する「奉行クラウド HR DX Suite」を提供しています。
「奉行クラウド HR DX Suite」に内包されている機能を活用することで、さまざまな手続きや作業を効率的に進めることができます。
給与・年末調整関連

給与計算から社会保険・年末調整までの給与計算業務をすべてデジタル化。正しく効率的な給与計算とペーパーレスを実現するクラウド給与計算サービスです。
-
企業に合った精度の高い手当計算を実現
企業ごとに異なる給与体系や、複雑な計算が必要な手当を自動計算できるため、精度の高い給与計算を実現します。
-
情報更新やデータ入力、確認・検算を支援
給与計算に必要な情報が常に最新の状態にアップデートされ、自動計算されるだけでなく、計算結果のチェックや検算も効率よく行えます。 -
ペーパーレスで明細配付や社会保険申請ができる
従業員への給与明細書や源泉徴収票の配付や、役所への社会保険・労働保険の届け出をペーパーレス化できます。そのため、給与業務で発生する業務時間とコストを削減できます。

給与・賞与明細の配信をメール・Webで行えるサービスです。明細書をWeb上で閲覧、またはメールで配信できるため、印刷・仕分け・封入封かん・手渡しや郵送が必要ありません。
ペーパーレス配布が可能な書類
給与明細書/賞与明細書/源泉徴収票/特別徴収税額通知書/標準報酬改定通知書/保険料改定通知書/年次有給休暇付与通知書/資格取得時標準報酬決定通知書/その他、自社で用意したファイル

年末調整業務に関する従業員の書類提出から管理までをクラウド上で管理できるサービスです。提出の依頼から提出・状況確認・差し戻しなどすべてのやり取りをペーパーレスで効率的に管理し、年調業務の時間を最大90%削減できます。
今すぐ読みたいおすすめ情報
ソリューション・商品についてのご相談・見積・お問い合わせ
キヤノンシステムアンドサポート株式会社