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目視規制の緩和により実現できることデジタル庁のアナログ規制見直し

規制緩和の主な内容

デジタル庁のアナログ規制見直しにより、構造物(ビル、ダム、橋梁、トンネルなど)のひび割れ点検に関する規制が緩和されました。今までは、有資格者が肉眼で構造物のひび割れ等の老朽化の調査・測量を行っていましたが、デジタル技術を活用して点検できるようになります。また、従来は危険物の保管区域には人による「見張り」が必要でしたが、画像解析技術等を活用することで、法定監視行為を省人化することが可能になります。

アナログ規制緩和の主な内容としては下記の7項目があります。

〈代表的なアナログ規制 7項目〉
規制項目 規制の内容
①目視規制 人が現地に赴いて、施設・設備・状況などが法令が求める一定の基準に適合しているかどうかを、目視によって確認することを求める規制。
具体的には、目視による判定(検査・点検)、実態・動向の明確化(調査)、人・機関の行為が遵守すべき義務に違反していないかどうか、設備/施設の状態などについて一定期間、常時注目すること(巡視・見張り)などを求めている。
②実地監査規制 人が現場に赴き、施設や設備、状況などが法令等で求める一定の基準に適合しているかどうかを、書類や建物等を確認することによって判定することを求めている規制。
③定期検査・点検規制 施設や設備、状況が法令等で求める一定の基準に適合しているかどうかを求めている規制。
具体的には、一定の期間に一定の頻度で判定すること(第三者検査・自主検査)、実態・動向・量等を、一定の期間に一定の頻度で明確化すること(調査・測定)を求めている。
④常駐・専任規制 (物理的に)常に事業所や現場に留まることや、職務の従事や事業所への所属等について兼任せず、もっぱらその任に当たること(1人1現場の紐づけ等)を求めている規制。
⑤対面講習規制 資格などの講習をオンラインではなく対面で行うことを求めている規制。
⑥書面掲示規制 資格等、公的な証明書などを対面確認や紙発行で、特定の場所に掲示することを求めている規制。
⑦住訪閲覧縦覧規制 申請に応じて、または申請によらず公的情報を閲覧・縦覧させるもののうち、公的機関等への訪問が必要とされている規制。

規制緩和の対象領域の例

目視規制の緩和により、人が目視で行っていた検査をデジタル技術で置き換え可能

橋梁・トンネル

社会インフラ構造物の近接目視点検

河川・ダム

河川および河川管理施設に係る巡視業務

その他 社会インフラ構造物

老朽化したインフラ構造物の形状変化点検

危険物保管場所における、人による見張りをカメラ等で代替可能

危険物を取り扱う倉庫

火薬類などの危険物を取り扱う倉庫の見張り

化学工場

危険物を伴う化学工場の見張り

危険物保管場所

放射性同位元素等の危険物保管場所の見張り

規制緩和によって起こる変化の一例規制緩和によって何が変わるのか?

規制緩和前の運用

橋梁やトンネルの総点検においては、5年に1度、近接目視で点検することが2014年に義務化されています。しかし国内に膨大にある橋梁やトンネルに対して、義務化されている内容に沿って近接目視を行っていくには、点検にあたる土木作業員の不足が予想されます。
加えて点検作業の実施にも、下記の多くの課題も抱えている状況です。

準備
足場を建てる、もしくは橋梁点検車を使用するコスト・工数がかかってしまう

作業
高所作業での危険が伴う、日中の交通規制もしくは夜間作業が必須である

実施後
各作業員による点検精度の品質にばらつきが生じる
また紙図面記載からCADへのデータ転記が煩雑、それによるデータの正確性が問題になる

規制緩和後の運用

これにより、規制緩和前の作業で課題になっていた点の改善が進められています。

2019年、2024年と規制が見直され、「近接目視と同等の結果が得られる」とされる方法であれば、デジタル技術の使用が可能になりました。具体的には、カメラ・ドローンによる映像撮影、AIによる損傷検知やデータ記録等が挙げられます。

準備
足場建設、橋梁点検車の必要性がなくなるため、準備のコスト・工数が削減できる

作業
人による高所作業がなくなるため、危険作業のリスク削減、交通規制無しの日中作業が可能になる

実施後
AI活用により、点検品質の均一化、また同時にデータ化の正確性が向上する

規制緩和後の運用を支援するキヤノンのソリューション