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組織営業になるための4つのポイントとは

  • 会社の処方箋

営業組織のよくある問題の1つに「属人営業」があります。「属人営業」自体が悪いことではありませんが、組織として「属人営業」が広がるとそれが「属人化」を生むことになります。「属人営業」を解消することで顧客情報、名刺情報、営業プロセスの見える化、ナレッジの蓄積等の「情報共有」をすることができます。それにより組織営業に近づくことができ、営業力強化へつながります。

ここでは、そもそも「属人営業」とは、どのような状態を指すのか?なぜ「属人営業」は起こるのか?
組織営業の効果、組織営業となるための4つのポイントをご紹介致します。

2024年2月26日

属人営業とはどのような状態か?

「その人しか把握できていない状況で営業をしている」ということです。つまり、顧客情報、名刺情報、商談経緯など担当者のみが把握している状態です。

例えばセールスが獲得した受注に必要な外部公開されていない情報は自社のどこにあるのでしょうか。多くがそのセールスの手帳、ノート、個人用のパソコン、もしくは個人用のスマートフォンにあるのではないでしょうか。セールス個人のどこかに記されているだけで自社の中で共有されていないどころか、セールス組織間でさえ共有されていない、この状態が属人営業です。
この状態では、顧客から得た貴重な情報は、セールス個人しか把握することができません。売上、利益を構築していく上で非常に重要な情報資産ですが、その情報が共有されることもなく、蓄積されていくこともありません。

他にも、トップセールスに依存してしまい、そのセールスが辞めてしまったときには、売り上げに大きく影響するかもしれません。また、長年取引のある顧客なのに、情報が引き継がれず、これまでの経緯を知らないまま対応することで信頼を失うことになります。このように属人営業は企業の売り上げに及ぼす影響は大きくなる可能性があります。

なぜ属人営業が起こるのか?

属人営業が起こる理由は3つあります。

  • 立場を守りたい

    知識や有益な情報を共有すると、他の人にも成果をあげられてしまい自身の立場が守れないと感じている方が多いようです。セールスは実績を作るために顧客にとって有益な情報は他のセールスに隠しておきたいという心理が働きます。なぜなら、その有益な情報を他のセールスに伝えることで実績を上げられることがあるためです。

  • コミュニケーションが取れる社内風土がない

    働いていてミスをしたことはあまり他の人に話したくないものです。これはセールスの現場も同じです。ミスを報告すると上司に怒られる、内容を上手く話せない等、その時の上司の威圧的な態度が報告しにくい雰囲気を作ってしまい、自身で抱え込んでしまうことがあります。

  • 可視化する仕組みがない

    営業プロセスを見える化する仕組みが無いため、営業担当者の能力や人材の依存度が高まり、案件を進捗させるための上長確認やメンバーが協力すべきことが把握しにくくなります。それにより、サービスの提供やコミュニケーションのスタイルに一貫性が欠け、お客さまが異なる営業担当者と接するたびに、サービスの品質や体験が異なるという問題が生じる可能性があります。

組織営業の効果

属人営業が起こることで、非効率的となり生産性向上も見込めません。属人営業を解消し組織営業に進化すると効率的な営業活動となり生産性向上に繋がります。営業同士が顧客に関する情報、営業活動に有益な情報を共有し合うことで社内コミュニケーションが活性化され関係性を深めることになり、営業社員全体の能力向上にも繋がります。その上、これらの情報を組織で把握することができるため、顧客対応のスピードアップとなります。例えば、営業担当者が休んでいたとしても状況を共有しておくことで、他の人が対応することができるため、顧客を組織で対応することができます。このように組織営業には社内外で効率的な営業活動をすることができ生産性向上に繋がります。

組織営業のメリット

営業の属人化を防ぐ

個々の営業担当者に依存することなく、組織全体で一貫性のあるサービスを提供できます。これにより特定の担当者の離職や休暇時でもお客さまへの対応がスムーズに行なえ、信頼性やサービス品質が維持されます。

社員の営業スキル底上げ

営業ノウハウや知識共有を行いながら経験を積むことで全体の営業力が向上します。
共有されたより良い方法や学びが各社員に浸透し効果的な営業手法やコミュニケーションスキルの向上に寄与します。

顧客対応のスピードアップ

チーム営業によって情報共有や連携が促進されることにより、より迅速なサービス提供が可能となります。また、複数のリソースやスキルを組み合わせることで大規模案件を対処することも可能です。これにより市場競争力を高め、戦略的なビジネス拡大を可能にしていきます。

コミュニケーションの活性化

情報共有が円滑に進み、メンバー間の連携が強化されます。コミュニケーションが活性化することでメンバーがアイデアや知見を自由に共有しやすくなります。これが新たな発想や創造性の向上に繋がり、組織全体の向上に寄与する環境が醸成されます。

属人営業から組織営業になるための4つのポイント

属人営業が起こることで、業務は非効率になり生産性向上も見込めません。
属人営業を解消し、組織営業を目指すための、4つのポイントをご紹介します。

情報共有とコミュニケーションの大切さを組織で認識する

情報共有とは、見聞や知識、ノウハウを仲間に伝達し共有することです。目標と目的を明確にし、営業メンバーのレベルを統一するためにもルールの設定をしましょう。そして心理的安全性を確保するためにも、なんでも言い合える社内の雰囲気作りが大切です。そこから、業務効率化、生産性向上、そして新たな機会創出につながります。

営業プロセスの見える化

営業プロセスはブラックボックスになっていることが多いです。さまざまな商品を受注するために「どのようなプロセスで進めているのか」「何が違うのか」など個々のお客さまに対してカスタマイズされたサービスは属人化しているため分かりにくいです。
営業メンバーがそれぞれのプロセスを洗い出し、そこから受注するために必要なプロセスを見える化することが成果につながります。特に重要なことは気付きを得ることです。まねしたいこと、無駄なプロセスなど気付きを得て自身の活動にしていくことが大切です。

ナレッジの蓄積

受注した時に、なぜ受注できたのかを振り返っていますか?「なんとなくやっていたら受注できた」という担当者の方が多いと思いますが、実際は、各自の営業プロセスを経て受注していることがほとんどだと思います。なぜ受注できたのか、案件化したときには何をしたのか、誰と会い案件を進めていったのか、誰がキーマンだったのか、この他にもどのような提案書、見積書を準備したのか、プロセスの中で得た知識、ノウハウを書き出して営業メンバーと共有していきましょう。あとから検索できるようにドキュメント化しておくことも必要です。同じような案件を抱えているメンバーがいて、そこからヒントを得ることができます。成功事例の蓄積が自社のノウハウとなっていきます。

成功事例を書き出す

企業に価値のある受注の営業プロセス。準備からクロージングまで

企業に価値のある受注の営業プロセスで得た、知識やノウハウを書き出す。

  • 顧客ニーズ
  • 問題点
  • 決裁者の考え
  • 予算、価格帯
  • 顧客の課題
  • 競合情報
  • キーマン情報
  • 受注ポイント

営業支援システム(SFA)の導入

スピーディーな時代に対応していくためには、ITの活用は不可欠になってきます。顧客情報や営業活動の蓄積、案件管理など、営業活動の見える化をし標準化、そして効率化をしていくためにも、営業支援システム(SFA)は効果的なツールです。

SFAとはSales Force Automationの略で、営業活動を可視化・効率化し支援するツールです。営業活動は一人一人の営業マンの活動に依拠することが多く、担当する営業マンのスキルや担当営業マンの人数によっては大きな機会損失が発生している可能性があります。このような機会損失を減らし、組織営業全体としての営業効率を最大化させていくことを支援するツールとなります。

顧客管理、案件管理、商談管理、行動管理、営業活動支援、売上予想・予実管理

主な機能をいくつか紹介します。

顧客管理

営業担当の行動量や商談内容の可視化は、営業スキル向上や均一化に寄与します。顧客情報やコンタクト履歴の一元管理は効果的な引き継ぎを可能にし、名刺管理機能もついているため顧客の情報が引き継がれず発生するトラブルのリスクも防ぐことができます。

案件管理

案件管理は、見込み顧客からの引き合いを受注に結び付けるために案件情報を効果的に整理することです。SFAを用いることで営業マネージャーは状況を即座に把握し、各担当営業者に段階ごとにふさわしいアドバイスを提供できます。

商談管理

営業担当が活動データを入力すると、商談の進捗や提案中の商品、競合状況が自動的に各案件に反映されます。この商談管理機能を通じて、営業チームは円滑な情報共有が可能であり、マネージャーはリアルタイムで状況を把握することが可能です。

行動管理

電話コール数やアポイント数、訪問数などを数値化し、営業プロセスを効果的に把握できます。営業マネージャーは営業者同士を定量的に比較し、効果的なアプローチを見出すことができ、個々の社員の目標達成をサポートできます。またPDCAサイクルを回すことで組織全体のパフォーマンス向上に繋がり、組織営業への進化へと導きます。

営業活動支援

外出先でも顧客情報やスケジューラーなどにアクセスできる便利な機能が搭載されています。加えて、半年間訪問していない顧客や案件が長期化している顧客を抽出することが可能で、これにより営業は効果的なターゲットリストを作成できます。営業活動の幅が広がり、業務効率も一段とアップします。

売上予想・予実管理

レポート管理機能や売上管理機能があるため、管理者は受注確度の高いリードソース(新規顧客獲得策)を分析して営業戦略を立てることができます。これにより組織はより効果的かつ柔軟なアプローチを追求することができ、迅速な意思決定が可能になります。

まとめ

組織営業に進化していくためには情報共有をキーワードにして、属人化している情報を見える化していくことが重要です。今の時代、お客さまの期待に応えていくためには1人でできることは限られています。だからこそ営業プロセスの見える化、成功事例の蓄積をすることで組織営業となり営業を進化させていくことが求められていくでしょう。まずは今、課題があると感じている方はできることから始めてみませんか。その第一歩がヒトを変え、組織を変え、そして進化し、強い営業組織になります。


企業が持続的な成長・発展を続けるには、組織的な営業力を強化し、個人への依存を排除する仕組みを構築する必要があります。組織変革には時間がかかりますが、段階的にPDCAサイクルを回しながら進め、着実な変化を実現していきましょう。
当コラムでご紹介したSFA(営業支援ツール)などのITツールを検討し、組織の効率向上を目指してみてはいかがでしょうか。

著者プロフィール

キヤノンシステムアンドサポート株式会社
SS推進本部 SS統括部 コンサルティング推進課
高井 裕輔

【コンサルティング推進課の業務内容】
営業DXの支援及び営業支援ツール(SFA)の活用コンサルティング業務

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