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デジタルで解決!年末調整電子化の進め方

  • 会社の処方箋
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2024年7月24日

VUCA時代を生き残っていくためにはDX(デジタルトランスフォーメーション)への取り組みが必要不可欠だと言われています。DXに取り組むことで、業務効率化と企業競争力強化の双方が可能になるため、力強くDXを推進する企業が増えています。
しかし、紙文書による手続きがまだ必要な業務もあり、特に年末調整の作業はこの状況を象徴する例として挙げられます。年末調整の電子化によって、紙の手間を省きながら効率的に業務を進める方法について本コラムではご紹介します。

年末調整手続きの電子化とは?

年末調整手続きの電子化とは、年末調整に関する各種申告書の作成や提出をデジタル化することを指します。これまで紙媒体で行っていた手続きを、電子データを使用することで効率化することが目的です。
例えば、社会保険料控除証明書や源泉所得税関係様式などの重要な文書を電子的に取得し、各種システムと連携させることで、時間と労力を節約できます。これまで、多くの企業では書面による申告が一般的でしたが電子化が進むことにより、紙の使用を減らし、効率化を図る動きが加速しています。
会社側・従業員双方の年末調整に係る事務負担を軽減していく鍵が「電子化」です。
しかし、完全な電子化にはまだ至っておらず、特定の書類や手続きには物理的な書面が必要とされています。そのため、年末調整の時期には、従業員がオフィスに出向いて関連書類を提出することが求められているのです。

業務の流れ

年末調整を電子化するメリット

これまでの年末調整は従業員の方が保険会社や金融機関からハガキ等で送られてくる控除証明書を基に各種控除申告書を手書きで作成のうえ、会社側に提出していました。
そして受け取った会社側は従業員の方から受領した控除申告書の内容を確認・検算したうえで、控除申告書の控除額を給与計算ソフト等に入力して1年間の所得の計算。その後書面を保管するなど紙による手続きを行っていました。
年末調整が電子化されると、従業員の方はスマホやパソコンを使用して手続きに必要な各種控除証明書をデータ取得し、データで各種控除申告書を作成。これらを会社側にメールなどで提出することができます。さらに会社側は受け取ったデータを給与システムなどにインポートして年税額を計算することが可能です。そのため書類の保管場所が不要となります。
このように年末調整の一連の手続きを電子化することは、従業員・会社側の双方に非常に有用な手段です。双方のメリットについて抜粋してお伝えします。

  • 従業員の申告書の入力・提出業務

    扶養控除・基礎控除・保険料控除等、従業員自ら申告して書類を提出しなければいけない内容は多くあります。紙でのやり取りで掛かっていた、時間や郵送コストは電子化により大きく削減することが可能です。

  • 会社側の内容確認業務

    申告書が漏れなく提出されているか、内容に誤りがないかを確認するのは担当者の負荷が多い業務です。この部分を電子化することで進捗状況がしっかりと見え、差し戻し後の訂正作業も楽になります。

  • 会社側の提出・保管業務

    情報の提出は電子化されていれば、システムを連携するだけで簡単に簡潔します。また、今まで困っていた方が多いであろう保管場所の問題も解決することが可能です。

電子化前→電子化後

どのような準備が必要か

年末調整手続きの電子化に向けて、会社側・従業員ともに準備が必要です。
以下より詳しく見ていきましょう。

会社側の準備

会社側における具体的な準備は、

  • 電子化の実施方法検討
  • 従業員への周知
  • 給与システムの見直し

があります。

  • 電子化の実施方法検討

    電子化を実施するにあたり、

    • どこまで電子化するか(完全電子化か、まずは一部のみ電子化するか)
    • どのシステムを利用するか(国税庁の年調ソフトか、市販の年末調整機能をもつパッケージシステムか)
    • 従業員が年末調整の書類を作成するのに、会社のPC等を利用するのか、各自のPC、スマートフォンを利用するか

    などをまず決めていきます。

  • 従業員への周知

    従業員からの年末調整申告書データの提供を受ける際、法令上は事前の同意は不要ですが、電子化に伴う事前準備が必要となるため、従業員に対する電子化の説明と教育が不可欠です。特に、マイナポータル等の政府提供サービスを利用する場合、その機能や使い方を詳しく説明するためのマニュアルや説明会を実施することを考慮してください。

  • 給与システムの見直し

    従業員から提供される年末調整申告書データや控除証明書データを給与システムにインポートし、年税額の計算を行うためのシステムの見直しが必要です。システムは企業の規模やニーズに応じて選びましょう。

従業員の準備

従業員における具体的な準備は、

  • 控除証明書データの取得
  • 年末調整申告書作成用のソフトウエアの取得

があります。

  • 控除証明書データの取得

    マイナンバーカードを用いてマイナポータル連携を利用しない場合は、保険会社等のホームページから控除証明書データを取得します。

  • 年末調整申告書作成用のソフトウエアの取得

    国税庁が提供する年調ソフトや市販の年末調整機能をもつパッケージシステムを用いて、控除証明書データを利用し年末調整申告書データを作成します。

このように年末調整の電子化を円滑に実現するためには、会社側・従業員側双方の計画的な準備と実行が不可欠です。会社側と従業員が共に協力して進めることで、年末調整電子化の大きなメリットを最大限に活用することができます。そして、その準備をもとに運用していくためにはスケジュールを立てることが大切です。以下にスケジュール例を記載しますので確認してみましょう。

スケジュール例

年末調整の手続きは、その年の10月頃から翌年1月にかけて行われるのが一般的です。
この期間中、会社側と従業員側のそれぞれに対応すべきことがあります。

  • 年末調整の対象となるのは「1月1日から12月31日までのその年1年間で支払われた給与」です。
    対象となる給与は12月31日までに従業員に支払われている必要があるため、12月分の給与が翌年1月に支払われた場合は、12月分の給与は翌年の年末調整の対象になります。
  • 年調ソフト利用の場合

    【会社側の事務】

    スケジュール

    【従業員側の事務】

    スケジュール
  • ※1
    控除証明書等データを「マイナポータル連携」により取得する場合に必要となります。
  • ※2
    控除申告書をデータで提出させる場合に必要となります。
  • ※3
    勤務先が控除申告書データを作成するためのアプリ等を提供する場合は不要となります。

このように、早めの準備と段階的な実施が鍵です。従業員と勤務先が一体となって計画を進めることで、年末調整電子化の成功率を高めることができます。

年末調整電子化実現に向けて

年末調整手続きを電子化するためには、企業がそのメリットを十分に理解し、適切な準備を行うことが不可欠です。特に、システムの選定は成功の要となります。ここでは、システム選定の重要性について説明します。

システムの選定

年末調整手続きの電子化を進める際には、国税庁が用意している年調ソフトと市販の年末調整機能をもつパッケージシステムの違いを理解しておくことが重要です。年調ソフトは、主に国税庁が提供する無償の「年末調整控除申告書作成用ソフトウエア」を指します。このソフトウエアは、基礎的な年末調整業務を効率的に行えるよう設計されており、社会保険料控除証明書データのインポートや従業員の控除申告書データの作成、証明書の取り扱いに対応しています。

一方、市販の年末調整機能をもつパッケージシステムは、年末調整申告書の作成から年税額の計算まで同一のシステム内で実施するため、事務効率化効果がさらに高くなることが見込めます。
申請者ごとの進捗状況を把握したり、内容不備の催促メールを一括送信したりする機能が備わっているため労務作業をまとめて実施したい場合などは、こちらを利用した方がよいでしょう。

年調ソフトのメリット

  • 無償提供ソフト
  • システム導入費用/メンテナンス費用などのランニングコスト不要
  • 基本的にガイダンスに従って入力するだけで作成可能

市販の年末調整機能をもつパッケージシステムのメリット

  • データ連携がスムーズ
  • 複数の税務関連業務を一元管理可能
  • 人為的なミスの削減
  • 企業ごとの特定のニーズに対応
  • 年度ごとのアップデートやサポート体制の充実化

上記のように年末調整電子化のやり方を検討する際には、それぞれの特徴を比較し、自社の規模や運用状況に合った方法を選ぶことが大切です。

まとめ

年末調整の電子化を進めるためには、従業員の理解と協力が不可欠です。
自社の問題点を洞察し、それを克服するサービスを見極め、今年こそは年末調整業務をデジタル化によって効率アップを目指しましょう。

キヤノンシステムアンドサポート株式会社ではお客さまの年末調整における業務効率化を全面的にサポートいたします。まずはお気軽にお問い合わせください。

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