育児休業給付金 延長申請時の手続き厳格化(2025年4月1日施行)アクタス社会保険労務士法人
2024年5月28日
雇用保険法施行規則の省令改正に伴い、2025年4月1日以降に育児休業給付金の延長申請を行う際の手続きが厳格化されることが決定しました。厳格化の背景や具体的な手続きの変更点、延長の要件について解説いたします。
厳格化の背景
保育所等への入所意思がないにも関わらず給付金延長のために申し込みを行う者(いわゆる落選狙い問題)への対応や、意に反して保育所等の入所が内定した者からの苦情対応等に自治体が時間を要しており、負担増加につながっていることから見直しの要望が示されていました。
これに伴い自治体の負担軽減と適切な運用を図るため、ハローワークで延長可否を判断することとなりました。
現行
現行制度では、「保育所等の入所を希望し、利用を申し込んだが当面入所できない場合」を育児休業給付金の延長の要件とし、その事実を、原則として自治体の発行する入所保留通知書で確認。
見直し後
自治体の入所保留通知書のみではなく、本人の申告内容等に基づき、ハローワークにおいて延長の適否を判断。
提出書類の追加
現行の確認書類である「入所保留通知書」や「入所不承諾通知書」に加えて、本人が記載する申告書及び市区町村に保育所等の利用申し込みを行った時の申込書の写しが必要となります。
延長要件の追加
「速やかな職場復帰のために保育利用を希望しているか」を確認するため、以下の要件が追加審査されます。
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申し込んだ保育所等が自宅や勤務先から遠隔地の施設のみになっていないこと
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遠隔地であることについては、利用予定の交通手段による自宅又は職場からの移動時間が30分以上となっている場合など、具体的な判断基準を定める予定。申し込んだ保育所等が遠隔地のみであっても他に通える保育所等がない場合などは、合理的な理由があるものとして取り扱う。
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市区町村への保育利用の申込に当たり、入所保留となることを希望する旨の意思表示を行っていないこと
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「育児休業・給付の適正な運用・支給及び公平な利用調整の実現等に向けた運用上の工夫等について」(平成31年2月7日付厚生労働省子ども家庭局保育課事務連絡)にて示しているように、「希望する保育所等に入所できない場合は、育児休業の延長も許容できる」などの表現は、入所保留となることを希望する旨の意思表示には当たらない。
上記提出書類の追加や新たな要件は施行日以降に育児休業にかかる子が1歳または1歳6カ月に達する育児休業取得者に適用されます(パパママ育休プラスにより1歳2カ月までの範囲で延長している場合は、その終了予定日が施行日以降である者)。
本改正後はハローワークにて、より厳格な審査が行われることになりますので、人事担当者は該当する育児休業取得者へ早めに案内をするなどの対応を行いましょう。
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著者プロフィール
アクタス社会保険労務士法人
スタッフ約200名、東京と大阪に計4拠点をもつアクタスグループの一員。
アクタス税理士法人、アクタスHRコンサルティング(株)、アクタスITコンサルティング(株)と連携し、中小ベンチャー企業から上場企業まで、顧客のニーズに合わせて、人事労務、税務会計、システム構築支援の各サービスを提供しています。
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