令和6年度 税制改正アクタス税理士法人
2024年1月17日
12月14日に「令和6年度税制改正大綱」が公表されました。今回の改正では、デフレ脱却を最優先課題と位置付け、物価上昇を上回る賃金の上昇を実現するために、所得税・住民税の定額減税や賃上げ減税の拡充等が行われることになります。また戦略分野への投資促進やイノベーション活性化による生産性向上を後押しするなどの経済成長のけん引に資する税制も整備されます。
法人課税
法人課税では、賃上げ減税の拡充や、戦略分野への投資減税創設などを通じて、企業の内部留保活用と賃金引き上げを促す施策が強化されます。
賃上げ促進税制【見直し】:減税
適用期日等:令和6年4月1日~令和9年3月31日までの間に開始する各事業年度(3年間)
- 賃上げの促進に係る税制の改組の概要
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大企業(資本金1億円超、常時使用従業員数2,000人超)
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(1)給与支給額が前年比3%以上増加している場合、控除率10%
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(2)4%以上増加している場合、控除率を5%上乗せ(控除率15%)
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(3)5%以上増加している場合、控除率を10%上乗せ(控除率20%)
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(4)7%以上増加している場合、控除率を15%上乗せ(控除率25%)
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(5)控除率加算の教育訓練費の要件緩和と新たな加算条件
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(6)最大控除率は35%
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*マルチステークホルダー方針を公表しなければならない企業の範囲に従業員数2,000人超の企業を追加
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中堅企業(資本金1億円超、常時使用従業員数2,000人以下※)
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※
グループ全体で1万人を超える場合は大企業に分類(新設)
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(1)給与支給額が前年比3%以上増加している場合、控除率10%
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(2)4%以上増加している場合、控除率を15%上乗せ(控除率25%)
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(3)控除率加算の教育訓練費の要件緩和と新たな加算条件
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(4)最大控除率は35%
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※
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中小企業
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(1)控除率は現行制度
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(2)控除率加算の教育訓練費の要件緩和と新たな加算条件
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(3)最大控除率は45%
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(4)控除しきれない額を5年間繰り越せる繰り越し控除を新設
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戦略分野国内生産促進税制【創設】:減税
適用期日等:産業競争力強化法の事業適応計画の認定の日以後10年以内の日を含む各事業年度
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産業競争力強化法の「事業適応計画」に基づく設備等を取得して、事業の用に供した場合の税額控除
- 適用法人
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次の全ての要件を満たす法人
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(1)青色申告法人であること
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(2)産業競争力強化法の事業適応計画の認定を受けること
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(3)産業競争力基盤強化商品生産用資産の取得等をし、国内事業の用に供する
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- 対象資産
- 産業競争力基盤強化商品生産用資産
- 税額控除
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【税額控除】いずれか小さい金額
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(1)産業競争力基盤強化商品の対象期間において販売数量に応じた金額
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(2)産業競争力基盤強化商品生産用資産(仮称)の取得価額を基礎にした金額
【控除限度】
DX投資促進税制、カーボンニュートラル促進税制の税額控除額と合計で法人税額×40%(半導体生産用資産は20%)を限度)
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*控除限度を超えた部分は、4年間(半導体生産用資産は3年間の繰り越しができる)
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- 産業競争力基盤強化商品(仮称)とは
- 半導体、電気自動車等、鉄鋼、基礎科学品、航空機燃料など総事業費が大きく、特に生産段階のコストが高いものなどが対象
イノベーションボックス税制【創設】:減税
適用期日等:令和7年4月1日~令和14年3月31日までの間に開始する各事業年度(7年間)
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イノベーションを創出する民間による無形資産投資を後押しするため、税制上の支援策としてイノベーションボックス税制が創設
- 損金算入
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特許権譲渡等を行った場合に、その事業から発生する一定の所得金額の30%相当額を損金算入
外形標準課税における対象法人【見直し】:増税
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会計上の資本金から資本剰余金への項目振替の減資で外形標準課税の対象から外れる問題への対応策としての見直し
- 対象法人の拡大
- 現行基準に加え、追加基準が加わる
【減資対応】
前事業年度※に外形標準課税の対象であり、当事業年度に減資し、資本金1億円以下で資本金と資本剰余金の合計が10億円超の法人を新たに対象(適用期日等:令和7年4月1日以後に開始する事業年度から適用)
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※
公布日を含む事業年度の前事業年度をいう
(公布日前日に資本金1億円以下となっていた場合には、公布日以後最初に修了する事業年度)
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例:仮に公布日が令和6年3月31日の3月決算法人であった場合
→ 令和4年4月1日~令和5年3月31日
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例:公布日の前日(令和6年3月30日)までに資本金1億円以下になっていた場合
→ 令和5年4月1日~令和6年3月31日
(公布日(令和6年3月31日)以後最初に修了する事業年度)
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例:仮に公布日が令和6年3月31日の3月決算法人であった場合
【100%子法人等への対応】
資本金と資本剰余金の合計額が50億円を超える親法人の100%子法人で資本金1億円以下、資本金と資本剰余金の合計が2億円超の法人も対象(適用期日等:100%子法人等への対応:令和8年4月1日以後に開始する事業年度から適用)
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*激変緩和措置:新たに外形標準課税の対象となる子法人等について軽減措置
・初年度) 従来の方式との増差税額の3分の2を控除
・次年度) 従来の方式との増差税額の3分の1を控除
主要規定の延長措置
適用期日等:令和8年3月31日まで2年延長
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中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例制度
(一定の法人のうち、常時使用する従業員数が300人超える社を除外)
- 中小企業者等以外の法人の欠損金の繰戻還付の不適用措置
- 海外投資等損失準備金制度
- 国家戦略特別区域、国家戦略総合特別区域における機械等を取得した場合の特別償却制度又は税額控除制度
適用期日等:令和9年3月31日まで3年延長
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交際費等の損金不算入制度
交際費等から除外される1人あたり5,000円以下飲食費について、金額要件を10,000円以下に引き上げ
個人所得課税
所得課税では所得税・住民税の定額減税、住宅減税関係を含む子育て世帯への支持拡充になります。
詳細は個人所得課税に関するPDFデータをご覧ください。
資産課税
主要規定の延長措置
適用期日等:令和8年12月31日まで3年延長
- 住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置の延長
適用期日等:令和8年3月31日まで延長
- 事業承継税制における特例承継計画等の提出期限の延長
消費課税
国外事業者に係る消費税の課税の適正化
適用期日等:令和7年4月1日以後に行われる電気通信利用役務の提供より
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プラットフォーム課税の導入
特定プラットフォーム事業者を介して行われる国外事業者の消費者向け電気通信利用役務の提供は、その取引金額が50億円を超える場合、そのプラットフォーム事業者が行ったものとみなす
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事業者免税点制度の特例、簡易課税制度等の見直し
国外事業者による事業者免税点制度や簡易課税制度の租税回避を防止するため、制度の適用要件を厳格化
適用期日等:令和5年10月までさかのぼり不要・令和6年10月1日以後開始課税期間
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インボイス制度見直し
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(1)帳簿のみ保存で仕入税額控除が認められる自販機特例について、帳簿への住所等の記載を不要とする
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(2)仕入税額控除の経過措置は、適格請求書発行事業者以外の者からの課税仕入れが10億円超の部分は対象外となる
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納税環境整備その他
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e-Taxの利便性向上
GビズIDを連携
処分通知の電子交付を拡充
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重加算税制度の整備
隠蔽(いんぺい)に基づく更正請求に重加算税
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第二次納税義務の整備
法人の不正申告で未納がある場合、役員の個人責任を追及
賃上げ促進税制まとめ
「賃上げ促進税制」は、従業員の賃上げや人材育成への投資に積極的な企業が、所定の税額控除を受けられる制度です。今回の税制改正により拡充されます。
詳細は賃上げ促進税制まとめに関するPDFデータをご覧ください。
今回の税制は法人課税に係る賃上げ税制や住宅ローン控除等の子育て世帯支援策等、企業の成長と身近な暮らしに関わる内容となっており、われわれの生活やビジネス環境に大きな変化をもたらします。
押さえておくべき改正内容を把握し、適切に対応しましょう。
著者プロフィール
アクタス税理士法人
税理士、公認会計士、社会保険労務士など100名を超えるプロフェッショナルが中心となり、クライアントのライフステージに応じたあらゆるニーズに対応したサービスを提供しています。
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