心理的負荷による精神障害の労災認定基準
アクタス社会保険労務士法人
2023年11月28日
2023年9月1日付で「心理的負荷による精神障害の認定基準」が改正されました。業務に起因する精神障害のより適切な労災認定、審査の迅速化、請求の容易化を目的とした本改正のポイントについて解説いたします。
業務による「心理的負荷評価表※」の見直し
心理的負荷評価表に以下の「具体的出来事」が追加されました。
- 顧客や取引先、施設利用者等から著しい迷惑行為を受けた(いわゆるカスタマーハラスメント)
- 感染症等の病気や事故の危険性が高い業務に従事した
心理的強度が「強」「中」「弱」となる具体例が拡充されました。
- パワーハラスメント6類型すべての具体例等を明記
-
※
心理的負荷評価表:実際に発生した業務上の出来事を、同表の「具体的出来事」に当てはめ、ストレスの強さを評価したもの
精神障害の悪化の業務起因性が認められる範囲の見直し
業務外で既に発病していた精神障害について、悪化前おおむね6カ月以内に、業務による「特別な出来事」(特に強い心理的負荷となる出来事)がない場合でも、「業務による強い心理的負荷」により悪化したと医学的に判断されるときは、悪化した部分について業務との因果関係(業務起因性)が認められます。
医学意見の収集方法を効率化
労災認定までの期間短縮のため、複数の専門医による意見収集から、専門医1名の意見のみで決定できる事案が増えました。
「心理的負荷による精神障害の認定基準」が平成23年に策定されて以来、労働者を取り巻く職場環境の変化とともに改正が繰り返されています。詳細につきましては、厚生労働省ホームページもあわせてご確認ください。
著者プロフィール
アクタス社会保険労務士法人
スタッフ約200名、東京と大阪に計4拠点をもつアクタスグループの一員。
アクタス税理士法人、アクタスHRコンサルティング(株)、アクタスITコンサルティング(株)と連携し、中小ベンチャー企業から上場企業まで、顧客のニーズに合わせて、人事労務、税務会計、システム構築支援の各サービスを提供しています。
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