障がい者の法定雇用率引き上げについて
アクタス社会保険労務士法人
2023年4月11日
企業に義務づけている障がい者の法定雇用率を現在の2.3%から大幅に引き上げられることが決定されました。併せて、事業主支援の強化として助成金の新設・拡充策が発表されています。本コラムでは主な変更点について、解説します。
障がい者の法定雇用率が段階的に引き上げ
変更後の法定雇用率は2.7%となるものの、引き上げ幅が大きいため、2023年4月以降の法定雇用率は現在の2.3%で据え置かれ、2024年4月から2.5%、2026年7月から2.7%と段階的な引き上げが予定されています。この引き上げにより、1人以上の障がい者を雇用すべき事業主の範囲が以下のように広がります。
2023年4月~(現行) | 2024年4月~ | 2026年7月~ | |
---|---|---|---|
民間企業の法定雇用率 | 2.3% | 2.5% | 2.7% |
対象事業主の範囲 | 43.5人以上 | 40.0人以上 | 37.5人以上 |
除外率の引き下げ
障がい者の就業が一般的に困難であると認められる業種(建設業、道路貨物運送業、医療業等)について、雇用する労働者数を計算する際に、除外率に相当する労働者数を控除(障がい者の雇用義務を軽減)する制度があります。この除外率制度は廃止が決定しており、経過措置として段階的に引き下げ・縮小が行われています。
2025年4月から10%引き下げられる予定です。
国による事業主への支援策強化
雇用率引き上げの影響を受ける事業主への支援策として2024年4月より、既存の助成金の拡充や新たな助成金を制度化することが検討されています。併せて、法定雇用率の算定に含めることのできる労働者について、現在は週の所定労働時間が20時間以上の障がい者を対象としていたところ、今後は「週10時間以上20時間未満」で働く精神障がい者、重度の身体障がい者および重度の知的障がい者についても、法定雇用率の算定対象とすることが可能となります。
厚生労働省により、障がい者等が希望や能力、適性を十分に活かし、障害の特性等に応じて活躍することが普通の社会、障がい者と共に働くことが当たり前の社会を目指し、障がい者雇用対策が進められています。本コラムが、事業主の皆さまの一助となれば幸いです。
著者プロフィール
アクタス社会保険労務士法人
スタッフ約200名、東京と大阪に計4拠点をもつアクタスグループの一員。
アクタス税理士法人、アクタスHRコンサルティング(株)、アクタスITコンサルティング(株)と連携し、中小ベンチャー企業から上場企業まで、顧客のニーズに合わせて、人事労務、税務会計、システム構築支援の各サービスを提供しています。
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