育児・介護休業法改正3:令和5年4月1日施行内容について ~男性の育児休業等の取得状況公表の義務化~
アクタス社会保険労務士法人
2023年3月7日
2021年6月に育児・介護休業法が改正され、2022年4月から3段階に分けて施行されています。今改正は、3段階目の内容です。男性の育児休業取得を推進する点に重きが置かれており、2023年4月の施行では従業員数が1,000人を超える企業を対象に、男性労働者の育児休業等の取得状況を年1回公表することが義務付けられています。ここでは、企業に求められる対応について解説します。
段階的な施行
改正概要は以下の通りで、2022年4月1日から段階的に施行されています。
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2022年4月1日から
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(1)有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和
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(2)育児休業を取得しやすい雇用環境整備
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(3)妊娠・出産の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置の義務付け
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2022年10月1日から
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(1)出生時育児休業制度の創設
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(2)育児休業の分割取得
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2022年10月1日から
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(1)育児休業取得の状況の公表の義務付け(1,001人以上の企業のみ適用)
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今回は、上記で太字にした2023年4月1日に施行される(1)育児休業取得の状況の公表の義務付け(1,001人以上の企業のみ適用)の内容に焦点を当てて解説いたします。
2023年4月1日施行内容
対象となる企業
常時雇用する労働者数が1,000人を超える事業主が対象となります。
公表内容
公表を行う日の属する事業年度の直前の事業年度(公表前事業年度)における次の1または2のいずれかを選択して公表します。
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男性労働者の育児休業等の取得割合
育児休業等を取得した男性労働者の数÷配偶者が出産した男性労働者の数
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男性労働者の育児休業等及び育児を目的とした休暇の取得割合
(育児休業等を取得した男性労働者の数+小学校就学前の子の育児を目的とした休暇を取得した男性労働者)÷配偶者が出産した男性労働者の数
公表時期
公表前事業年度の終了後、おおむね3か月以内に公表します。実際には、2023年4月1日以後に開始する事業年度から対象となります。
(例)事業年度が4月~翌年3月の場合
2022年4月~2023年3月の実績をおおむね2023年6月末までに公表
公表方法
インターネットの利用やその他適切な方法で一般の方が閲覧できるように公表することが求められます。自社のホームページ等のほか、厚生労働省が運営するウェブサイト「両立支援のひろば」で公表することも推奨されています。
今回の改正は大企業が対象となっていますが、中小企業においても積極的に公表することで男性の育児休業に対するポジティブなイメージを印象づけることができます。厚生労働省は、男性の育児休業取得率を2025年までに30%にすることを目標に掲げており、今後はさらなる改正が行われることも予想されます。男性も育児休業を取得しやすい職場環境づくりを進めるとともに、企業の経営戦略や採用戦略においてもひとつの指標として活用してみてはいかがでしょうか。
著者プロフィール
アクタス社会保険労務士法人
スタッフ約200名、東京と大阪に計4拠点をもつアクタスグループの一員。
アクタス税理士法人、アクタスHRコンサルティング(株)、アクタスITコンサルティング(株)と連携し、中小ベンチャー企業から上場企業まで、顧客のニーズに合わせて、人事労務、税務会計、システム構築支援の各サービスを提供しています。
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