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賃金のデジタル払いが2023年4月に解禁されます
アクタス社会保険労務士法人

  • 会社の処方箋

2023年2月22日

賃金の支払方法について労働基準法第24条では通貨払いが原則となっていますが、例外として労働者の同意を得た場合には労働者が指定した銀行口座や証券総合口座に振り込むことが認められています。このたび、労働基準法施行規則の一部を改正する省令が公布され、2023年4月より資金移動業者(〇〇Pay等)への資金移動による賃金支払い(賃金のデジタル払い)も認められることとなりました。ここでは、今後、会社に求められる対応について解説いたします。

デジタル払いができる資金移動業者とは?

賃金のデジタル払いとは、給与を現金や銀行口座への振込によらず資金移動業者の口座へ資金(給与)を移動することにより賃金を支払う方法です。資金移動業者とは、銀行等以外のものが為替取引(現金輸送によらない送金)を業として行うものであり内閣総理大臣の登録を受けなければなりません。賃金のデジタル払いでは、このうち、一定の要件を満たす厚生労働大臣の指定を受けた「指定資金移動業者」に限り、従業員が口座として指定することが可能となります。

会社に求められる対応は?

  1. 労使協定の締結

    労働組合または労働者の過半数を代表する者と対象となる従業員や対象となる賃金や金額の範囲、実施開始時期などについて労使協定を締結することが必要です。

  2. 従業員への賃金支払い口座の選択肢の提示

    資金移動業者の口座への賃金支払いを強制することはできません。また、資金移動業者の口座のみを提示することも禁止されており、労働者が銀行口座または証券総合口座への賃金支払いも併せて選択できるようにする必要があります。

  3. 従業員への説明

    銀行との違いや具体的な仕組みや留意事項(口座の上限額や破綻時の補償、アカウントの有効期限)などについて従業員に説明することが求められます。

  4. 従業員の同意取得

    従業員が資金移動業者の口座への支払いを希望する場合、同意書を取る必要があります。


給与のデジタル払いはあくまでも選択肢の一つであり会社にデジタル払いを強制するものではありませんが、キャッシュレス決済の普及や送金サービスの多様化が進む中で、賃金のデジタル払いのニーズは高まっていくことが予想されます。導入するかどうかの検討を含め、随時、最新情報に注視しながら早めに対策を講じるようにしましょう。

厚生労働省

著者プロフィール

アクタス社会保険労務士法人
スタッフ約200名、東京と大阪に計4拠点をもつアクタスグループの一員。
アクタス税理士法人、アクタスHRコンサルティング(株)、アクタスITコンサルティング(株)と連携し、中小ベンチャー企業から上場企業まで、顧客のニーズに合わせて、人事労務、税務会計、システム構築支援の各サービスを提供しています。

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