令和4年度税制改正
アクタス税理士法人
2022年3月31日
12月10日に「令和4年度税制改正大綱」が公表されました。
今回の改正では「成長と分配の好循環」と「コロナ後の新しい社会の開拓」をコンセプトに、新資本主義の実現に向けた取組を推進する税制が盛り込まれることになりました。
具体的に目玉となる内容としては、法人課税における「賃上げ促進税制の改組」や個人課税における「住宅ローン減税の見直し」などがあります。
法人課税
法人課税では、「成長と分配の好循環」の実現に向ける措置として「賃上げ促進税制」の見直しを中心に、基本的には既存措置の延長・見直しが多い内容となっています。
賃上げ促進税制【見直し】:減税
適用期日等:令和4年4月1日~令和6年3月31日までの間に開始する各事業年度(2年間)
賃上げの促進に係る税制の改組の概要
令和3年度の税制改正で改組された内容を期限到来前に再度改組
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中小企業者等以外の法人
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1. 控除率を最大30%にまで引上げ
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2. 税額控除額は「継続雇用者」に係る給与等に対する控除に戻す
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3. 適用判定において対象者を新規雇用者から「継続雇用者」に戻す
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中小企業者等
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1. 控除率を最大40%にまで引上げ
対象法人別の適用要件と控除額
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対象法人 | 適用要件 | 控除額 | ||
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1.賃上げ基準 | 2.教育訓練費基準 | 控除額 | 限度額 | |
中小企業者等以外の法人 |
1.雇用者給与等支給額>前期の雇用者給与等支給額 ※104%以上になると控除率10%上乗せ |
ー |
給与等支給増加額×15%(25%※) ※10%上乗せ後控除率 |
法人税額 ×20% |
教育訓練費≧ 前期の教育訓練費×120% ※要件クリアで控除率5%上乗せ |
給与等支給増加額×20%(30%※) ※すべての上乗せ要件のクリアで最大控除率30% |
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中小企業者等 |
雇用者給与等支給額≧前期の雇用者給与等支給額×101.5%(102.5%※) ※102.5%以上になると控除率15%上乗せ |
ー |
給与等支給増加額×15%(30%※) ※15%上乗せ後控除率 |
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教育訓練費≧ 前期の教育訓練費×110% ※要件クリアで控除率10%上乗せ |
給与等支給増加額×25%(40%※) ※すべての上乗せ要件のクリアで最大控除率40% |
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中小企業者等以外の法人の上乗せ措置について
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1. 継続雇用者給与等支給額の増加割合が4%以上である場合には、税額控除率を10%加算(控除率25%に)
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2. 教育訓練費の額が、前年度より20%以上増えている場合には、税額控除率をさらに5%加算(最大控除率30%に)
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中小企業者等の上乗せ措置について
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1. 継続雇用者給与等支給額の増加割合が2.5%以上である場合には、税額控除率を15%加算(控除率30%に)
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2. 教育訓練費の額が、前年度より10%以上増えている場合には、税額控除率をさらに10%加算(最大控除率40%に)
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5G 投資促進税制【見直し・縮減】:増税
適用期日等:令和7年3月31日まで延長
期限延長と税額控除率の段階的縮減
- 特別償却額または税額控除
- 特別償却:取得価格×30%(改正なし)
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税額控除:
事業供用時期 税額控除率 令和4年4月1日~令和5年3月31日 15%(9%) 令和5年4月1日~令和6年3月31日 9%(5%) 令和6年4月1日~令和7年3月31日 3% 控除限度額が法人税額×20%。
()書きは条件不利地域以外の地域内において事業供用した特定基地局の無線設備の場合
少額減価償却資産の損金算入制度の見直し:増税
適用期日等:大綱では適用期日等の具体的な明記はなし
貸付用に供した少額減価償却資産を除外
少額減価償却資産に関する3つの制度について「貸付用」に供した資産を除外
- 少額の減価償却資産の取得価額の損金算入制度(10万円未満の少額資産)
- 一括償却資産の損金算入制度(20万円未満の一括償却資産)
- 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入特例(30万円未満の少額資産)
大法人における事業税(所得割)の税率見直し:増税
適用期日等:令和4年4月1日以後の開始事業年度に適用
所得割の標準税率を一律に
外形標準課税の適用法人の所得割について、所得金額の段階に応じた税率を廃止し、標準税率を一律1%とする
主要規定の延長措置
適用期日等:令和6年3月31日まで2年延長
- 交際費等の損金不算入制度(接待飲食費50%の損金算入も継続)
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中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例制度
- 中小企業者等以外の法人の欠損金の繰戻還付の不適用措置(対象の見直し)
- 銀行等保有株式取得機構の欠損金額を除外
- 海外投資等損失準備金制度
- 国家戦略特別区域、国家戦略総合特別区域における機械等を取得した場合の特別償却制度または税額控除制度
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オープン・イノベーション税制
個人所得課税
個人所得課税の改正では住宅ローン控除の見直しが主な内容になっています。
資産課税
資産課税においては住宅取得資金贈与の延長が図られました。相続税と贈与税を一体に捉えて課税する制度が創設されるのではないかと令和3年中に話題になりましたが、今回の改正では見送られました。
納税環境整備その他
電子取引に係るデータ保存制度の見直し【宥恕(ゆうじょ)措置】
適用期日等:令和4年1月1日から令和5年12月31日までの2年間の電子取引についての宥恕(ゆうじょ)措置
電子取引データの保存に関する2年間の宥恕(ゆうじょ)措置
期間 | 令和4年1月1日~令和5年12月31日 | 令和6年1月1日~ |
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保存方法 | 原則:電子データ保存 | 電子データ保存 |
特例:書面出力保存 |
税務署長が、電子データの保存要件に従う保存をできなかったことについて「やむを得ない事情」があると認め、保存義務者が、税務調査の際に出力書面の提示・提出の求めに応じることとしている場合には、保存要件に関わらず、その電子データのまま保存することができる
(書面に出力しての保存も可能とするよう、運用上、適切に配慮する)
適格請求書等保存方式に関する見直し
適用期日等:令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間
免税事業者の適格請求書発行事業者への登録の手続き見直し
免税事業者であっても課税期間の中途における任意の時期に適格請求書発行事業者の登録を受けられる
著者プロフィール
アクタス税理士法人
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