ITリテラシー
私たちの生活やビジネスの場では、IT機器の利用が当たり前となっています。その中で、生産性をより一層向上させていくために、ITを活用できる人材を育て確保していくことが必要不可欠となっています。
ITリテラシーとは
ITリテラシーとは、ITに関連する言葉や事象を理解し、対応・活用する能力のことです。
ITリテラシーを向上させると、単にPCやアプリケーション操作の習熟度が向上するだけではなく、現在入手または利用可能なITツール(IT機器やソフトウエアまたはサービス)を駆使し、業務の生産性向上やビジネスチャンスの創出・拡大に結び付けることができます。
ITリテラシーの向上がもたらす効果
ITリテラシーが向上することにより、情報や機密データの取り扱いについての重要性や業務への影響リスクの度合いについての認識が高まり、必然的に情報セキュリティの意識向上に繋げることができます。また、情報セキュリティに対する意識が高まることで、情報漏えいなどの不祥事を未然に防止する効果も見込めます。正しい知識と、各企業のルールの明確化・徹底によりヒューマンエラーの大半は防ぐことができます。
それ以外にも、多様なITツールを駆使するスキルが身に付き、必要な時にそれに合ったツールを効率よく活用できるようになります。これにより、業務効率化や生産性向上、円滑なコミュニケーションにもつながります。
ITリテラシーの欠如による企業リスク
ITリテラシーの欠如は、企業においてさまざまなリスクを引き起こす恐れがあります。
- マルウエアへの感染
- 機密データの漏えい
- 生産性の低下
- 業務の属人化
- SNS等での炎上
マルウエアへの感染
近年多くの企業で被害をもたらしている標的型攻撃メール(Emotet)や、データを暗号化して使えなくし、解除するために身代金を要求するランサムウエアなど、特定の企業や個人を狙い撃ちする攻撃が増えています。
万が一、サイバー攻撃の被害に遭ってしまうと、金銭の損失、顧客の喪失、事業継続の阻害など企業に与える不利益は多方面に広がります。
それに備えて各種セキュリティ機器やツールを導入するといった対策は必要ですが、最終的にはシステムを利用する“人”に委ねられることになります。
従業員のセキュリティリテラシーを向上させるにあたり、定期的な標的型攻撃メール訓練や教育研修など潜在リスクや対策について、しっかりと理解しなければいけません。
機密データ漏えい
ID/パスワードの使い回しや、USBメモリ等の記憶媒体利用時の危険性を正しく理解していないと、意図していなくとも機密情報を漏えいしてしまう事態につながってしまいます。
そうした事態に陥らないよう、定期的な教育の他に、他人に推測されにくい安全なパスワードの作成、会社指定のUSBメモリ以外は認識させない等の仕組みを合わせて検討すると良いでしょう。
また、最近ではChatGPTに代表される生成AIが台頭しています。そういったサービスを利用する際には、その特性やリスクを理解した上で利用することが大切です。
自社の機密情報・個人情報はもちろん、取引先等の機密情報・個人情報を入力しないなど注意を促しましょう。
生産性の低下
メールや業務システム、チャットツール等、社内システムを効率的に使うことができていないと、1つ1つの作業に時間がかかってしまったり、他の社員との連携が取りづらくなったりして生産性の低下を招きます。
例えば利用頻度の高いMicrosoft社のOffice関連製品は、社内で教え合うだけではなく、さまざまなツールを通して自己学習できる環境を整えれば、実践の場で活用できる機能や知識を習得でき飛躍的に業務の生産性が上がります。
業務の属人化
IT管理・システム作業・ヘルプデスクといった作業負担を一人に集約し負荷が大きくなり、生産性の悪化を招く「ひとり情シス」が問題視されています。
従業員のITリテラシーが低いと、些細なトラブルも全てシステム担当者に問い合わせ入り、対応に時間を費やしてしまうため本来の業務遂行に手が回りません。
特にセキュリティ対策は喫緊の課題と言われています。
情報システム部門が本来の業務を遂行するために、社内掲示板にマニュアルやFAQ(よくある質問)を掲載する、問い合わせ先を個人にせずメーリングリストにして情報を共有するなどの対応も必要です。
また、経営者も情報システム部門の負荷を理解し、その解決に必要な支援をしなければいけません。
SNS等での炎上
SNSにおいても、TPOやモラルが守れずに炎上につながってしまうケースが想定されます。
企業のアカウントだけではなく、従業員個人のアカウントでの投稿により、機密情報が漏れてしまうケースや、モラルを疑われて勤務先が特定され企業イメージが失墜してしまう事案も発生しています。
企業の機密情報をSNS等に書き込むことにより想定されるリスクを従業員全員で共有しておくことが肝要です。
デジタル化が進む現代では、誰もがIT機器を使用することが当たり前となっている反面、サイバー攻撃などのセキュリティリスクが日に日に高まっており、社会におけるIT分野での事象や情報等を正しく理解することが全てのビジネスパーソンに求められています。
私たちは、従業員のITリテラシーの向上がもたらすメリットや、その欠如によるリスクを十分理解し対策しなければなりません。
従業員のITリテラシーを高めるには
ITリテラシーを高めるにあたり、個別に指導する方法では全従業員に浸透するまでに時間を要します。全ての従業員を対象に研修を行うことが重要で、それが必然的にITリテラシーへの理解につながります。例えば、新システムを導入するタイミングで教育や研修を部単位などで行うことも、ITリテラシーへの理解を深める良いきっかけになります。
またコンプライアンスやセキュリティの意識向上においても、オンラインセミナーの参加や資格を取得させることで最新動向、ビジネスの改善・刷新、リスク対応といった各領域に関する知識を深めることができます。
推進担当としてやるべきこと
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社内の情報システムや環境の整備
(PCやスマートフォン、社内クラウドなどデジタルデバイスや技術にアクセスしやすい環境づくり)
- 業務マニュアルの作成
- FAQの作成(よくある質問)
- ITリテラシーに関する社内外研修・教育の受講
キヤノンS&Sの取り組み
- e-Learningによる定期的学習
- 社内作成動画や操作マニュアルを活用したITツール操作学習
- インシデント再発防止に対する各課でのミーティングおよび、実施報告
私たちはe-Leaningによる学習を行っており、就業時間中に受講することとしています。
また、業務システムの刷新や新規導入の際には動画やマニュアルが共有され、それを見て学習することができます。情報システム部門から発信されたもの以外にも、「こんな使い方が便利」などといった情報を社員同士が社内コミュニケーションツールで共有しています。
その他、仮にインシデントが発生してしまった場合は、それが社内で共有され皆で再発防止のための学習やミーティングを実施しています。
また、キヤノンS&Sは従業員の自己啓発を後押ししており、通信教育の受講料の一部を補助する制度も設けています。その対象コースには、DX関連コースも含まれます。
キヤノンS&Sができること
私たちは、ITリテラシーの向上に取り組むお客さまをご支援しています。
例えば、私たちの強みであるセキュリティの知識をはじめ、DXの流れを理解するITリテラシーや業務に役立つMicrosoft社のOffice関連製品の操作スキルをパッケージ化し、自己学習が可能なオンデマンドのオンラインコンテンツ「スキル向上支援サービス」を提供しています。
これらは、お客さまの目的に合わせてパッケージ化されておりますので、内製時に発生する資料作成等にかかる時間とコストを省くことができます。各パックでは、最後に確認テストも準備していますので、単に研修を「実施した」だけではなく、しっかりと「身についた」かどうかも可視化することができます。
また「研修支援サービス」では、お客さまの課題やご希望に合わせ、専門性の高い講師陣が実施するビジネスマナーや社会人に必要なプレゼンテーションスキルなどの研修を、ご訪問またはオンラインでご提供します。
従業員のITリテラシーの向上による生産性向上、定期的な教育の機会をご提供することによる優秀な人材の確保・定着にお役立ていただければと考えています。