法人が土地や建物などを売却した際に、一定の要件を満たした資産の買換えを行うことで、譲渡益の課税を繰り延べることができます。それが「特定の資産の買換えの場合等の課税の特例（圧縮記帳）」の制度です。この制度の適用に際しては、新たに「届出書」を提出することが、令和 5年度税制改正で追加されました。この届出書の提出期限は、会社の「決算月」と「譲渡日（取得日）」によって異なりますので注意が必要です。今回は、この買換えの特例制度の概要と注意点をご紹介します。

法人が不動産を譲渡して譲渡益が発生した場合で次の要件を満たすときは、その新たに買換えた不動産（買換資産）の帳簿価額を一定の方法で減額し、その減額した金額を譲渡益と相殺することで課税を繰り延べることが認められています。この制度を圧縮記帳といいます。

対象となる譲渡資産及び買換資産は、措置法第65条の7第1項の各号ごとに要件が定められています。

同一事業年度内に不動産の買換えを行う場合を対象に、譲渡資産の譲渡日と買換資産の取得日のいずれか早い日を含む四半期（その事業年度をその開始の日以後3月ごとに区分した各期間）の末日の翌日から2月以内に、譲渡資産及び取得予定資産又は買換資産及び譲渡予定資産の概要を記載した「特定の資産の買換えの場合の課税の特例の適用に関する届出書」を提出する要件が新たに加わりました。令和6年4月1日以後に譲渡又は取得する法人が対象になります。
なお、買換資産の取得が譲渡の前事業年度又は翌事業年度になる場合、別の手続きが必要になります。詳細はQ2を参照ください。

以下の決算月の区分に応じて提出期限が異なりますので、提出漏れがないよう留意する必要があります。