軽減税率と区分記載請求書保存方式に対して
経理部門はどんな準備が必要でしょうか?
~消費税10%・軽減税率への準備 その2~
2019年2月1日
10月1日より「消費税増税・軽減税率」と「区分記載請求書方式」が開始となります。
今回は、「区分記載請求書方式」とはどのようなものか、この方式になることで帳簿への記入方法がどのように変わるのか、なぜ記入方法の変更が必要なのか、などについてご説明します。
「軽減税率」に必要な対応は?
軽減税率の対象となる品目を「販売する」企業では
10月1日以降、区分記載請求書を発行できるように準備していきましょう。
「区分記載請求書等保存方式」とは、現行の「請求書等保存方式」に加え、以下2点が追加された方式です。
- 軽減税率の対象品目
- 税率ごとに合計した税込み対価の額
その他、価格表示方法の検討やレジ対応を行う必要があります。
軽減税率対象品目を経費として「購入する」企業では
10月1日以降、軽減税率対象品目を購入すると、「区分記載請求書」を受け取ることになります。
帳簿には、消費税が10%で購入したものと8%で購入したものを区分して記載する必要があります。
帳簿に区分して記載する理由は?
課税事業者の消費税額の算出方法は以下の構造になっています。
(売上に含まれる消費税額)-(仕入・経費に含まれる消費税額)=(納付する消費税額)
今までは消費税率が一律だったため、シンプルに売上や仕入・経費の額に8%分(8/108)を掛けることで、消費税額を算出できました。
しかし、軽減税率が導入されることで消費税率が2通り存在するため、軽減税率対象品目とそれ以外の品目を区分し、それぞれの消費税額を算出しなければなりません。
たとえば、
- 売上が税抜20,000円
- 仕入・経費が税抜10,000円(うち4,000円分が雑貨、6,000円分が食品類)
であったとします。
現行税率8%の場合、売上は税込み21,600円、仕入・経費は税込み10,800円となり、消費税額は以下の式で算出できます。
(21,600×8/108)-(10,800×8/108)=800円
しかし10月1日以降、軽減税率が導入されると、以下のように複雑化されます。
売上に含まれる消費税額(10%分)-仕入・経費に含まれる消費税額(10%分+8%分) =消費税額
前述の例においては、売上額は消費税率10%のため税込み22,000円になり、仕入・経費の税込み価格は、雑貨は消費税率10%なので4,400円、食品は消費税率8%なので6,480円となります。
税額を求める式は以下の通りです。
(22,000×10/110)-(4,400×10/110+6,480×8/108)=1,120円
仕入・経費について帳簿に軽減税率対象品目を分けて記載することで、正しい税額を算出することができます。
以上のように、軽減税率の導入にあたっては経理部門でも準備が必要です。
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