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金属3Dプリンター 情報サイト

魔法の装置ではないとは

金属3Dプリンターが一躍脚光を浴びた数年前は、3DのCADモデルさえ準備すれば、どんな形状でも簡単に造形できる魔法の装置のように勘違いされる事がありました。今となっては大よそ認識されてきましたが、金属3Dプリンターによる造形には幾つかの制約があり、ノウハウが必要であるという事を改めて説明させて頂きます。
金属3Dプリンターの制約を正しく理解した上で、これを回避するために設計を変更したり、従来のプロセスと併用もしくは使い分ける事で、革新的な部品製造が可能になります。

造形姿勢決め・サポート設計を行う必要がある

金属3Dプリンターでは、どんな形状でも簡単に造形できるわけではありません。金属3Dプリンターに適した設計変更を行った上で、 最適な造形姿勢と、最適なサポート設計を行う必要があります。

ダウンフェースや中空構造の天井部分は、何もケアをせずに造形すると面が荒れたり崩れたりする傾向にあるため、事前の適切なケアが必要です。また、局所的にレーザーを照射する急冷・凝固のプロセスの中で、造形物内に発生する温度差が熱歪みを生じさせ応力が蓄積されるため、造形中に造形物が反ったりしないよう、造形プレートと造形物の間には適切なサポートを設計する必要も出てきます。
造形姿勢の工夫や適切なサポート設計によって所望の品質で造形することが可能となります。

金属3Dプリンター専用ソフトウェア”3DXpert”による最適姿勢の検討とサポート設計例

後加工が必要

造形だけで機械加工と同等の表面仕上がり、寸法精度は期待出来ません。
造形直後の造形物は一様に表面がザラザラしており、材料種類によって多少の違いはありますがRa:4~10um程度の面粗さです。
アプリケーションに応じて二次加工が必要ですが、二次加工の方法を考慮した造形姿勢やサポート設計を行う事も、金属3Dプリンターによる製造プロセスを効率化するために必要な要素となります。

後加工

メーカーから供給可能な金属材料の制約

3Dプリンターメーカーが標準材料として供給できる材料種類には限りがあります。
切削加工ではバルク材を使用しますが、金属3Dプリンターでは数umから数十umの微粉末の金属材料を使用し、適切な条件で溶融するためには、材料の組成、粒径、粒度分布などに応じて最適化された溶融データベースが必要となります。このデータベースは原則、3Dプリンターメーカーから材料とともに提供されますが、市販されているバルク材ほど種類が無いことには注意が必要です。

3DSystemsの装置では、ユーザー側でデータベースを編集、新規作成する機能を有しているため、独自の材料で金属3Dプリンターを運用することも可能です。材料メーカーも3Dプリンター用粉末の種類を拡充し、場合によってはデータベースもセットで販売しておりますので、装置の普及に伴ってますます利便性が向上することが期待されます。

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