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進まない営業DX
営業DX実現のカギとなる営業部門の「見える化」とは

  • 会社の処方箋
キービジュアル

2023年9月19日

変化の激しい時代において、競争力を高めるために多くの企業でDX(デジタルトランスフォーメーション)への取り組みが進められています。中でも、顧客と接点を持ち売り上げ拡大に直結する営業部門のDXは、企業にとって非常に重要です。しかし、中小企業において営業部門のDXは思うように進んでいないのが現状です。
当コラムでは、営業DXが進まない理由や、DX実現のカギとなる「見える化」、営業部門の「見える化」を実現するITツールについてご説明します。

営業DXとは

DXとは、デジタル技術を活用して顧客へ提供する価値や仕組みを変えることです。
総務DX・経理DX・人事DXなど業務におけるDXは様々ありますが、営業DXは、営業プロセスや営業マネジメントなどの業務をデジタルツールを活用して最適化し、より質の高い・新しい価値を顧客に提供することを目的としたDXです。

例)
営業部門が取得した顧客の声(改善要望など)をSFA/CRMに登録し共有することで、製造・開発部門が顧客の声をシームレスに確認でき、商品改善のスピードが向上する

なぜ営業DXが進まないのか?

営業DXが進まない理由はさまざまありますが、ここではお客さまと会話をする中で特によく挙がってくる理由を二つご紹介します。

理由1:営業部門が仕組み化できていない/仕組み化することに否定的

営業部門の仕組み化ができていない、もしくは仕組み化することに否定的な企業の特徴は次の通りです。

  • 営業は結果が全てだと考えている
  • 営業は属人的であるべきだと考えている
  • 気合と根性という精神論だけで営業マネジメントをしている

どの項目もセールスのマインドとしては非常に重要なものです。こうしたマインドを基に、自分のやり方を見つけ、人脈を広げ、成果を上げていることは称賛されるべきことであり、尊敬されるべきことです。
しかし、国内市場は縮小し、顧客のニーズは多様化し、人材の流動性は高くなる…など、これまでにないスピードで経営環境が変化している現代においては、個(一部のトップセールス)に依存するのはリスクが高すぎます。変化の激しい現代において、持続的に営業生産性を上げるために、営業部門の仕組み化は必要不可欠と言えます。
また、そもそも仕組みがなければ、DXにおけるデジタル化は成立しません。仕組みがあるからこそ、データにするべきものが明確になり、どのようにデータを活用すればいいのかが明確になり、営業部門の変革に取り組むことが可能となります。
結果重視からプロセス重視へ、属人化から標準化へ、精神論からデータに基づいた科学的なマネジメントへと営業DXの取り組みを通じて、営業部門を変革していく必要があります。

理由2:営業部門のデジタル化は難しいと諦めている

営業部門のマネジメントに必要な項目は、企業の業種・業態や状況によってさまざまです。ただし、「顧客管理」「案件管理」「活動管理」の三つの項目は、業種・業態に関係なく必要不可欠な管理項目になるかと思います。
デジタル化が進んでいない場合、顧客管理は販売管理システムなどの基幹システムで行い、案件管理や活動の管理は紙やExcelなどでバラバラに管理されていることがほとんどでしょう。ですが本来は、顧客の情報を調べていると、「今までどのような案件をしてきたのだろう」や、「営業はどのような活動をしてきたのだろう」など、この三つの要素に横串が刺さっていて、横断的に調べたいというのが本音のところだと思います。

また、営業管理においては、現時点だけの状況がわかればいいのではなく、過去はどうだったのか、未来はどうなるのかという時系列の管理も必要不可欠です。
そうなると、それぞれの要素をバラバラで管理している状況では、知りたいことを探すだけでも大変ですし、紙やExcelで効率的に管理していくのはほぼ不可能です。
こういった営業部門の管理の複雑さから、営業DXは無理だと諦めてしまっているケースによく遭遇します。

「顧客管理」「案件管理」「活動管理」だけでなく、「過去」「現在」「未来」の時系列の管理も必要となり、営業DXは難しい

現在はSFA(営業支援システム)のような営業活動の仕組み化・標準化を支援してくれるITツールが充実してきています。これまで営業部門のデジタル化・DXは難しいから諦めていたという方は、この機会に取り組みを検討されてはいかがでしょうか。

DX実現のカギとなる「見える化」

DXとは、「デジタル技術を活用して顧客へ提供する価値や仕組みを変えることである」と先に述べましたが、DXは何らかのシステムを導入したら終わり、一度やったら終わりというものではありません。顧客のニーズは時代の流れと共にどんどん変化するでしょうし、それに準じて競合が新規参入してきたり、代替製品・サービスが生まれたりなど、経営環境は刻々と変化していきます。そういった経営環境の変化に、デジタルを活用して、改善をし続け、変革をし続け、顧客に対して新しい価値を提供し続けることがDXの本質だと考えています。
では、改善や変革を継続し、DXを実現していくためにはどうすれば良いでしょうか。そこでカギとなるのが、「見える化」です。

「見える化」による効果

「見える化」することの効果の一つとして、「問題点に気付くことができる」ということが挙げられます。
普段の生活における身近な例で言えば、健康診断の結果票がわかりやすいと思います。数値で示された健康診断の結果を見て、悪いところがあれば気付くことができます。また下記に示した図の通り、気付けば問題点を改善しようと動くことにつながり、動けば状況や結果が変わってきます。変わると新たなビジョンを描いたり、目標を立てたりすることにつながり、そこで新たな問題点が見えてきます。
見えれば気付き、気付けば動いて…のように「見える化」をすることで、改善・変革を継続し続ける一つの良い循環が生まれます。この改善・変革のサイクルを生むことが、「見える化」の最大の効果となります。

「見える化」することによって、見えれば気付く→気付けば動く→動けば変わる→変われば新たな問題点が見える、の「変革のサイクル」が生まれる

「見える化」は変革=DXの起点となり、DX実現のカギとなる必要不可欠な要素であるということを抑えたうえで、DXへの取り組みを進めていただきたいと思います。

営業部門の「見える化」を実現するITツール

営業部門の「見える化」に活用できるITツールとして、先にも少し触れたSFA(営業支援システム)というものがあります。以下にSFAで「見える化」できる項目をいくつか挙げさせていただきます。SFAを活用して営業部門の「見える化」、ひいては営業DXへの取り組みを進めてみてはいかがでしょうか。

SFAで「見える化」できる項目例
  • 営業活動
  • 営業プロセス
  • 案件
  • 進捗状況
  • 顧客
  • 成功事例
  • ヌケモレ
SFA(Salse Force Automation:営業支援システム)は営業活動の仕組み化・標準化を支援し、営業活動の効率化を図るためのツール。営業担当のデータ入力により「顧客管理」「案件管理」「活動管理」のデータを蓄積。それを分析・活用することで、データに基づくマネジメントの実践が可能

まとめ

DXとは誰のためにやるのか?何のためにやるのか?
極論ではあるかもしれませんが、私は「顧客」に対して、「提供する価値を高め続ける」ために顧客視点で取り組むことだと考えています。その顧客と直接の接点を持つ営業部門でデジタルを活用し、営業活動や顧客を「見える化」して、「見える化」したデータを基に改善・変革をし続けることができれば、それは顧客への価値提供に直結します。ですので、さまざまなDXの中でも営業DXこそ率先して取り組むべきDXだと考えています。

営業部門のデジタル化・見える化を支援するITツールが充実してきた昨今は、営業DXに取り組むべき良い機会です。営業部門のデジタル化・DXは難しいから諦めていたという方は、当コラムで紹介したSFA(営業支援ツール)などのITツールを検討し、営業DX実現へ向けての1歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

著者プロフィール

キヤノンシステムアンドサポート株式会社
SS推進本部 SS統括部 コンサルティング推進課
経済産業大臣登録 中小企業診断士
大阪府中小企業診断協会 正会員

米川 詩朗

【コンサルティング推進課の業務内容】
営業DXの支援及び営業支援ツール(SFA)の活用コンサルティング業務

セミナー講演動画

本コラムでご紹介した内容を、イベントにて講演しております。ぜひ社内でも共有いただき、営業DX推進にお役立てください。

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