中小企業のためのBCP策定解説
中小企業はBCP作成のために割くことができる従業員や資金には限界があります。そのためBCPを網羅性や品質などの観点から策定するよりも、即効性や作業効率に重点を置く方が現実的といえます。
資金確保手段も事前に決めておきましょう。
BCP策定の目的
BCPとは、企業や組織が事業中断をもたらすような「不測の事象」に直面した際に、企業にとっての重要な業務を継続させるために必要な行動計画を指します。
また現代社会では1社だけでは製品やサービスを提供できず、複数の企業でサプライチェーンを構成しています。そのため自社の事業継続だけでなく、サプライチェーン全体の継続を考える必要があります。

上記のように企業を取り巻くリスクは年々増加しまた多様化しているため、その全てに最初から万全な体制を整備することは不可能です。
そこでまずは、企業の中でリスクマネジメントの体制整備からの着手し、初期対応として有事の際の危機管理能力と対応力という組織力の強化を図ります。その後継続的なスパイラルアップで範囲や想定を拡大して行きます。
BCP策定のプロジェクト体制
BCP策定は企業の経営戦略の一環です。そのため組織の意思決定権者がプロジェクトに関わることが肝要です。
実際のプロジェクトの旗振り役となる部署(事務局)は、リスク管理を専門に行うチームがあればその部署、もしくは経営企画室や総務部門が良いでしょう。また、前述のとおり、BCPは経営戦略の一環であるため、策定においては、現場をよく理解している事業部門の実務担当者の参加もが望まれます。
加えて、昨今の企業活動はシステムに依存する部分が多いため、IT部門の責任者にもご参加いただいた方が、スムーズに進めることができます。

BCP策定のステップ
BCPは下記の流れに沿って策定していきます。一度策定したら終わりではなく、環境の変化に合わせて常にPDCAを回していくことが大切です。

BCP策定の留意点
前述の規格・ガイドラインに沿ってBCPを策定された企業の大半が陥る失敗があります。
- バインダファイルへ綴じこむ程の立派な規程や様式類のBCP文書を作成した。
- 規格・ガイドラインに沿って、事務局担当者だけでBCP文書を作成した。
- 文書は作成したが、テストや演習、訓練はしていない。
緊急時はすべてが混乱状態に陥りますので、ボリュームの多い規程はかえってマイナスです。できればワンシートで簡単に閲覧できるようなチャート形式のようなものの方が実用性が高くなります。
BCP策定時には各部署からの意見をまとめ、実地でテストや訓練を行うことも大切です。

データバックアップについて
現代の企業経営にはITが欠かせません。その中で特に重要なのが蓄積されたデータです。コンピューター機器や周辺装置は壊れれば修理や買い替えが可能ですが、失われたデータは元に戻すことができません。
万一を想定すると、遠隔地の拠点でバックアップデータを保存するのが安全といえます。中小企業であればクラウドで提供されているバックアップサービスを利用するとより安全です。


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