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スキャン代行サービスとは?効果や選び方、企業での導入事例を解説

  • 電子帳簿保存法

ペーパーレス化の推進や改正電子帳簿保存法でのスキャナ保存制度の要件緩和など、様々な動きの中で注目を集めている取引関係書類のスキャンデータでの保存。電子帳簿保存法は3つの制度に区分されており、取引関係書類のスキャンデータでの保存は「スキャナ保存」となります。「スキャナ保存」は、その他の制度である「電子取引」や「電子帳簿等保存」とは違い、紙媒体を一枚ずつスキャンして電子データに変換する必要があるため、非常に手間がかかります。そこでおすすめになってくるのが“スキャン代行サービス”です。

スキャン代行サービスを利用すれば、自社の負担を最小限に書類の電子化が図れるだけでなく、その結果として保管コストの削減など様々なメリットが得られるでしょう。本記事では、そのスキャン代行サービスについて解説します。どういったサービスかいまひとつイメージが湧いていない方や、実際に利用しようか検討している方はぜひ参考にしてみてください。

目次

  • コア業務に集中できる
  • 書類データの検索性の向上
  • 保管コストの削減
  • 災害対策
  • テレワークでの業務が可能に
  • 電子帳簿保存法への対応
  • 原本の取扱い方法で選ぶ
  • スキャンの品質で選ぶ
  • 費用で選ぶ
  • サポート体制で選ぶ
  • セキュリティ対策が万全かで選ぶ

スキャン代行サービスとは

スキャン代行サービスとは、紙媒体を電子データ化する際に行なう“スキャン”を、自社に代わってサービス提供会社が代行してくれるサービスのことです。

基本的に、スキャン作業は一枚一枚行なう必要があるため、日々、発生する書類だけでなく、紙文書で保存している書類の電子化にも取り組む場合、スキャン対象の書類がかなりの量となることもあります。そのため、全ての書類を自社でスキャンするには、かなりの労力が必要です。そこで役立つのが“スキャン代行サービス”になります。

スキャン代行サービスを利用すれば、膨大な書類があったとしてもそれらを全て代わりに請け負ってスキャンしてくれるため、自社の労力をそこに費やすことなく電子化が完了します。また、サービスによってはファイル名のリネーム等も行なってくれるものもありますので、検索性の向上による業務効率化も期待できるでしょう。

スキャン代行サービスが注目される背景

スキャン代行サービスが注目されている背景には、主に以下のようなポイントがあります。

  • 企業の人材不足
  • リモートワークの普及
  • 電子帳簿保存法のスキャナ保存要件の緩和

スキャン自体は自社でもルールに沿って行えば容易にできる作業ではありますが、先にも述べたように取り扱う量が膨大になると、かなりの労力を必要とします。昨今、人手不足を問題視する企業が増えている中で、膨大な量の書類のスキャンに人手を費やすのは効率が悪いです。その点、スキャン代行サービスを利用すれば自社の労力を注ぐ必要が無いため、人材を確保した状態で電子化作業を進めることができます。

また、新型コロナウイルスの流行によるリモートワークの急速な普及や、2022年1月の改正電子帳簿保存法でのスキャナ保存要件の緩和なども注目を集めている要因です。特にリモートワークについては、書類のやり取りの多くは電子データとなるので、書類の電子化が重要であると言えます。そのため、リモートワークの整備をはじめた企業の多くが紙媒体の電子化に取り組まれております。

スキャン代行サービスで対応可能な書類

スキャンの目的は企業によっても異なりますし、取り扱う書類の種類も異なります。そのため、スキャン代行サービスを利用する場合には、どんな書類を取り扱ってくれるのか事前に知ったうえで、自社の書類が対応可能かどうかを把握することが大切です。

以下では、スキャン代行サービスで一般的に対応可能な書類についてまとめてあります。

書類の種類 具体例
一般文書 各種申請書
法的書類
仕様書
作業手順書
国税関係書類 など
製本文書・冊子 契約書
書籍
カタログ
刊行物
マニュアル など
大判図面 機械設計図面
設備図面
製品図面
建築図面 など
証憑類、業務帳票 申込書
注文書
請求書
領収書 など

企業内で取り扱う一般的な書類や図面、本や冊子などがスキャンできます。スキャン代行サービスで対応できる書類はかなり幅広いため、企業内にある対応可能書類を全て電子化しようとするとかなりの量になってしまうでしょう。

そのため、スキャン代行サービスを利用する際は依頼する書類をしっかりと定めておくことが大切です。

スキャン代行サービスの導入で得られる効果

スキャン代行サービスでは、依頼をすることによって得られる副次的な効果も期待できます。主なものとしては以下のような効果となります。

  • コア業務に集中できる
  • 書類データの検索性の向上
  • 保管コストの削減
  • 災害対策
  • テレワークでの業務が可能に
  • 電子帳簿保存法への対応

スキャン業務に労力を割かれないことによってコア業務に集中できたり、電子化が早期に完了することで社内の書類の検索性が向上したりといった効果が得られます。他にも災害時の書類紛失といったことも防げるなど、様々な効果を享受できるでしょう。

効率よくこれらの効果を得ることがどれくらいのメリットになるのかをイメージしながら、以下の内容を参考にスキャン代行サービスを利用するべきかどうかを検討してみてください。

コア業務に集中できる

スキャン代行サービスを利用すれば、社内のリソースを割く必要が無くなるため、企業内で重要とされるコア業務に自社の人材を充てることができます。コア業務に自社の人材を集中することができれば、結果として業務の効率化に繋がり、企業運営が円滑化することになるでしょう。

また、例えば請求書のスキャン代行サービスを利用する場合、書類の電子化が進めば、その後の受領請求書の処理などの対応業務もデジタル化しやすくなり、事務処理等の効率化も図れ、結果として取引先への早期支払いを実現できます。さらに、デジタル化が進めば導入できるシステムやツールの幅も広がってくるため、業務効率化を推進するための手段の選択肢が増えるといったメリットもあるでしょう。

書類データの検索性の向上

書類等をスキャンすることによってデジタル化が進めば、スキャンしたデータの検索性が向上します。スキャン代行のサービス内容によっては、ファイルのリネームもしてくれるため、ファイルの検索性能はさらに向上するでしょう。

ちなみに自社でスキャンをする場合、スキャンした書類データのファイル名は、自社で決めたルールに基づいて設定する必要があります。その際、キーボード入力での対応となると負担が大きくなりがちですが、スキャン代行サービスにリネームも依頼できれば、そういった負担を軽減することも可能です。

以上の様に、スキャン代行サービスを利用すれば最小限の労力で、検索性の向上が図れます。

保管コストの削減

保管コストとは、主に書類を適切な状態で保存しておくためのコストのことです。例えば、紙媒体で保管している場合、火事による紛失で受ける被害を抑えるための火災保険にかかる費用や、書類の劣化を防ぐためにかかる空調費用などが該当します。他にも、オフィスに保管する場合、書類を格納するためのキャビネットの費用やキャビネットを置くためのオフィスのスペースコスト(賃料など)、また、外部の書類保管サービスを利用している場合には、保管にかかる直接的な費用もあるでしょう。これらのコストが高額でない場合でも、長期の保管となるほど総額は積み重なっていきます。

保存する紙媒体を電子化すれば、上記でかかるようなコストを削減することも可能です。もちろん、クラウドストレージなどのファイル保管サービスを利用する場合には、一定のコストがかかってしまいます。また、オンプレミスで自社にシステム構築する場合には、機器の調達から保守運用管理までを自社で行なうことになります。クラウドサービスとオンプレミスには、それぞれのメリットがありますので、その点を理解した上で、検討することが重要となります。

災害対策

紙媒体を電子化することは、BCP対策に繋がります。BCP対策とは、災害によって企業が損害を受けたとしても、事業を継続できるように取り組む対策のことです。

例えば火事が発生した場合、紙媒体で保管しておくと書類のほとんどが焼失してしまう可能性があります。しかし、電子化したデータをクラウド上で保管するなどしてBCP対策が施されていれば、万が一建物が全焼したとしてもデータを守ることができるでしょう。

スキャンによってデータ化することで、データの管理方法に柔軟性が生まれることは、スキャンを推進するうえでのメリットとも言えます。

テレワークでの業務が可能に

スキャンによって電子データ化が進めば、社内にいなくてもデータでのやり取りを実現できるため、テレワークでの業務が可能となります。紙媒体を扱っていると、書類を受け取るために出社する必要があったり、郵送したりと、様々な面でアナログな動きが増えてしまいますが、電子データで統一されていればそういった対応も必要ありません。

昨今の新型コロナウイルスの流行によってテレワークが急速に普及した際にスキャン代行が注目されたのは、上記のようなアナログ面が改善する期待があると見込まれたからと言えるでしょう。

電子帳簿保存法への対応

電子帳簿保存法(電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律)とは、企業が税法に基づき保管する必要のある帳簿・書類を電子データで保存するためのルール等を定めた法律です。国税関係書類を電子データで保存する際には、この法律に則ってスキャン等をしなくてはいけません。

基本的に、スキャン代行サービスには、上記のような法律に対応しているサービスも多く、法令対応した保存のためのスキャンでも利用が望めます。

つまり、電子帳簿保存法などに対応しているスキャン代行サービスに依頼すれば、法の求める要件を満たしたデータ管理ができるようになります。

スキャン代行サービスの選び方

ここまで、スキャン代行サービスを利用することで得られる効果を解説しましたが、実際にその効果の恩恵を受けるためには、それらの効果を十分に感じられるサービス提供会社を選ぶことが大切です。そこで以下では、スキャン代行サービスの選択を失敗しないためのポイントについて解説します。以下で示す5つのポイントを参考にしてみてください。

  • 原本の取扱い方法で選ぶ
  • スキャンの品質で選ぶ
  • 費用で選ぶ
  • サポート体制で選ぶ
  • セキュリティ対策が万全かで選ぶ

スキャンをする場合、書面の種類によっては原本の方が法的に効力を持つ場合もあります。ですので、万が一何かあった際に必要な書類として、重要な書類の原本は取っておいてくれるかなども確認しなくてはいけません。

他にも費用はもちろんのこと、その後のサポート体制やデータを管理するうえでのセキュリティ対策などもチェックするうえで重要なポイントとなってきます。それぞれの内容を次項で確認してみましょう。

原本の取扱い方法で選ぶ

書類の種類によっては、スキャンしたデータだけでなく原本も保管する場合があります。例えば、収入印紙を貼り付けている契約書など、万が一何かあった際に備えて保管する企業様もいらっしゃいます。民事訴訟法上において、スキャナ保存したデータはあくまでも“コピー”という扱いにしかなりません。

以上の様に、重要な書類については原本の保管が必要となることもあるので、電子化後の原本の取り扱いについて理解し、原本から廃棄までを対応してくれるかという点もサービスを選ぶ際のポイントの一つとなります。

スキャンの品質で選ぶ

スキャンの品質はサービス提供会社によって異なります。サービス提供会社によっては、原本と電子データの視認性の差が大きいこともゼロでは無く、書類によっては再度修正等が必要になることもあるでしょう。そのため、スキャンを依頼する場合には原本に対して電子データがどれくらいの再現度・品質を維持してくれるのかに、焦点を当てることが大切です。

注意点として、文字つぶれ等は解像度を上げてもらえば直る可能性がありますが、サービス提供会社によっては解像度を上げることで1枚当たり1~7円ほど値上がりする場合があります。スキャンする書類が多いほど、最終的な費用に差が出てしまうので、品質を意識する際は値段も同時にチェックしておきましょう。

費用で選ぶ

費用は依頼するサービス提供会社によって異なります。基本料はもちろんのこと、スキャン1枚当たりにかかる費用も各提供会社で異なるため、できるだけ費用を抑えられるサービスを選ぶことが重要です。

ただ、異なるのは値段だけでなく品質にも差があるので注意しなくてはいけません。同じ料金でもA社よりB社の方が品質は良い、ということも珍しくないので、品質と費用の両方を踏まえた上で選ぶようにしましょう。

サポート体制で選ぶ

サポート体制が充実しているサービス提供会社は、スキャン作業中やスキャン後に何か問題が発生した場合の対応に優れています。スキャン代行を初めて依頼する方ほど、サポート体制は重要視するべきポイントと言えるので、依頼するサービス提供会社のサポート内容を確認してから選ぶようにしましょう。

ちなみに、サービス提供会社が提供するサポート内容は様々で、以下のようなものがあります。

  • スキャン後のデータを専任オペレーターがダブルチェック
  • 導入後の計画策定に対するサポート
  • 活用状況に合わせた新たな支援プランの提示
  • 自社の電子化システムとの連携支援
  • 運用後の不具合に対する訂正・修正

スキャン業務の開始前から、完了後まで様々なサポート内容があります。サービス提供会社ごとに実施するサポート内容は異なるので、自社が求めるものに合わせて最適なサービス提供会社選びを心がけてみてください。

セキュリティ対策が万全かで選ぶ

ここでいうセキュリティ対策とは、自社が預けた書類の内容等が外部に漏れないようにする対策のことを指します。スキャン代行を依頼する場合、必ず一旦は書類をサービス提供会社に預ける必要があるため、スキャンの過程で内容が見られてしまう可能性が高いです。

内容が見られてしまうこと自体はスキャンを依頼している以上はやむを得ないですが、その情報が流出してしまうようなことは決してあってはなりません。セキュリティ対策が十分なサービス提供会社に頼むことが、自社の情報を守ることに繋がるため、依頼時は必ずセキュリティ対策についてチェックしておきましょう。

セキュリティ対策が十分かどうかを判断するポイントとして、情報セキュリティ認証資格があるかどうかを確認することを推奨します。情報セキュリティ認証資格には“Pマーク”などがあり、それらを取得している企業に対しては信頼してスキャン代行を依頼することができるでしょう。

スキャン代行サービスの導入事例

スキャン代行サービスで得られる効果や、サービス提供会社選びのポイントなどについて把握したら、実際にどのように代行サービスが活用されているのかを、事例を通して確認してみましょう。事例を知ることで、実際に導入した際のイメージが湧きやすくなります。

スキャン代行サービスの導入事例

  • 運輸関連 車両管理部門への導入事例
    点検の度に持ち出す必要があった整備マニュアルを全て電子化。その結果、モバイル端末を持ち歩くだけで点検が行えるようになりました。また、データで確認をすることで、不明な点があれば、その場で画面共有しながらメンバーに確認できるようになり、スピーディーなやり取りが実現し、業務の効率化にも繋がりました。
  • 不動産関連 住宅事業部門への導入事例
    契約書や重要事項説明書などを電子化することで、社内システムと連携が実現。これにより、営業先からでも簡単に内容確認ができるようになり、業務効率化に繋がりました。また、電子化によってムダな動きを削減することができた結果、本来のコア業務にも専念できるようになりました。

これらの詳細については、以下のページで取り扱っていますので、さらに知りたい方はぜひご覧になってみてください。

まとめ

テレワークやペーパーレス化が注目される昨今において“紙媒体の電子化”は注目を集める取り組みの一つです。電子化作業、すなわち紙媒体のスキャン作業は書類の量が多いほど負担が大きくなるため、効率化の手段のひとつとしてスキャン代行サービスの利用を推奨します。

スキャン代行サービスを利用すれば、自社の人員をコア業務に集中させることが出来たり、テレワークの業務効率の向上に繋げたりすることが可能です。もちろん、紙媒体で保管しておかなくてはいけないものも一部ありますが、そのことを踏まえても、紙媒体の電子化は企業にとって大きなメリットをもたらすでしょう。

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