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脱炭素経営とは?始め方からメリット、企業の取り組み事例までわかりやすく解説!

近年、「脱炭素経営」という言葉を耳にする機会が増えました。これは、地球温暖化対策を企業の社会的責任(CSR)としてだけでなく、事業成長に不可欠な経営戦略の中核として位置づける考え方です。気候変動が世界的な課題となる中、企業には事業活動におけるCO2排出量の削減が強く求められています。本記事では、脱炭素経営の基本から、取り組むことのメリット、具体的な進め方、さらには企業の事例までを分かりやすく解説します。

公開日:2025年12月22日

目次

脱炭素経営とは?注目される背景と基本的な考え方

脱炭素経営とは、気候変動対策の観点を経営の中心に据え、温室効果ガス、特に二酸化炭素(CO2)の排出量を実質ゼロにすることを目指す経営スタイルです。これは、単なる環境活動に留まらず、企業の持続的な成長と価値向上を目指すための重要な戦略と位置づけられています。

脱炭素経営の定義

脱炭素経営は、事業活動に伴うCO2排出量を削減するための目標を設定し、全社的に取り組むことを意味します。具体的には、省エネルギー設備の導入、再生可能エネルギーへの転換、サプライチェーン全体での排出量管理などが含まれます。日本では2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにする目標が掲げられており、この国家目標の達成に向けて、企業にも積極的な役割が期待されています。

なぜ今、脱炭素経営が重要視されるのか?

脱炭素経営が注目される背景には、いくつかの要因があります。第一に、異常気象の頻発化など、気候変動によるリスクが現実のものとなり、社会全体の危機意識が高まっていることが挙げられます。第二に、投資家が企業の環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)への取り組みを重視する「ESG投資」が世界の主流となり、脱炭素への取り組みが企業の資金調達能力に直結するようになったことが挙げられます。さらに、顧客や取引先からも環境に配慮した製品やサービスが選ばれる傾向が強まっており、サプライチェーン全体で脱炭素化を求められるケースも増えています。

脱炭素経営に取り組む4つのメリット

脱炭素経営は、企業に多くのメリットをもたらします。環境への貢献はもちろんのこと、経営基盤の強化にも繋がる重要な取り組みです。

企業価値と競争力の向上

脱炭素経営に積極的に取り組む姿勢は、企業のブランドイメージを向上させます。環境問題への意識が高い消費者や取引先からの信頼を得ることができ、市場での競争優位性を確立することに繋がります。また、ESG投資を重視する投資家からの評価も高まり、企業価値の向上に直結します。

エネルギーコストの削減と生産性向上

脱炭素化の取り組みの一環として、省エネルギー性能の高い設備を導入したり、製造プロセスの見直しを行ったりします。これにより、従来かかっていた電気代や燃料費といったエネルギーコストを大幅に削減できる可能性があります。エネルギー効率の改善は、結果的に生産性の向上にも寄与し、企業の収益改善に繋がります。

新たな事業機会の創出

脱炭素という社会的な要請は、新たなビジネスチャンスを生み出します。例えば、省エネ性能の高い製品や、再生可能エネルギー関連のサービス開発などが考えられます。社会のニーズに対応した新しい価値を提供することで、企業は新たな市場を開拓し、事業を拡大させることが可能です。

資金調達の有利化と人材獲得

金融機関は、企業のESGへの取り組みを融資判断の重要な要素と見なすようになっています。脱炭素経営を推進している企業は、融資を受けやすくなったり、有利な条件で資金を調達できたりする場合があります。また、環境問題への貢献意欲が高い優秀な人材にとって、企業の姿勢は就職先を選ぶ際の重要な判断基準となります。脱炭素への取り組みは、人材獲得の面でも有利に働きます。

メリットの側面 具体的な効果
市場・顧客 ブランドイメージ向上、顧客からの信頼獲得、競争優位性の確立
コスト・収益 エネルギーコストの削減、生産性向上、新たな事業機会の創出
財務・人材 ESG投資による資金調達の有利化、補助金・支援制度の活用、優秀な人材の獲得

脱炭素経営のデメリットと乗り越えるべき課題

多くのメリットがある一方で、脱炭素経営の推進には課題も存在します。これらの課題を事前に認識し、対策を講じることが成功の鍵となります。

初期投資などのコスト負担

脱炭素経営を進める上で、最大の課題の一つがコストです。省エネルギー設備や再生可能エネルギー発電設備の導入には、多額の初期投資が必要となります。また、導入後も設備のメンテナンス費用が発生します。これらのコスト負担を軽減するためには、国や地方自治体が提供する補助金や支援制度を積極的に活用することが有効です。

専門知識を持つ人材の不足

脱炭素経営を効果的に進めるためには、CO2排出量の算定方法、削減技術、関連法規など、多岐にわたる専門知識が求められます。しかし、多くの中小企業では、こうした専門知識を持つ人材が不足しているのが現状です。外部の専門コンサルタントを活用したり、社内での人材育成に計画的に取り組んだりする必要があります。

脱炭素経営の具体的な進め方5ステップ

脱炭素経営を何から始めればよいか分からない企業も多いでしょう。ここでは、環境省のガイドブックなども参考に、基本的な5つのステップに分けて解説します。

ステップ 主な取り組み内容
1.現状把握 GHG排出量(Scope1,2,3)の算定・見える化
2.目標設定 SBTなどを参考に、科学的根拠に基づいた削減目標を設定
3.計画・実行 省エネ、再エネ導入、プロセス改善などの具体的な削減策を実施
4.情報開示 TCFDなどを参考に、ステークホルダーへ取り組み内容を開示
5.連携 サプライチェーン全体での脱炭素化に向けた協力を推進

ステップ1:現状把握(GHG排出量の算定)

最初に取り組むべきは、自社の事業活動によってどれだけの温室効果ガス(GHG)が排出されているかを正確に把握することです。これは「GHG排出量の見える化」とも呼ばれます。排出量は、燃料の使用などによる直接排出(Scope1)、購入した電気の使用に伴う間接排出(Scope2)、そしてサプライチェーン全体での排出(Scope3)に分類して算定します。

ステップ2:削減目標の設定(SBTなど)

自社の排出量を把握したら、次に具体的な削減目標を設定します。この際、科学的根拠に基づいた目標である「SBT(Science Based Targets)」の考え方を参考にすることが推奨されます。SBTは、パリ協定が求める水準と整合した、企業の温室効果ガス排出削減目標であり、国際的な信頼性を得ることができます。

ステップ3:具体的な削減策の立案と実行

設定した目標を達成するために、具体的な削減計画を策定し、実行に移します。削減策には、省エネ設備の導入、再生可能エネルギーの利用(自家消費型太陽光発電の設置や再エネ電力の購入)、燃料転換、生産プロセスの改善など、様々なアプローチが考えられます。

ステップ4:取り組み内容の情報開示

脱炭素経営の取り組みとその成果は、自社のウェブサイトや統合報告書などを通じて、株主、投資家、取引先といったステークホルダーに積極的に開示することが重要です。TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に沿った情報開示は、投資家からの評価を高める上で特に有効とされています。

ステップ5:サプライチェーン全体への働きかけ

自社だけの取り組みには限界があるため、原材料の調達先や製品の販売先など、サプライチェーン全体で脱炭素化を進める視点が不可欠です。取引先に対してCO2削減への協力を要請したり、共同で削減技術の開発に取り組んだりすることが求められます。

【企業規模別】脱炭素経営の取り組み事例

国内でも多くの企業が脱炭素経営に乗り出しています。ここでは、企業の規模別に具体的な取り組み事例を紹介します。

【大企業の事例】株式会社トヨタ自動車

株式会社トヨタ自動車は、「トヨタ環境チャレンジ2050」を掲げ、新車から工場、そして社会全体に至るまで、幅広い領域で脱炭素に向けた取り組みを進めています。特に、電動車開発によるCO2排出量削減に注力しており、ハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、電気自動車(BEV)、燃料電池自動車(FCEV)といった全方位での電動化を推進しています。また、工場においては、再生可能エネルギーの導入や、生産技術の改善によるエネルギー使用量の削減にも取り組んでいらっしゃるのです。サプライチェーン全体でのCO2排出量削減にもコミットし、持続可能な社会の実現を目指していると言えるでしょう。

【中小企業の事例】加藤軽金属工業株式会社

加藤軽金属工業株式会社は、アルミニウム製品の製造過程で大量の電力を消費することから、早期に省エネルギー活動に着手しました。エネルギー管理システムを導入して電力使用量を「見える化」し、非効率な設備を更新することで、大幅なエネルギーコストの削減に成功しています。こうした地道な省エネ改善の積み重ねが、脱炭素経営の基盤となっています。

中小企業が脱炭素経営を成功させるポイント

大企業に比べて経営資源が限られる中小企業にとって、脱炭素経営の推進は容易ではありません。しかし、ポイントを押さえることで、着実に成果を上げることが可能です。

活用できる補助金や支援制度を調べる

国や地方自治体は、中小企業の脱炭素化を支援するために、様々な補助金や助成金制度を用意しています。例えば、省エネルギー設備への更新を支援する「省エネルギー投資促進支援事業費補助金」などがあります。これらの制度を最大限に活用することで、初期投資の負担を大幅に軽減することができます。

自社の事業に合った取り組みから始める

脱炭素経営の取り組みは多岐にわたりますが、最初からすべてを完璧に行う必要はありません。まずは、照明のLED化や空調設備の更新、エネルギー使用量の見える化など、着手しやすく投資対効果の高い取り組みから始めることが重要です。自社の事業内容や経営状況に合わせて、無理のない範囲でステップアップしていくことが成功の秘訣です。

まとめ

脱炭素経営は、もはや特定の企業だけが取り組む施策ではなく、すべての企業に求められる経営の必須テーマとなりつつあります。GHG排出量の把握から目標設定、情報開示までの一連のステップは、環境配慮だけでなく、コスト最適化や企業価値の向上にもつながる“投資”です。まずは取り組みやすい領域から着手することで、大きな効果を生み出せます。
その第一歩として有効なのが、紙文書のデジタル化です。保存文書の電子化や、請求書・通知書などの帳票をWeb配信へ切り替えるだけでも、紙・インク・郵送に伴うCO₂排出を大幅に削減できます。これらは脱炭素経営の実践にも、日々の業務効率化にも直結する施策です。

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