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物流効率化法とは?2026年義務化に向けて特定事業者の義務・罰則と荷主が取るべき対策ステップを紹介

2024年4月からトラックドライバーの時間外労働に上限規制が適用され、物流業界では輸送能力の低下が懸念される「2024年問題」が深刻化しています。この問題に対応するため、政府は荷主と物流事業者が一体となって物流の効率化を進めることを目的に「物流効率化法(正式名称:流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律)」を改正しました。本記事では、この法律の概要から改正ポイント、そして事業者が具体的に何をすべきかまで、分かりやすく解説します。

公開日:2025年12月22日

目次

物流効率化法とは?目的と背景を解説

物流効率化法は、私たちの生活や経済活動に不可欠な物流を、将来にわたって持続可能なものにするための法律です。まずは、この法律がなぜ改正されるに至ったのか、その背景と目的、そして対象となる事業者について確認しましょう。

物流の「2024年問題」が改正の背景に

今回の法改正の大きな背景には、物流業界が直面する「2024年問題」があります。これは、働き方改革関連法により、2024年4月1日からトラックドライバーの時間外労働時間が年間960時間に制限されたことで生じる問題の総称です。ドライバーの労働時間が短くなることで、一日に運べる荷物の量が減少し、国全体の輸送能力が不足する可能性が指摘されています。このまま対策を講じなければ、2030年度には輸送能力が約34%不足するとも推計されており、物流の停滞は企業活動だけでなく、私たちの日常生活にも大きな影響を及ぼしかねません。このような危機的状況を回避するため、国は荷主と物流事業者が協力して物流全体の生産性を向上させる取り組みを法的に後押しする必要がありました。

法律が目指す2つの大きな目的

物流効率化法は、主に2つの目的を掲げています。一つ目は「物流の生産性向上」です。トラックの荷待ち時間の削減、荷役作業の機械化、異なる輸送手段を組み合わせるモーダルシフトの推進などを通じて、より少ない労働力で多くのモノを運べる体制を構築することを目指します。二つ目は「環境負荷の低減」です。輸送効率を高めることは、トラックの走行距離を減らし、CO2排出量の削減にも繋がります。このように、経済的な効率性と環境への配慮を両立させ、持続可能な物流システムの実現を目指すのが、この法律の大きな目的です。

法律の対象となる事業者とは?

この法律は、物流に関わる幅広い事業者を対象としています。具体的には、自社の荷物の運送を物流事業者に依頼する「荷主」と、トラック運送事業者などの「物流事業者」の両方が対象となります。今回の法改正では、特に荷主の役割が重要視されており、発荷主だけでなく、納品先である着荷主も協力するよう求められています。

対象事業者 具体例
荷主 メーカー、卸売業、小売業など、商品の発送や受け取りを行うすべての事業者
物流事業者 貨物自動車運送事業者、倉庫業者、港湾運送事業者など

物流効率化法の3つの重要ポイント

2024年5月に公布された改正物流効率化法は、段階的に施行されています。これまでの法律は支援が中心でしたが、改正後はより実効性を高めるための規制的な措置が導入されました。法施行は2025年4月と2026年4月の二段階で施行されます。

  • 2025年4月:第一段階として、すべての荷主・物流事業者に対する努力義務が課されました。
  • 2026年4月:第二段階として、特定事業者に対する義務(中長期計画の作成や報告、物流統括管理者の選任など)が施行される予定です。

ポイント1:荷主・物流事業者に対する努力義務

まず、すべての荷主と物流事業者に対して、物流の効率化に取り組むことが「努力義務」として課せられます。具体的には、荷物の積み下ろしにおける荷待ちや荷役作業の時間を短縮することや、トラックの積載効率を向上させることなどが求められます。国はこれらの取り組みに関する判断基準を策定し、事業者が何をすべきかを具体的に示しています。

ポイント2:「特定事業者」の指定と義務化

今回の改正で最も大きな変更点の一つが、「特定事業者」制度の導入です。これは、年間の貨物輸送量が一定規模以上(年間9万トン以上が素案)の荷主および物流事業者を「特定事業者」として指定し、より強い義務を課すものです。特定事業者に指定されると、単なる努力義務ではなく、後述する中長期計画の作成や物流統括管理者の選任などが法的に義務付けられます。これにより、影響力の大きい大口の荷主や事業者に率先して物流改革を牽引してもらう狙いがあります。特定事業者の指定基準は、最終的に政省令で定められますが、荷主については年間輸送量3万トン以上の特定輸送体制を構築する者など、複数の基準が検討されています。自社が対象となる可能性がある場合は、経済産業省や国土交通省の最新情報を継続的に確認することが重要です。

ポイント3:違反した場合の規制的措置

努力義務や義務への取り組みが著しく不十分な事業者に対しては、国が指導・助言や調査を行います。特に、特定事業者が義務を怠った場合には、国が勧告や公表、さらには命令を下すことができるようになります。命令に違反した場合は罰則(100万円以下の罰金など)が科される可能性もあり、これまで以上に法令遵守の重要性が高まっています。

荷主・物流事業者が具体的に取り組むべきこと

2026年4月の義務化を見据え、荷主や物流事業者は具体的にどのようなアクションを起こせばよいのでしょうか。ここでは、特に「特定事業者」に指定された場合に義務付けられる4つの主要な取り組みについて解説します。

物流統括管理者(CLO)を選任する

特定事業者に指定された荷主は、「物流統括管理者(Chief Logistics Officer:CLO)」を選任する義務を負います。物流統括管理者は、役員クラスの人物が想定されており、自社の物流システム全体を統括し、効率化に向けた取り組みを経営的な視点から主導する役割を担います。サプライチェーン全体のパートナー企業と連携しながら、抜本的な業務改革を進めることが期待されます。

中長期的な計画を作成し報告する

特定事業者は、物流効率化に向けた目標や具体的な取り組み内容を盛り込んだ「中長期計画」を作成し、国に提出することが義務付けられます。さらに、計画の進捗状況についても定期的に国へ報告する必要があります。国は報告内容に基づき、取り組みが不十分と判断した場合には勧告や命令を行うことがあります。

荷待ち・荷役時間を短縮する

トラックドライバーの長時間労働の大きな原因とされているのが、荷物の積み下ろしのために発生する「荷待ち時間」や「荷役時間」です。今回の法改正では、これらの時間を削減することが重要な目標として掲げられています。具体的な取り組みとしては、以下のようなものが挙げられます。

取り組みの例 具体的な内容
予約システムの導入 トラックの到着時間を事前に予約し、計画的な入出庫管理を行う
荷役作業の効率化 パレットやフォークリフトを積極的に活用し、手作業による積み下ろしを減らす
検品作業の簡素化 事前出荷情報(ASN)の活用により、納品時の検品作業をスムーズにする

モーダルシフトなど輸送手段を効率化する

モーダルシフトとは、トラックによる輸送を、より環境負荷が少なく、一度に大量輸送が可能な鉄道や船舶の利用に転換することです。長距離輸送において特に有効な手段であり、ドライバー不足の解消とCO2排出削減の両方に貢献します。また、複数の荷主が協力して1台のトラックに荷物を共同で積載する「共同配送」も、積載効率を高める上で効果的な取り組みです。

複数荷主・事業者が連携した共同配送を推進する

物流の積載効率を抜本的に向上させるためには、個々の企業努力だけでなく、サプライチェーン全体での「共同化」が不可欠です。複数の荷主が連携して同一エリアへの配送を1台のトラックに集約する共同配送や、異なる荷主の貨物を物流事業者がまとめて運ぶ混載輸送などは、トラックの稼働率を高め、結果的にドライバーの労働時間短縮に貢献します。国もこうした共同の取り組みを支援する方針を示しており、業界や企業の垣根を超えた協力体制の構築が、効率化のカギとなります。

まとめ

物流効率化法の改正は、物流の2024年問題という大きな課題に対応し、日本の物流を未来へつなぐための重要な一歩です。荷主と物流事業者が連携し、サプライチェーン全体で生産性向上に取り組むことが求められています。自社が法律の対象となるかを確認し、計画的に準備を進めることが大切です。

請求書業務のようなバックオフィス業務の効率化も、間接的に物流効率化法への対策に貢献します。キヤノンが提供する、請求書電子配信サービス「bizform online 配信」を活用すれば、請求書を電子データで送受信でき、発行から受け取りまでのプロセスが大幅に効率化されます。こうしたバックオフィスの負担軽減や生産性向上は、物流業界の2024年問題への対応や働き方改革を後押しする有効な手段の一つです。

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