属人化とは?デメリットや防止方法をわかりやすく解説!
属人化とは、特定の個人に業務や知識が依存してしまう状態を指します。多くの企業が直面するこの課題を放置すれば、後々大きなトラブルにつながる恐れがあります。そのため、多くの企業が属人化の解消に取り組もうとしていますが、具体的な方法が分からないとお悩みの方も少なくないでしょう。そこで今回は属人化が起こる理由、属人化のメリットやデメリット、属人化を防ぐ方法、属人化の解消に役立つツールや技術などを詳しく紹介します。業務の属人化でお悩みの方はぜひ最後までお読みください。
目次
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属人化とは?
- 業務が属人化する理由
- 属人化が問題視される背景
- 属人化によるメリット
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属人化のデメリットやリスク
- 業務が停滞しやすく品質が安定しない
- 業務がブラックボックス化してしまう
- 組織のイノベーション能力が低下する
- 属人化してはいけない業務
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属人化を防ぎ業務の標準化を図る方法
- 担当者から意見を聞く
- 業務フローを分析&可視化する
- 優先順位を決めて業務改善を進め、マニュアルを作成する
- 標準化の効果を測定し、改善を繰り返す
- 属人化を解消するためのツールや技術とは?
- 属人化の解消に役立つ「アウトソーシング」
属人化とは?
属人化とは、特定の従業員が担当している業務や役割が、個人の経験やスキルに依存し、当人以外ではわからなくなる状態のことを指す言葉です。
属人化に気づかないままでいると、業務の再現性を損ない、製品の品質に差が生じたり、担当者が不在の際に業務に支障が出たりします。人材の流動性が高まっている昨今では、特定の個人に業務が依存している状態は極めて危険です。「担当者が突発的に休んだ場合や退職した場合などに初めて気付く」ということにならないよう注意しましょう。
業務が属人化する理由
業務が属人化する原因として特に多いのは、業務の専門性が高いことや情報共有不足にあります。
企業は生産性を高めるため、有能な社員に業務を集中させがちですが、高度なスキルや専門知識が求められる業務は、人材の採用や教育が難しく、組織の固定化を加速します。組織の固定化が進むと業務の練度ばかり増してしまい、新人が定着しにくくなり、業務の独自性が一層色濃くなるという悪循環に陥るのです。
マニュアルや手順書、社内ポータルサイトや情報共有ツールなどの活用がなく、組織内の情報共有がうまくできていない場合も属人化が進行しやすいです。さらに人手不足や組織内のコミュニケーション不足も情報共有不足の理由となり、属人化が進行しやすくなります。
また、営業職などがイメージしやすいと思いますが、個人のノルマや順位付けといった個人成果主義が根付いている現場も属人化は起きやすい傾向にあります。社内での競争意識が激しいと、情報やノウハウが個人の武器となり、情報共有の文化が根付きにくくなるためです。
属人化が問題視される背景
IT化の進展、グローバル化の進展、働き方改革の推進など、企業の社会環境は目まぐるしく変化しています。また近年ではAIやロボットなどの技術革新によりデジタル化が著しく、専門性の高いスキルや知識が必要になるケースが増えています。
個人の経験やスキルに依存すると、長期的に見て業務の質や生産性の低下を招く可能性が高いため、多くの企業が属人化を問題視するようになりました。
また、属人化が問題視されるようになった一因に、人材不足も関係しています。昨今は安定的な人材確保が容易ではないため、スキルの高い人材の獲得が難しくなっています。そこで、人材獲得の条件を少し緩めても、誰もが一定以上の品質で業務を進められるように組織を整えられれば、問題が起こりにくくなるのです。
さらに属人化を解消して長時間労働などの労務課題をなくし、働き方改革を推進できれば、企業のイメージアップにも繋がるため、属人化の解消に取り組む企業が増えています。
属人化によるメリット
ネガティヴな印象が強い属人化ですが、一方でメリットとなるケースもあります。
例えばクリエイターや職人など、センスや技術が問われる職業の場合、誰にも真似できない唯一無二の専門性が価値となり、特有の成果や魅力に繋がるものもあります。
また、同じ業務を続けていれば自分なりの効率化を見出せることもあるでしょう。一人に業務を任せれば専門性やスキルが向上する場合もあるため、そこから組織全体で情報共有できればさらに効率が上がる可能性もあります。
このように、一部の限られたケースで業務の属人化はメリットになり得ますが、基本的にはデメリットやリスクの方が大きく、避けるべき状況と言えるでしょう。
属人化のデメリットやリスク
業務の属人化には、以下のような多くのデメリットやリスクがあります。
- 業務が停滞しやすく品質が安定しない
- 業務がブラックボックス化してしまう
- 組織のイノベーション能力が低下する
それぞれのリスクについて順に紹介します。
業務が停滞しやすく品質が安定しない
業務が属人化すると、急な休みで担当者が不在の場合や担当者が多忙の際などに、誰かが代わりに対応できず、業務が停滞してしまいます。一つの停滞が他の業務に支障を来たす場合もあり、企業全体に悪循環となる恐れがあるでしょう。
また、マニュアルや手順書がなければ担当者以外では品質の管理やマネジメントができません。運よく他の人が対応できたとしても、製品の品質やサービスの水準にバラつきが生じることも起こり得るでしょう。
業務がブラックボックス化してしまう
ブラックボックス化とは、その業務の担当者しかプロセスを把握できておらず、それ以外の人が業務内容についてわからなくなる状態のことを指します。
ブラックボックス化を放置しておくと、緊急時や、ミスやトラブルが発生したときに、誰もフォローできません。そればかりか、担当者からの報告がなければトラブルが起きたことにも気付けないため、不正が起こりやすくなります。責任の所在がわからなくなり、対応が遅延するため、企業の信頼を失う原因にもなりかねません。
さらに、業務が属人化している状態のまま担当者が退職すると、業務が分かる者がいなくなり手詰まりになるリスクも伴います。
組織のイノベーション能力が低下する
属人化した組織では、業務における知識や情報などが個人の中に留まり、企業にとっての知的財産が残りません。
さらに長期間にわたって属人化が進むと、企業全体の成長や柔軟性が低下するリスクがあります。情報やノウハウが一部の人間に集中することで、他のメンバーがその情報にアクセスできなくなり、新しいアイディアが生まれるきっかけをなくしてしまうのです。
組織の柔軟性が低下すると、市場の変化や新しい技術の導入に対応できなくなり、組織のイノベーション能力を大きく低下させてしまいます。
属人化してはいけない業務
具体的にどのような業務が属人化してはいけないのでしょうか。以下の3つの業務は、特に属人化を避けるべきものとして挙げられます。
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バックオフィス業務
経理、人事、総務、法務などのバックオフィス業務は、企業活動を支える重要な役割を果たしています。契約書や請求書の処理、在庫管理、発注業務などが個人に依存すると、ノウハウが共有されないことで品質や効率性に影響が出たり、担当者の不在時に業務が停滞したりします。標準化された手順を構築し、誰でも同じ品質で業務を遂行できる体制を整えることが必要です。
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顧客案件対応
顧客からの問い合わせやプロジェクトの進行において、対応フローが属人化すると、チーム内での進捗管理や課題の把握が難しくなります。メンバーが状況を把握できないと、対応の品質低下や遅延につながります。案件の進行状況や対応方法が標準化されていれば、担当者が変わっても円滑な顧客対応を行うことができます。
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インシデント対応業務
トラブルやセキュリティインシデントなどの初動対応は、企業の信頼性を守るうえで非常に重要です。対応方法が属人化していると、被害の拡大や二次被害が発生するリスクが高まります。統一された対応プロセスを全社員が共有し、いざというときに迅速かつ的確な対応ができるよう備えることが大切です。
属人化を防ぎ業務の標準化を図る方法
属人化を防ぐには、組織内で情報共有を徹底し、業務の標準化を図ることが重要です。
標準化とは、業務の進め方や品質基準などを明確に定義し、誰でも同じ品質で実行できるようにすることです。業務の標準化を進める際の4つの手順について、詳しく解説します。
担当者から意見を聞く
担当者や関係部署などにヒアリングを行い、属人化している業務の作業量、時間、難度、必要なスキルなどを洗い出しましょう。なぜ属人化が起こったのか、どのような範囲にまで影響しているのかといった部分を明らかにすれば、今後の属人化防止にも繋がります。
業務フローを分析&可視化する
まずは業務の実態を把握することが肝心です。業務プロセスや業務手順、やり取りされる文書やデータなどを洗い出して可視化し、課題がどこにあるかを導き出しましょう。
優先順位を決めて業務改善を進め、マニュアルを作成する
業務実態を整理できたら、優先して改善すべきものを選定します。生産性が低下している原因、無理や無駄が多く発生している業務、品質や工数が不安定な業務は優先的に改善しましょう。
そして、緊急時に誰が見てもすぐに対応できるように、改善できた業務からマニュアルの作成を進めます。業務を改善する際は、業務の仕組みをシンプルにすると効果的です。業務工程が複雑だと、その業務を理解して実行できる人物が限られてしまうためです。
標準化の効果を測定し、改善を繰り返す
業務の標準化を実施した後は、その後の経過を常に見直し、改善を繰り返しましょう。定期的な確認や見直しを行い、必要に応じて最適化していくことが重要です。
組織内のコミュニケーション機会を増やすのも、属人化を防ぐのに有効です。チームやプロジェクトなどの単位で情報共有や報告・相談する機会を作り、意識的にコミュニケーションする機会を増やしましょう。
属人化を防ぐために情報共有を活発化する際には、ITツールなどの導入もおすすめです。ツールについてはこの後紹介するので参考にしてください。
属人化を解消するためのツールや技術とは?
属人化を解消するためのツールとして一般的なのが、マニュアル作成ツールやナレッジマネジメントツールです。
マニュアル作成ツールは、手順書や動画マニュアルなどを効率よく簡単に作成できるツールです。テンプレートが用意されているのでゼロから作成する手間がなく、品質も保たれます。
ナレッジマネジメントツールは、専門的な知識やノウハウを組織全体で共有し、業務や事業の円滑化をサポートするツールです。業務で行き詰まった際に、マニュアルをいち早く検索し、求めている情報に素早くアクセスできるようにしてくれます。そのほか、マニュアル作成機能や従業員同士のコミュニケーションを図る機能なども用意されています。
また、スケジュールや在庫を管理するツールを用いれば、従業員の工数管理や毎日の在庫管理が可視化され、属人化解消の手助けとなるはずです。
顧客からの問い合わせに1人で対応している場合は、チャットボットツールの導入も有効です。チャットボットツールを使用すれば、従業員の負担が減り、どのような問い合わせがあったかを可視化でき、情報共有しやすくなります。
属人化の解消に役立つ「アウトソーシング」
業務の標準化を図るためのサポートとしてアウトソーシングがあります。業務処理や事務作業、ITサポートなど、業務そのものを請け負って課題解決を支援するサービスもあります。例えばチャットボットと有人サポートを組み合わせることにより自己解決を促す「ヘルプデスクサービス」を利用すれば、属人化の解消に大いに役立つはずです。
自社に属人化の課題がある際は、解消手段の一つとして外部リソースに目を向けてみてはいかがでしょうか?BPOは属人化の解消のみならず、業務効率の改善や働き方改革の手助けなど、企業において大きなメリットがあるサービスなので、ぜひ検討していただければと思います。
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