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業務の可視化とは?メリットから方法まで一挙に解説!

  • 生産性向上
  • 働き方改革

業務効率化の推進を目指す企業において、業務の可視化は必須の取り組みです。
アウトソーシングの活用・システムの導入・ツールによる自動化など、企業における業務改善の取り組み方にはさまざまな方法があります。しかしどのような施策を行う場合であっても、まずは自社の業務全体を把握し、課題点や改善点を洗い出す業務可視化プロセスは欠かせません。
本コラムでは、業務効率化の方法を検討している企業担当者様向けに、業務可視化とは何か、そのメリットや手順、業務可視化を進める際の注意点などを解説します。

目次

  • 業務可視化の目的
  • 業務可視化のメリット

①業務の実態を数値化(計測)する
②業務の実態を数値化(計測)する
③問題点を抽出
④解決アクションを検討する

  • 時間(時間短縮)
  • コスト(費用低減)
  • 精度(品質向上)
  • 目的を明確にし、周囲への告知と理解を求める
  • 継続改善と定期報告

業務の可視化とは?

業務の可視化とは自社の業務がどのように行われているか、普段は目に見えない業務内容やプロセス全体について図やグラフ、フローチャートなどを用い、視覚的に理解できるようにすることです。
いつ・どこで・誰が・どのように業務を行っているのか、そのフローやプロセスを明らかにすることで、業務の全体像や業務同士の繋がりがはっきりと見えるようになります。
業務可視化においては、各業務プロセスの担当者はもちろん、担当者以外の従業員や経営層・管理者など誰もが業務の全体を把握できるようにすることが大切です。

業務可視化の目的・メリット

業務可視化はどのような目的で行われ、企業にどのようなメリットをもたらすのでしょうか?

業務可視化の目的

現状把握のため

業務可視化によって、現状の業務プロセスや業務そのものの内容が明確になります。どのような工程を経て進んでいるのか、各業務がどのように関係しているのかなど、業務の全体像を俯瞰の視点で捉えられるようになります。また、担当者以外の従業員も業務内容を知れるようになるため、業務内容やプロセスについて客観的な判断が下せるようになるでしょう。

システム化検討のため

業務のシステム化(自動化)を検討している企業においても、業務可視化は欠かせない取り組みです。「そもそも自社にどんな業務があるのか」「どんなプロセスを経て業務が進んでいるのか」を理解しておかなくては、どの業務にどんなシステムが適しているかを判断できません。使用するシステムを選定するためには、まず、自社の業務を把握しどの業務にどのツールを導入するかを整理・しておく必要があります。

内部統制強化のため

内部統制とは、企業が事業活動を効率的かつ健全に運営するための仕組みです。企業が不祥事・不適切な処理といったリスクやトラブルを避け、健全な事業運営を行うためには、経営陣や管理者が業務・組織の全体像を把握しておかなくてはいけません。組織が機能不全に陥らないよう、内部統制を強化するためにも業務可視化は重要な取り組みと言えます。

業務可視化のメリット

課題や改善点が把握できる

業務可視化は業務改革や業務改善の第一歩となるステップです。業務可視化を行うことで、業務プロセスや組織の全体像を客観的に捉えることができ、業務における現状の課題や問題点が見えやすくなるためです。具体的に業務のどの部分に問題があるのか、プロセスやフローごとに切り分けて確認できるため、効果的な業務の改善策の提案や経営戦略立案に役立つでしょう。

業務最適化につながる

業務プロセスを可視化することで、さらなる業務効率・生産性の向上が目指せます。工数・コスト・人員に無駄なものがないか、非効率な業務がないかなどを業務それぞれについて判断できるようになります。また、人手が足りておらずひっ迫している業務を洗い出して、人員配置の再考や業務工程の見直し、経営リソースの再配分をして従業員の業務負担を軽減するといった業務最適化策を打ち出すことも可能になるでしょう。

ミス軽減になる

業務を可視化しマニュアルに落とし込むことで、業務における認識のズレを解消でき、ミスや業務の差し戻しを最小限に抑えられるメリットもあります。担当者の他に業務の概要を知る従業員がいることで、担当者がミスをした場合にも気づくことができ、トラブルの防止・回避にも役立つでしょう。

管理状況が明確になる

業務可視化は業務管理においても重要な役割を果たします。業務を可視化することによって従業員一人ひとりの進捗状況が分かるため、タスクの偏りがないか、特定の従業員の負担が大きくなり過ぎていないかを管理者が把握し、業務量を調整することも可能になります。また、各人の業務が法やルールに則って適正に行われているか、健全に事業が運営されているかを常にチェックすることもできます。

情報共有を促す

業務可視化によって従業員同士で情報共有が進むと、業務の属人化を解消できます。担当者の退職時や欠勤時でも業務の引き継ぎがスムーズになるでしょう。また、担当者が不在の場合でも別の従業員が顧客対応できれば、業務の遅延や中断を防げます。また、これまで一人で担当していた業務についてさまざまな人が関わることでノウハウや作業内容によいアイディアが生まれるといったシナジー効果も期待できます。

改革改善への共通理解を醸成できる

業務を可視化し、組織や業務の全体像を共有しておくことで、社員一人ひとりが全体から見たときの自分の業務の重要性を意識できます。社員が同じ方向を向き、高い参加意識を持って課題やプロジェクトに取り組むことができるようになります。

業務可視化の手順

業務可視化はどのように進めればいいのでしょうか?4つのステップに分け具体的にご紹介します。

①業務の実態を数値化(計測)する

業務プロセスを可視化するとともに、そのそれぞれの業務の工数を算出します。あわせてメンバー属性情報などを含む運用体制についても可視化していきます。計測方法には、実際の現場でモニタリングする方法、社員にかかった時間を記入させるアンケート形式、社員が推測し記入する方法などがあります。テンプレートもいろいろ公開されていますので、自社の業務に合いそうなものを探してみるとよいでしょう。その他にも業務可視化ツールと呼ばれるものも存在しています。それらの活用によりより簡単に作業時間や進捗状況を把握することも可能です。

洗い出しポイント

②業務フローチャートを作成する

すでに課題がある業務が明確な場合、もしくは①を経て対象が絞り込めたという段階まできたら、その対象業務についてさらに掘り下げていきます。具体的には、業務フローチャートを作成し、各プロセスのステークホルダー、イン/アウトプットデータに関して明確にしていきます。業務実態の数値化と重なる部分もありますが、より詳細な業務フローチャートを作成し、どのフローにどのような課題があり、最適な解決アクションは何かを導き出していくためのもととなる作業です。

フローチャートの一例

③問題点を抽出

実測値、業務フローチャートをもとに「組織・人」「プロセス/業務手順」「システム」「オペレーションルール」「ロケーション」「過去インシデント」等の観点から、課題となる事項を抽出します。いろいろな業務の「どこに」「どのようなボトルネック」が、「どれくらいあるのか」を把握することで、取り組むべき優先順位が見えてきます。(何を基準に優先順位を決めるかは、各々の企業の理念や置かれている状況によって変わります。)

④解決アクションを検討する

解決策の検討時には、実効性も併せて検証することが重要です。現状に大きな変化を必要とするものほど難易度は高くなります。また予算や体制を考慮することが求められます。

業務可視化の効果測定

業務可視化の効果はどのような指標で評価すべきでしょうか?参考になる指標を3つ紹介します。

時間(時間短縮)

業務遂行に要する時間をどれほど短縮することができたかで、業務可視化の効果を測ることができます。業務可視化を行い効率化施策を実施した後は、残業時間なども含めて実際の業務遂行にかかった時間がどれだけ短縮できたか、業務効率化や生産性にどれほどの変化があったかを評価します。

コスト(費用低減)

業務にかかる人的・時間的・物的コストをどれだけ減らすことができたかで、業務可視化の効果を測ります。各プロセス・単位あたりの人的・時間的・物的コスト(担当者1人当たりの処理量、1工程にかかる処理時間、1案件の処理にかかる諸経費(印刷代・雑費代など))がどれだけかかっているのかを測定しておき、業務効率化施策の実行後に、それらについてどれだけコスト削減効果があったのかを確認します。

精度(品質向上)

完成物の品質をどれだけ高めることができたか、また、業務プロセスにおいてミスをどれだけ減らすことができたかで業務可視化の効果を測ります。業務可視化によって精度や品質がどれだけ向上したかは、ミスの報告回数・不良品の数・売上額・顧客満足度などで確認することができます。

業務可視化を進める際の注意点

目的を明確にし、周囲への告知と理解を求める

業務可視化を推進するにあたってはなぜ業務可視化を進めるのか、その目的と目指すべきゴールを周知し、社内で共有しておくことが大切です。なぜなら、業務可視化は各人の業務内容やプロセスを開示させることで「監視(管理)されている」と一部の社員の反発を招く恐れもあるためです。

従業員の協力が得られなくては、業務の実態を正確に把握・測定することはできません。業務可視化の推進にあたっては研修会を開き、導入の目的やメリットを従業員に丁寧に説明し、理解を求めましょう。
業務可視化は会社による業務の監視ではなく、「業務負担を軽減する」「生産性や効率が向上する」など社員にとってもメリットのある取り組みであると理解してもらうことが大切です。

継続改善と定期報告

業務可視化は長期的な取り組みです。期限を決めて定期的に効果を測定し、施策が具体的にどんな改善・成果につながったのかを社内で共有しましょう。
業務可視化は一度実施すれば終わる取り組みではありません。実施内容は状況に応じてアップデートを続け、常にPDCAサイクルを回し続けていきましょう。

アウトソーシングという選択肢

ここまで業務可視化のメリットから方法まで注意点交えご紹介しました。メリットは理解できたけれど、実際の業務の測定や定期的な効果測定などちょっと荷が重い作業になるなとお感じになった方も多いのではないでしょうか?
その解決策の1つとして、アウトソーシングがあります。

業務可視化におけるアウトソーシングの活用方法は大きく2つあります。

  • 業務可視化業務そのものを依頼する
  • 業務可視化後の改善アクションの選択肢として活用する

実際の業務量や業務の流れをフローチャートに書き起こすなどの可視化作業は時間と手間がかかる作業です。多くの企業の可視化を行ってきたベンダーであればそのノウハウを活かし、早期に最適解にたどり着くことを支援しくれることが期待できます。
また、本コラムでも業務可視化の手順の中の「解決アクションを検討する」においてもご紹介しました通り、可視化後にどう改善を図っていくかの一つの選択肢としてもアウトソーシングは有効です。目の前にある課題の改善はもちろん、継続的な改善を行ってくれることも期待できます。
業務改善を進めたいとお考えであれば、業務可視化そのものから業務の継続的な改善、運用までお任せできるアウトソーシングも視野に検討するのもおすすめです。

まとめ

業務効率化や生産性向上をミッションとして掲げている企業にとって、業務可視化はその第一歩となる取り組みです。業務可視化により自社の現状を把握することで、非効率な業務の発見やリソース不足の解消など具体的な課題・改善点を抽出できます。
また、ブラックボックス化している業務の全体を明らかにすることで業務が適正に処理されているか、健全な事業運営が行われているかなど、経営の透明性を高める効果も期待できるでしょう。
ただ、業務可視化の推進にあたっては従業員の理解を得て協力を求めることが大切です。
また、業務可視化は長期的な取り組みとなるため、定期的な効果測定とアップデートが必要であるということも担当者は承知しておきましょう。

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