防塵防水規格のIP66とは?屋外に防犯カメラを設置する際の注意点
豪雨や強風に晒される屋外に防犯カメラ(監視カメラ・ネットワークカメラ)を設置する場合、防塵・防水性能や耐衝撃性能が大切です。防犯カメラの仕様に記載されている「IP66」とは、IEC(国際電気標準会議)およびJIS(日本工業規格)で定められた電気機器内への異物の侵入に対する保護等級(JIS C0920)の1つのこと。IPの後に続く数字がそれぞれ「防塵」と「防滴」の性能を表しています。IP66は、強風による粉塵が内部に入らず、豪雨でも浸水の恐れがない防塵防水仕様を示します。
ここでは、防塵防水仕様の規格と防犯カメラを屋外に設置する場合の規格の見方を解説します。
IP66とは
「IP66」とは、IEC(国際電気標準会議)およびJIS(日本工業規格)で定められた電気機器内への異物の侵入に対する保護等級(JIS C0920)の1つのこと。IPはIngress Protection(侵入に対する保護)の略で、IPの後に続く数字がそれぞれ「防塵」と「防滴」の性能を表しています。IP66は、強風による粉塵が内部に入らず、豪雨でも浸水の恐れがない防塵防水仕様を示します。
IP66の実力は映像で見るとよくわかります。
防塵防水のIP規格
IEC(国際電気標準会議)およびJIS(日本工業規格)では、電気機器内への異物の侵入に対する保護の等級を「JIS C0920」で以下のように定めています。
第1特性数字は「外来固形物に対する保護等級」
第1特性数字は7段階で分類されています。数字が大きいほど防塵効果が高くなります。
第1特性数字 | 説明 |
---|---|
0 | 保護されていない |
1 | 直径50mmの固形物が内部に入らない |
2 | 直径12.5mmの固形物が内部に入らない |
3 | 直径2.5mmの固形物が内部に入らない |
4 | 直径1.0mmの固形物が内部に入らない |
5 | 防塵(若干の粉塵の侵入があっても所定の動作および安全性をを阻害しない) |
6 | 耐塵(粉塵が内部に入らない) |
第2特性数字は「水の侵入に対する保護等級」
第2記号は9段階で分類されています。数字が大きいほど防水効果が高くなります。
第2特性数字 | 種類 | 説明 |
---|---|---|
0 | - | 保護されていない |
1 | 防滴I | 垂直に滴下する水に対して保護されている |
2 | 防滴II | 15°以内で傾斜しても垂直に滴下する水に対して保護されている |
3 | 防雨 | 60°以内の散水に対して保護されている |
4 | 防まつ | あらゆる方向からの水の飛沫に対して保護されている |
5 | 防噴流 | あらゆる方向からの噴流に対して保護されている |
6 | 耐水 | あらゆる方向からの暴噴流に対して保護されている |
7 | 防浸 | 規定の圧力、時間で水中に沈めても影響がないように保護されている |
8 | 水中 | 製造者によって規定される条件に従って、潜水状態での使用に対して保護されている |
屋外や水中に設置されるカメラに必要な仕様は?「IP65」と「IP66」と「IP67」の違い
IP65/IP66/IP67は、第1特性数字が「6」のため、粉塵が内部に入らない防塵仕様ですが、防水仕様が異なります。
IP65の場合
多少の雨には耐えられますが、台風などの激しい雨の場合には浸水の恐れがあります。従って、防滴仕様と言えます。
IP66の場合
台風などの激しい雨でも浸水の恐れがない防水仕様です。
IP67の場合
一定時間、水中に沈めても浸水の恐れがないため、完全防水仕様と言えます。
屋外に防犯カメラを設置する際の注意点
上記の事からIP66は防犯カメラの内部に粉塵が入らず、台風や豪雨による影響を受けないという意味になります。防犯カメラを屋外に設置する際は、比較的高い位置への設置が多くなります。そのため、洪水などで浸水する可能性が少ないため、IP66で事足ります。
しかしながら、防犯カメラ本体は防塵防水仕様(IP66)に適合していても、外部機器と接続するケーブルの端部やオプションは防塵防水仕様ではないことがあります。
ケーブル接合部やオプション品は防塵防水仕様ではないことがある
少しでも水がかかる可能性のある場所に設置するときは、ケーブル接合部に防水テープ(同梱)を巻くなど、確実に防水処理を施す必要があります。また、設置用のオプション品は、防塵防水仕様ではありません。オプション品の内側にケーブル接合部が収まっても、オプション品に水がかかる場合は、接合部に防水テープ(同梱)を巻くなど、確実に防水処理を施す必要があります。
IP66は万能ではない。雨天時や降雨後の視認性や防汚性を確保するには?
防塵防水仕様のIP66規格も万能ではありません。例えば、雨天時や降雨時に映像が見えやすいかどうかは別問題です。一般的な防犯カメラでは、雨天時にレンズ前面部に水滴が付着し、その水滴に光が乱反射するため、視認性が低下します。一方、親水コーティングが施された防犯カメラでは、雨滴がレンズ前面部のコーティング面で均一な薄い膜となって広がるため、光の乱反射が抑えられ、雨天時や降雨後の視認性の低下を防ぎます。この問題を解決する方法の1つに「親水コーティング」という視認性を確保する技術があります。
「親水コーティング」という言葉は、車をお持ちの方は耳にする機会があるかもしれません。例えば、青空駐車や濃色車のお車におすすめのコーティングは親水タイプと言えます。
キヤノン独自の「親水コーティング」技術で、雨天時や降雨後でもクリアの映像を実現
キヤノン独自の「親水コーティング」は、雨滴がレンズ前面部のコーティング面で均一な薄い膜となって広がるため、光の乱反射が抑えられ、雨天時や降雨後の視認性の低下を防ぎます。さらに、親水コーティング面の雨水は、塵や埃など汚れの下ですみやかに薄く広がって、汚れを浮かします。浮いた汚れは、広がった雨滴と一緒に流れ落ちます。
つまり、視認性と防汚性を低下させないだけでなく、雨風などによる防犯カメラのメンテナンスを少なくすることができます。
まとめ
IP66および防塵防水の規格について紹介しました。防犯カメラを屋外に設置するときは、本体の防塵防水規格に注意しましょう。合わせて、降雨時の視認性、メンテナンスに関わる防汚性も合わせて考慮することをおすすめします。そして、本体以外のオプションやLANケーブルの保護をセットで検討する必要があります。
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