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2026年4月施行|物流効率化法改正で何が変わる?荷主・物流事業者が押さえるべきポイント

物流現場では、荷待ち時間の長時間化や積載率の低下が続き、人手不足が重なることで安定運営が難しくなっています。企業としては改善したいものの、どこから着手すべきか判断しづらい状況もあるでしょう。

さらに、2025年の改正で物流事業者・荷主双方に求められる取り組みが大きく変わり、対応の遅れがリスクにつながる場面も増えています。

本記事では、法改正の要点をつかみたい荷主や物流担当者に向けて、改正内容と実務での影響をわかりやすく解説します。

公開日:2026年2月27日

目次

物流効率化法(物効法)とは

物流効率化法(物効法)とは、物流の生産性向上を目的に、荷主・物流事業者が協力して業務改善に取り組むための枠組みを定めた法律です。わかりやすく説明すると、荷主と物流側の双方が「積載効率」「荷待ち」「荷役時間」などの改善に主体的に取り組む仕組みを整えるための法律といえます。

2025年の改正では、これまで努力義務であった取り組みが強化され、一部の事業者には義務として求められるようになりました。特定規模の荷主や物流事業者は計画作成や報告が必要となり、従来よりも継続的に改善が求められる点が大きな変更点です。

努力義務の対象となる荷主・物流事業者

努力義務の対象となる荷主・物流事業者は以下のとおりです。

努力義務の対象となる荷主・物流事業者
対象となる荷主・物流事業者 概要
第一種荷主・第二種荷主 第一種荷主:主に運送事業者などに運送を依頼する荷主。
第二種荷主:主に自家用車で運送を行う荷主。
連鎖化事業者 フランチャイズチェーン本部など、加盟店の物流を統括し、店舗運営に伴う調達・配送を最適化する立場の事業者。
貨物自動車運送事業者など トラック運送を担う主体で、車両運用・配送計画・ドライバー管理など物流実務の中心を担う事業者。
貨物自動車関連事業者 車両整備、物流機器提供、荷役支援など、物流プロセスに間接的に関与し効率化に寄与する事業者。

努力義務の対象は、発荷主・着荷主、フランチャイズ本部、運送事業者、倉庫事業者など、物流に関わる幅広い主体が含まれます。輸送量や事業規模に関係なく、多くの事業者が改善対象となる点が今回の改正の特徴です。

日々の物流業務に影響するため、現場レベルでの改善行動が求められます。

物流効率化法の取り組み内容

各主体における、努力義務の対象となる項目の違いは以下のとおりです。

各主体の努力義務と対象
●:対象/-:非対象
努力義務 各主体の努力義務対象
第一種荷主(主に発荷主) 第二種荷主(主に着荷主) 連鎖化事業者(フランチャイズチェーン本部) 貨物自動車運送事業者など 倉庫業者 それ以外
1.積載効率の向上
2.荷待ち時間の短縮
3.荷役など時間の短縮
4.実効性の確保

主体ごとに求められる改善内容は共通しているものの、発荷主は出荷計画の精度向上、着荷主は受け入れ体制の調整、運送事業者は車両運用の効率化など、改善ポイントが異なります。

つまり、同じ努力義務でも、物流のどの工程を担うかによって備えるべき取り組みが変わります。

積載効率の向上

積載効率を高める取り組みでは、車両に積める荷物量をいかに無駄なく活用するかが焦点になります。輸送の多くは、荷主ごとの出荷タイミングや梱包形態の違いが原因で空いたスペースが生じやすく、これが全体の生産性を押し下げてきました。

そのため、共同配送の活用や配送計画の再設計、パレット規格の揃え方を見直すなど、荷主と運送事業者が連携して積み方そのものを改善していくことが求められます。

とくに、出荷量が日々変動する現場では、情報共有のスピードが積載率を左右します。事前に予定を調整するだけでも、実際の積み込み効率は大きく変わります。

さらに、車両1台あたりの使用効率が向上すれば、運行回数の削減につながり、拘束時間や燃料消費の抑制も可能です。その結果、物流全体の負荷軽減に広く寄与する取り組みとなります。

荷待ち時間の短縮

荷待ち時間への対策は、物流現場の滞留を防ぐうえで不可欠です。ドライバーが到着しても受け入れ準備が整っていないケースは少なくなく、この時間が積み重なるほど、運行計画への影響は大きくなります。

改善を進めるうえでは、受付の手続き方法、バースの割り当て、作業側の進捗把握など複数の工程を同時に見直す必要があるでしょう。とくに効果が大きいのは、入庫や出庫の順番を事前に調整する仕組みで、時間帯ごとの混雑を分散できれば待機列が発生しにくくなります。

また、倉庫側が作業状況をリアルタイムに確認できれば、空きバースをそのまま放置することも避けられます。荷待ちの削減はドライバーの拘束削減だけでなく、輸送全体の流れを安定させる要素として重要です。

荷役など時間の短縮

荷役にかかる時間は、現場の作業環境や動線、設備の状態によって大きく左右されます。倉庫内の配置が複雑だったり、必要な道具が取りにくい位置に置かれていたりすると、作業の進みが鈍くなるのは避けられません。

こうした課題においては、作業スペースの配置換え、パレット化やカゴ車の活用、作業員ごとの役割分担の可視化など、細かな調整が必要になります。

とくに、積み込みと荷下ろしの双方で効率を揃えなければ、車両が滞留し、敷地外まで渋滞が広がる要因となり得ます。作業の標準化やラベル管理の統一など、準備段階の見直しは、効果が出やすい取り組みの一つです。

結果として、荷役時間を短縮できれば、運行サイクルに余裕が生まれ、ドライバーの拘束時間にも好影響を与えます。

実効性の確保

実効性を確保する取り組みは、単発の改善で終わらせず、継続的に良い状態を保つための仕組みづくりを指します。具体的には、改善の進捗を追跡する仕組みや、関係部署が情報を共有する場の整備が重要になります。

物流では、荷主側と運送側のどちらか一方が対応しても効果が限定的になるため、共同で成果を確認する体制が求められます。また、改善後のデータを定期的に見返すことで、新しい課題が浮かび上がり、次のアクションにつなげやすくなります。

小さな遅延が積み重なる構造を把握できれば、早期に対策へ移れる点も利点です。こうした循環が整うことで、物流の安定性が高まり、改善が途切れない仕組みが築かれていきます。

特定事業者に義務付けられる取り組み

特定事業者とは、取り扱う貨物量や車両台数が一定規模を超える事業者で、努力義務ではなく義務として取り組みが求められる対象です。

義務として取り組みが求められる特定事業者
特定第一種荷主 取扱貨物の重量:9万トン以上
特定第二種荷主 取扱貨物の重量:9万トン以上
特定連鎖化事業者 取扱貨物の重量:9万トン以上
特定貨物自動車運送事業者など 保有車両台数:150台以上
特定倉庫業者 貨物の保管量:70万トン以上

これらの事業者は物流全体に与える影響が大きいため、次の3つの改善を義務化することで、業界全体の効率化を促す狙いがあります。

中長期計画の作成

特定事業者に義務付けられる「中期計画」とは、物流の効率化や安定的な運営を目的として、一定期間(概ね3~5年程度)を対象に策定する計画を指します。この計画では、単年度の取り組みにとどまらず、中長期的な視点から物流体制の見直しや改善の方向性を示すことが求められます。

法令上は、現状の物流実態を把握したうえで、数値目標や実施方策を明確にし、その進捗や効果を継続的に検証・改善していくことが求められています。

中長期計画をつくる段階では、単なる改善項目の羅列ではなく、数年先を見据えた物流体制の組み直しが求められます。たとえば、車両の稼働状況や倉庫の使用率を長期的に追いかけることで、どの部分に負荷が集中しているのかが見え、設備更新や人員配置の方向性が定まってきます。

共同配送を徐々に広げる計画や、拠点の再配置を検討する場面もあり、現場の判断だけでは完結しない領域まで踏み込むことになります。こうした計画は一度作って終わりではなく、運用しながら見直しを重ねることが前提です。数値の推移を踏まえて実行段階で微調整しつつ、事業の成長や市場変化にも対応できる柔軟さが求められます。

最終的には、物流の安定と効率を両立させるための中核となる取り組みになります。

定期報告

特定事業者に義務付けられる「定期報告」とは、中期計画や各種改善施策の実施状況を一定の頻度で国に報告する制度を指します。定期報告は、単なる事務的な手続きではなく、「計画に基づく取り組みが適切に進められているか」や「実際にどのような成果や課題が生じているか」を客観的に把握するための仕組みとして位置付けられています。

数値データや実績を用いて現状を示すことが求められ、改善の進捗状況や未達成項目についても、合理的な説明を行うことが前提とされています。

定期報告の役割は、取り組みが計画通り進んでいるかを国へ示すだけではありません。改善の効果を客観的に確認し、次の施策を現実的なものにするための基礎資料にもなります。

積載率の変化や荷待ちの発生傾向、荷役時間の動きなど、日々の数字を整理していくことで、現場では気づきにくい傾向が見つかることがあります。報告を重ねるうち、改善が停滞している箇所も自然と浮かび上がり、優先順位の見直しが必要な場面も出てくるでしょう。

形式的な提出に終わらせず、自社の改善サイクルを磨く機会として扱うほど効果が高まります。報告内容が蓄積されれば、長期的な体制づくりや投資判断にも活用しやすくなり、組織としての改善力の底上げにつながっていきます。

物流統括管理者(CLO)の選任

物流統括管理者(CLO)は、社内に散在している物流関連業務を束ね、改善の方向性を整理する役割を担います。荷主対応、運送会社との調整、倉庫の人員計画など、部署をまたいで課題が生まれる領域を一元的に把握し、判断軸をそろえる点が重要です。

現場の作業を支える裏側では、データ管理や改善指標の設定も必須で、CLOが中心となることで意思決定が速くなります。

物流は部門ごとに見てしまうと部分最適に流れやすいため、全体像を踏まえて優先順位を調整する存在が求められてきました。CLOはその中核として、改善計画の策定から実行まで関わり、課題が生じた際は迅速に軌道修正を図ります。

特定事業者への行政処分と罰則

特定事業者に求められる改善が実施されない場合、国から段階的な対応が行われます。まずは勧告によって改善を促し、それでも取り組みが進まないと判断されたときには企業名が公表される可能性があります。公表に至ると、取引先や顧客との関係に影響する場合もあり、社会的信用の低下という大きなリスクを負うことになります。

命令が発出され、なお従わない場合は罰則が科される仕組みであり、義務として求められている以上、一定の強制力が伴います。それほどに改善が必要とされる理由は、対象企業の規模が大きく、物流全体に与える影響が無視できないためです。

業界全体の効率化を進めるうえで、特定事業者が取り組みに後れを取ることは全体の流れを滞らせる要因になるため、厳格な対応が制度に組み込まれています。

物流効率化法による認定の主なメリット

物流効率化法で認定を受けると、次の二つの支援措置が適用されます。

  • 営業倉庫を対象とした税制特例
  • 市街化調整区域での開発許可の配慮

これらの制度は、倉庫設備の導入を後押ししつつ、物流拠点の立地確保にも道を開きます。設備投資が重くなりがちな倉庫事業では、負担を軽くしながら効率化を進められる点が大きな利点になります。

また、新しい拠点を設けたい企業にとっては、開発許可の柔軟化が事業計画の自由度を高める要素となり、長期的な物流網の整備を前倒しできる可能性もあるでしょう。

営業倉庫を対象とした税制特例

営業倉庫に適用される税制特例は、効率化に向けて設備を更新する事業者を後押しする目的で設けられています。倉庫は労働集約度が高く、設備の古さが作業効率に直結するため、更新タイミングが遅れるほど現場の負担が増えやすい構造があります。

特例では、固定資産税の軽減などの措置が講じられ、対象となる設備には自動化機器や保管効率を高める装置、作業を支援する付帯設備が含まれます。一定の基準を満たした倉庫であることが条件ですが、認定を受ければ更新計画を立てやすくなり、投資判断のハードルが下がります。

設備の刷新が進めば、作業時間の安定化につながり、運送側の滞留を減らす効果も期待できます。これにより、倉庫単体にとどまらず、物流全体の流れがより滑らかになります。さらに、こうした設備投資は、長期的なコスト削減やサービス品質の向上にも直結し、企業競争力を高める重要な要素となります。

市街化調整区域での開発許可の配慮

市街化調整区域での開発許可における配慮は、物流施設の立地課題を和らげるための制度として位置付けられています。物流施設の多くは広い敷地を必要とし、交通アクセスの確保も欠かせません。しかし、都市近郊では適地が見つかりにくく、調整区域に建設を検討しても許可基準を満たせず断念するケースがありました。

認定を受けた事業者は、効率化に資する施設としての必要性が認められ、判断が柔軟になる可能性があります。条件としては、物流拠点としての合理性や周辺環境への配慮が求められ、地域に過度な負荷を与えない計画であるかが重要なポイントになります。

許可が下りやすくなることで、企業は長期的な物流戦略に沿った拠点配置を進めやすくなり、輸送距離の無駄を減らす動きにもつながります。規模の大きい倉庫ほど立地制約の影響を受けやすいため、事業機会の広がりという意味でも効果の大きい制度です。

物流効率化を支える映像ソリューションの活用

物流効率化を進める具体策としては、映像ソリューションによる現場の可視化が有効です。キヤノンマーケティングジャパンでは、課題を段階的に明確化するアプローチを示しています。

ステップ 内容 具体項目
ステップ1:現状の可視化 構内で発生している作業・滞留の見える化
  • 構内の滞在時間
  • 荷役作業時間
  • 荷待ち時間
ステップ2:原因特定 現状データから問題の原因を分析
  • 受付の混雑
  • 荷待ち・荷役時間の長時間化
ステップ3:改善 原因に応じた改善策の実行
  • 受付業務の効率化
  • 荷待ち時間の長時間化

物流効率化を実現するうえで、現場の状況を客観的に把握できる仕組みは欠かせません。映像ソリューションは、倉庫やバースの稼働状況、作業の進み具合、滞留の発生地点などを把握するための有効な手段として活用されています。

映像により現場の状態が把握できれば、積載効率や荷待ち削減に直結する改善が進むでしょう。次項では、これらを実現するサービスを紹介します。

倉庫やバースの可視化で積載効率を向上

倉庫やバースの状況を映像で把握できれば、積載効率向上のために必要な判断が格段に取りやすくなります。また、トラックの到着順や荷下ろしの進み具合、バースの空き状況などがリアルタイムで確認すれば、作業配置の切り替えが素早く行えます。

『トラックバース映像管理ソリューション』は、物流倉庫における車両入退管理や受付業務、荷待ち・荷役作業を一元管理できるサービスです。

荷主からの出荷タイミングが重なる時間帯でも、可視化によってバース割り当ての最適化が進み、積み込み作業を滑らかに進行できます。結果として、車両1台の活用度が高まり、積載効率の改善につながります。

荷待ち時間の短縮と安全運行を支援

荷待ちの削減と安全運行を両立させるには、受付業務の効率化とドライバーの状態把握が同時に求められます。

業務前自動点呼システムは、点呼やアルコールチェックを映像とクラウドで行い、人の判断だけに依存しない仕組みを整えるためのものです。

管理者が常に同じ品質で確認できるため、出発準備が滞りにくく、運行開始までの流れが整います。また、点呼にかかる時間が一定化するため、到着からの待機が無駄に増えにくくなり、ドライバーの拘束時間も抑えやすくなるでしょう。

安全確認が確実に行われることで、運行中のリスクが減り、全体の計画精度も高まります。荷待ち時間の短縮が効率化の中心にあるため、この取り組みは業務品質と安全性の双方を支える役割を持ちます。

倉庫全体を遠隔監視できる物流向け映像ソリューション

倉庫全体を遠隔で監視できる仕組みは、複数拠点を運営する企業にとって特に有用です。施設ごとの稼働状況を本社や管理センターからまとめて確認できれば、現場で発生している遅延や滞留に早い段階で気づけるためです。

物流向け 映像ソリューションでは、倉庫内外のカメラ映像を統合し、作業の進み具合を俯瞰できるため、管理者と現場の情報差が小さくなります。これにより、改善策の判断や要員配置の調整が迅速に行え、全体の流れが乱れにくくなります。

また、複数拠点を横並びで比較できるため、どの拠点で課題が顕著かを把握しやすく、改善の優先順位も決めやすくなるでしょう。こうした可視化は、物流網全体の効率を高めるうえで大きな効果を発揮します。

まとめ

物流効率化法の改正により、荷主・物流事業者には従来以上の改善が求められています。努力義務にとどまらず、一部では義務化された取り組みもあり、計画的な改善体制の構築が不可欠です。

映像ソリューションの活用により、積載効率の向上や荷待ち時間の削減が容易になり、現場改善はさらに加速します。制度理解と現場対策を両立させることで、安定した物流運営と持続可能なサプライチェーンへの道が開けるでしょう。

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