カスハラ対策の施策例!法改正で義務化されるカスタマーハラスメント対策とは
カスタマーハラスメント(以下「カスハラ」)は近年増加傾向にあり、企業が従業員を保護するために対策を講ずる重要性が高まっています。
東京都では2024年10月に全国初のカスハラ防止条例が成立し、企業に対する対策が義務化されているなど、単なるハラスメントの一種を超え、行政の動きも伴う社会問題の一つとなっています。
企業にとって急務となるカスハラ対策について、本記事では、カスハラの定義から具体的な内容、カスハラ対策の具体例やポイント、さらには映像と音声で従業員を守る方法まで解説します。
公開日:2025年9月5日
更新日:2026年3月30日
目次
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カスハラ対策とは?
- カスハラ(カスタマーハラスメント)とは何か?意味や定義を解説
- カスハラ対策(カスタマーハラスメント対策)とは?
- カスハラ対策の目的
- 顧客クレーム・苦情と顧客からのハラスメントとの違い
- 法改正によるカスハラ対策の義務化について
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カスハラの具体例
- 精神的な攻撃
- 物理的な攻撃
- 不当な要求
- プライバシーの侵害
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従業員を守るためのカスハラ対策
- カスハラ対策への基本方針策定
- カスハラ発生時の対策チーム・対策体制を整える
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カスハラを受けたときの具体的な対応フロー
- カスハラを受けたときの対応例
- 映像と音声で「従業員」を守るカスハラ対策カメラ
カスハラ対策とは?
カスハラ(カスタマーハラスメント)とは何か?意味や定義を解説
カスハラとは、顧客からの過度な暴言や理不尽な言動などによって、従業員が精神的・身体的に苦痛を受ける行為です。従来、迷惑客やクレーマーといった“商品やサービスに対して過度に不満を訴える人”は存在しますが、それによるハラスメント、つまり相手の人格や尊厳を侵害し、苦痛や不快感を与える行為がカスハラに該当します。
一方でサービスや製品の改善を求める正当な「お客さまの声」もあるため、すべての「クレーム」がカスハラとはならず、あくまで「過剰な要求」や「理不尽な言動を何度も繰り返す」といった、行き過ぎた行為がそれにあたります。
カスハラ対策(カスタマーハラスメント対策)とは?
カスハラ対策とは、企業や組織がカスハラから従業員を守り、適切に対応するための仕組みや取り組みを指します。昨今のSNSの普及によって、顧客の暴言や嫌がらせ行為が個人でも簡単に拡散・共有できるようになった背景もあり、企業だけではなく社会全体で「顧客からのハラスメント行為」を明確に捉える必要性が高まっているのです。
実際、厚生労働省の『カスタマーハラスメント対策 企業マニュアル』に記載の調査によれば、パワハラやセクハラに次いでカスハラの被害件数が多くなっています。
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図1:過去3年間のハラスメント相談件数の傾向(ハラスメントの種類別)

「パワハラ」や「セクハラ」は、社会的な問題として重要視されている一方で、「カスハラ」の対策が遅れているのは、顧客からの要求が妥当かどうかの線引きが難しいことや、まだまだ顧客至上主義が根づいていることが理由として大きいでしょう。
カスハラ対策の目的
カスハラ対策の大きな目的は次の3つです。
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従業員の安全と健康を守るため
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顧客満足度を高めるため
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企業の生産性を安定させるため
カスハラ対策は、従業員が安心して働ける環境を整えることで、心身の負担を軽減しモチベーションを維持することを目的としています。カスハラが横行すれば、従業員の離職率は高まり組織運営も不安定になるなどの可能性もあるため、まず第一に「従業員の安全」が重要となります。
さらに、カスハラ対策の明確な対応方針やマニュアルが整備されれば、「一部の過度なクレーム対応にかかりきりになり、他の顧客への対応が手薄になる」といったサービス全体の品質低下を防ぎやすくなります。結果として、顧客満足度の向上を図ることにもなるでしょう。
カスハラによる業務上の支障、従業員の離職による採用コストの発生、ブランドイメージの低下などから企業を守るためには具体的な対策が必要になるのです。
顧客クレーム・苦情と顧客からのハラスメントとの違い
顧客からのクレームや苦情と、カスハラの違いをわかりやすくまとめると以下のようになります。
| 項目 | 顧客クレーム・苦情 | カスタマーハラスメント(カスハラ) |
|---|---|---|
| 顧客の目的 | 商品やサービスの改善を図り、正当な対応や補償を受けること | 従業員を屈服させ、不当な要求を飲ませることで「勝ち」を得ること |
| 顧客の感情 | 不満や失望感を解消したいという建設的な怒り・落胆 | 怒りや敵意、見下し・侮蔑の感情が強く、相手を精神的に追い詰めたい |
| 具体例 | 「届いた商品に傷があったので交換してください」 | 「そんなレベルの商品でよく商売できるね?今すぐ無料にしろ!」 |
顧客クレームや苦情は、商品やサービスに対する不満を企業側に伝え、品質の改善や対応策の提示を求める正当な「顧客からのフィードバック」です。たとえば「届いた商品にキズがあったので交換してほしい」や「注文と違うメニューが届いたので確認してほしい」といった具体的な要求があります。
一方でカスハラは、従業員を精神的・身体的に苦しめることが目的になっており、「問題を解決したい」という思いは後回しになっています。商品やサービスの瑕疵を超えていることを理解していながら、従業員の人格を否定する暴言を浴びせたり、根拠なく執拗に怒鳴りつづけたりする行為が典型です。
改善を期待するというよりも、相手を屈服させることが狙いとなっており、企業としては単なるクレームとは区別して取り扱う必要があります。
法改正によるカスハラ対策の義務化について
昨今のカスハラの社会問題化を受け、2024年10月には東京都で全国初となるカスハラ防止条例が成立、さらに2025年の6月には、企業によるカスハラ対策への取り組みが義務化される「労働施策総合推進法」の改正が可決されました。※
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厚生労働省 令和7年労働施策総合推進法等の一部改正について
改正法では、カスハラ対策がハラスメント防止のための雇用管理上の措置義務とされ、今後、企業などが措置を講ずるに当たっての指針を国が示し、以下のような内容が示される予定です。
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事業主の方針の明確化およびその周知・啓発
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従業員の相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備と周知
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発生後の迅速かつ適切な対応・抑止のための措置
措置を講じていない事業主に対しては、都道府県労働局から指導や勧告などが行われるため、今後、カスハラの防止策・対応策を講じることは企業など運営上での重要度がさらに増すことが見込まれます。
カスハラの具体例
では、具体的にどのような行為がカスハラにあたるのか、主な例は次のとおりです。
カスタマーハラスメントに該当する可能性がある行為の例
- 問い合わせ窓口への度重なる電話などでの継続的・執拗な謝罪の要求
- 長時間の拘束、居座りなどの拘束的な行動
- 傷害、恫喝、威嚇、罵声、暴言などの身体的、精神的攻撃
- 従業員への性的言動や差別的言動
- 土下座の要求
- 言いがかりによる金銭の要求
- 契約やサービス内容を超えた過剰な要求
- 合理的理由のない謝罪などの要求
- 会社窓口への事実無根の脅迫
- 事業所への不法侵入
- SNSでの従業員の個人情報の公開や誹謗中傷 など
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上記は例示であり、これらの行為に限られるものではありません
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商品に小さなキズを見つけると何度もコールセンターに電話をかけて「土下座しろ」と言い張ったり、店舗で長時間居座って店員に謝罪を要求したり、SNSで従業員の個人情報を拡散して脅迫めいた書き込みを行ったり。もはや「嫌がらせ」が目的になり変わっている“行き過ぎた行為”がカスハラです。
一般的なクレームや苦情は、サービスに対する要望が改善されなければそれまでです。従業員から謝罪を受けたとしても問題が解決するわけではないため、それ以上の余計な追及はしません。
対してカスハラは、「要求が通らなかった」ことに感情を爆発させることから、相手を屈服させることで「自分が気持ち的に満足する」ために行われます。
このようなカスハラの実際の言動を大きく四つに分けると、以下のようになります。
精神的な攻撃
カスハラにおける精神攻撃とは、従業員に対して言葉や態度で心理的な圧力をかけ、安心して働けない状況をつくり出す行為です。
従業員に対して「頭が悪い」や「対応のレベルが低すぎる」といった人格否定や、「女は○○○○だから」や「男だから○○○○で」のようなサービスや製品とは関係のない性差別的な言葉で罵ります。
従業員に不快な思いをさせることが目的のため、一方的に詰めて謝罪させることで満足する傾向があります。こういった精神攻撃は従業員のメンタルヘルスに直結する深刻なリスク要因となります。
物理的な攻撃
カスハラによる物理的な攻撃とは、言葉だけでなく、直接的に従業員の身体や周囲に危害を加えようとする行為を指します。顧客が従業員をたたく、押す、殴る、蹴るなどの暴行を加えるケースが多い他、店内の備品や物品を破損させて怯えさせるといった行為も該当します。
従業員の腕や服をつかんで動きを制限したり、「ここから動くな」と言って身体を押さえつけたりする行為も見られます。接触はせずとも、店内で大声で叫んだりすることも、従業員だけではなく他の顧客にも恐怖を与えることになるため直接的なハラスメントになるでしょう。
不当な要求
不当な要求とは、本来の契約やサービス内容の範囲を超えて「追加の補償」や「特別扱い」を一方的に求める行為です。根拠がないにもかかわらず、その顧客自身にとって「都合のよい」状態でないことに不満を訴えるものです。
正常に動作する製品にもかかわらず、顧客の望むものではなかったことで「代替品を送れ」や「できるようにしろ」などと言い掛かりをつけます。製品の改善や、もっと良くするためのフィードバックの内容も含まれますが、その域を超えて「自分の思い通りに企業を動かしたい」という支配欲や優越感を得たいが勝ってしまっている状態が多いでしょう。
企業側に責任がないにもかかわらず、それを何度説明しても聞き入れず、不当に謝罪を要求するケースも少なくありません。
プライバシーの侵害
カスハラにおけるプライバシーの侵害とは、顧客が従業員の個人情報や私生活に関わる情報を無断で収集・公開し、従業員の安全・安心を脅かす行為です。
たとえば、店名やコールセンター名を手がかりに、従業員の氏名、写真、SNSアカウント、住所などを調べて特定し、インターネット上にばらまき誹謗中傷するといった具合です。
店舗の場合は、従業員の姿を無断で撮影し、動画共有サイトやSNSにアップして悪意あるコメントを付けるケースもあるなど、非常に悪質で危険な行為になります。
従業員を守るためのカスハラ対策
先述のとおり、カスハラ対策はハラスメント防止のための雇用管理上の措置義務とされ、ますます重要性は増していくことが予想されます。その中で企業には、特に働く従業員を守るための基本方針や体制作りなどが必要となってきます。
カスハラ対策への基本方針策定
事業主はカスハラ対策への取り組み姿勢を明確に示す必要があります。
職場においてカスハラを防ぐ・なくす旨をトップ自ら明確に発信することが重要です。
企業として基本方針や姿勢を明確にすることにより
- 企業が従業員を守り、尊重しながら業務を進めるという安心感を育む
- 実際にトラブルが発生した際にも、当事者や周囲の関係者も事案に対し発言がしやすくなり、その結果トラブルの再発防止へもつながる
といった効果があるでしょう。
基本方針には
- カスハラの定義
- カスハラが自社にとって重要な問題で有ること
- カスハラを放置しない、組織として毅然とした対応をするという姿勢
- 従業員の人権尊重、カスハラから守るという姿勢
などが含められる要素として挙げられるでしょう。
カスハラ発生時の対策チーム・対策体制を整える
実際にカスハラが起こったときに備え、従業員が気軽に相談できる担当者や窓口を設置し、広く周知することが有効です。相談対応者の役割として、相談の受付(一次対応)や、発生した事実の確認、関係部署への情報共有などの役割を担います。特に重要となる事実確認については、相談者および他の従業員に状況を確認することはもちろん、録画や録音といった客観的な証拠を残すことができる環境を構築し、それらを確認することが有効です。
また日頃から相談担当者への研修などを行うことで、相談担当者が社内の基準や対応手順を理解することも非常に重要です。実際に発生した場合に適切に「カスハラかどうかの判断」や「それに応じた顧客対応」を行う必要性があるためです。
- 従業員が気軽に相談できる担当者、窓口を設置
- 相談担当者への研修などを通じた教育
- 録画や録音といった客観的な証拠を残すことができる環境整備
これらを、社内周知とともに進めることが有効でしょう。
カスハラを受けたときの具体的な対応フロー
カスハラを従業員が受けた際、慌てず適切な対応が取れるように、対応方法を決めておくことも必要となるでしょう。各社の業務内容、業務形態、対応体制・方針などの状況に合わせてあらかじめ対応方法例を準備しておくことが重要になります。あらかじめ想定されるパターンと対応例をまとめることや、カスハラに発展させないためにも「現場でのクレーム初期対応」方法も合わせて取り決め、周知することなどが有効です。
カスハラを受けたときの対応例
安全確保・複数名対応・状況把握
実際にカスハラが疑われる場合には、
- 対応記録・時間の計測など検証可能な証拠を残すこと
- 単独での対応をせず複数名で対応すること
- 定められたマニュアルや連絡フローに従い対応・連携すること
などを行うことで、事態の抑止や沈静化、適切な処理へ寄与するでしょう。
対応継続の可否を判断
次に下記に該当する場合は、対応を打ち切ることも検討しましょう。
- 金銭や土下座など、法的義務のない要求
- 暴言・人格否定的発言が連続する
- 30分以上の拘束
- 「家に行く」といった脅迫
上司・管理部門への報告
上司や、会社にて相談窓口がある場合にはできるだけ迅速に報告しましょう。
その際に録音や防犯カメラの映像、など客観的な証拠を同時に確認することが、正確な実態把握に有効です。
事実記録の作成
後の法的対応や再発防止のために、記録を残すことが重要です。
録音や防犯カメラの映像も参照しながら
- 発生日時・場所
- 顧客情報(わかる範囲)
- 発言内容(暴言は要約せず原文で)
- 要求内容
- 対応した従業員の状態
などを記録として残します。
再発防止・法的対応
再発防止策として、社内研修の強化・内容のブラッシュアップ、対応マニュアルの見直しなどの社内推進が挙げられます。事実確認が難しい事案があった際には、今一度防犯カメラの導入や従業員へのウエアラブルカメラの装着なども検討が有効です。悪質な脅迫や、器物損壊などがあった場合には警察や弁護士への連携も検討の対象になるでしょう。
映像と音声で「従業員」を守るカスハラ対策カメラ
ここまでご紹介してきたように、カスハラ対策を講じることは、「企業」にとっても、そこで働く「従業員」にとっても、そして「他のお客さま」にとっても、安心安全な環境を生み出すことに繋がります。
そしてカスハラ対策においては、受けた言動がカスハラに該当するかの判断が必要になるため、しっかりと記録をし、証拠と示せることが重要です。そのためにも映像・音声を使った対策を検討することは、どの企業にとっても重要度が高いと考えられます。
下記資料では、映像と音声で「従業員」を守るカスハラ対策カメラとして、簡単に設置でき、事実関係を正確に把握できるカメラの概要や価格、機能、設置方法などをわかりやすくまとめています。ご参照頂き、より強固なカスハラ対策を講じていただく一助になりましたら幸いです。
現場の映像・音声取得に最適なカスハラ対策カメラ
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法改正で義務化されるカスハラ対策で活用できるキヤノンのおすすめカスハラ対策カメラをご紹介している資料です。簡単に設置でき、事実関係を正確に把握できるカメラの概要や価格、機能、設置方法などをわかりやすくまとめています。
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