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建設・建築業の請求書の書き方とポイント。電子化で業務効率化する方法とは?

  • コスト削減
  • 生産性向上
  • 働き方改革

公開日:2025年6月03日

目次

少子高齢化に伴う労働人口の減少は、建設・建築業界においても大きな課題となっています。特に経理部門では、人手不足に加え、煩雑な業務フローが効率化の妨げとなっているケースも少なくありません。こうした状況の中、注目されているのが請求書の電子化です。紙でのやり取りを減らし、業務スピードを高めることで、コスト削減と人的リソースの最適化が期待されます。本コラムでは、建設・建築業における請求書電子化のメリットや、具体的な導入ステップについて解説します。

建設・建築業の請求書を作成する際のポイント・注意点

建設・建築業における請求書には、法的に決まったフォーマットはありません。しかし、正確な取引のために記載すべき項目や注意点があります。ここでは、建設・建築業で請求書を作成する際に押さえておきたいポイントと注意点を解説します。

各項目を漏らさず記載する

建設・建築業の請求書では、記載項目の漏れがトラブルや支払い遅延につながることもあるため、特に注意が必要です。下記のような、工事や資材に関する必要項目は必ず明確に記載しましょう。

記載項目
  • 宛名
  • 発行者名
  • 発行日
  • 請求書番号
  • 品目
  • 単価
  • 数量
  • 金額
  • 消費税額

また、案件ごとに工事内容が異なるため「何に対しての請求か」がひと目で分かるように工事名や工事場所も記載しておくとスムーズです。特に元請・下請間のやり取りが多い建設・建築業では、現場担当と経理担当が異なるケースも多いため、書類だけで内容が把握できる請求書づくりが求められます。

適格請求書(インボイス)への対応

2023年10月よりスタートしたインボイス制度により、建設・建築業でも適格請求書(インボイス)への対応が求められるようになりました。課税事業者間の取引では「適格請求書発行事業者の登録番号」の記載が必須です。また、税率ごとの消費税額や、税込金額の合計なども細かく記載する必要があります。これらの記載に誤りがあると、発注者側で仕入税額控除を受けられなくなる可能性があるため注意が必要です。電子化された請求書発行システムを活用することで、インボイス対応のミスも防ぎやすくなります。

2024年問題についての考慮

2024年4月から、働き方改革関連法により建設業にも時間外労働の上限規制が適用されました(原則として月45時間・年360時間)。このような制度変更により発生する課題は「2024年問題」と呼ばれ、現場作業だけでなく、事務業務にも影響を及ぼしています。特に、労働時間の適正管理や人件費の見直しが求められる中で、請求書における労務費の計上には一層の注意が必要です。現場ごとの作業時間を正確に反映し、過剰請求・過小請求を防ぐためにも、明確な内訳の記載が重要となります。

建設・建築業で書類の電子化が求められている理由

建設・建築業界では、請求書などの書類を紙でやり取りするケースが今も多く残っています。しかし、社会全体のデジタル化の流れや業界特有の課題などにより、書類の電子化は急務となりつつあります。

建設・建築業界は、請求書や納品書、見積書、注文書、契約書など、工事ごとに必要となる帳票が非常に多く発生する業界です。さらに、関係業者の数も多岐にわたるため、「紙でのやり取りが通例となっている」「ファイルキャビネットが書類でいっぱい」という状況が多くの現場で見られます。このような紙中心の体制で、書類の紛失リスクや作業の非効率といった問題が常態化してしまうと、業務効率を損ないかねません。

ここでは、なぜ書類の電子化が求められているのか、その背景を詳しく見ていきましょう。

国によるペーパーレス化・電子化の推進

近年は環境保護等の観点から、国を挙げてペーパーレス化・電子化の推進が行われています。特に2023年10月に施行されたインボイス制度(適格請求書等保存方式)では、請求書の保存・管理に厳密な対応が求められるようになりました。紙や手作業による処理では対応しきれないケースも増えており、請求書の電子化に踏み切る企業が増えています。

2024年問題による時間外労働規制への対応

先にも説明したように、建設業界の大きな課題として挙げられるのが「2024年問題」です。「2024年問題」とは、働き方改革関連法により時間外労働の上限が設けられたことによって生じる、さまざまな業務への影響を指します。現場作業はもちろん、事務作業においても効率化が強く求められ、特に請求書処理などのバックオフィス業務の効率化は急務となっています。

建設・建築業における請求書の電子化のメリット

現場ごとに異なる関係者・取引内容を抱える建設・建築業界では、請求書の管理業務が煩雑かつ膨大になりがちです。こうした業界特有の課題に対して、請求書の電子化は負担軽減・コスト削減・ガバナンス強化など多くのメリットをもたらします。ここでは、電子化の導入によって得られる具体的な効果をご紹介します。

コスト削減

従来の紙の請求書は、印刷費や発送にかかる封筒代、切手代などの直接コストに加え、保管スペースや管理コストといった間接コストも発生していました。請求書を電子化することで、これらのコストを大幅削減できます。たとえば、年間3,000通の請求書を郵送費110円で郵送していた場合、744万円かかっていたコストが、電子化後は221万円にまで抑えられるという試算もあります。

  • 試算のため、導入効果は実際とは異なる場合があります。
【110円/通の場合】郵送費・人件費・印刷費で744万円/年。【bizform online 配信 ご利用の場合】人件費とシステム利用料で221万円/年、年間削減額523万円。
  • 月間発行通数3,000通の場合の導入効果(キヤノンMJ調べ)

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業務負担軽減

電子化によって請求書の作成から送付、保管までをオンライン上で完結できるようになれば、紙での記入ミスや手作業での転記ミスが大幅に減ります。さらに、検索や再発行もスムーズに行えるため、業務全体の効率化が期待できるでしょう。とくに請求業務が集中する月末月初には、残業時間の削減にもつながります。担当者の作業負担が減れば、人的リソースをより付加価値の高い業務に割くことが可能です。

ガバナンス強化と法令対応のしやすさ

インボイス制度や電子帳簿保存法の対応において、紙による運用では保存や記録の人的ミスが起きやすく、法令遵守にかかる負担やリスクが大きいです。電子請求書であれば、必要な情報をあらかじめテンプレート化しておくことができ、記載漏れを防止できます。加えて、電子帳簿保存法で求められる「真実性・可視性・検索性」の要件も満たしやすく、監査対応や税務調査にも強くなるという副次的な効果も得られます。

情報共有がスムーズに

現場担当者と経理部門が離れた拠点にいる場合でも、電子請求書ならリアルタイムで情報を共有・確認できます。その結果、承認フローや支払い処理のスピードが向上し、支払い遅延や確認漏れの防止も可能です。

請求書電子配信サービスを検討する際のステップと選び方

建設・建築業で請求書の電子化を進めるには、導入前の準備や適切なサービス選定が重要です。業界特有の複雑な業務に合わせたプロセスを設計することで、効果的に電子化を実現できます。ここでは、電子化の検討から導入までのステップと、最適なサービスを選ぶ際のポイントを解説します。

請求書電子配信サービスを導入するまでのステップ

建設・建築業では、多重下請け構造やプロジェクト単位での取引が多く、請求処理が複雑化しがちです。そのため、業務フローに即した電子化のステップを丁寧に設計することが、円滑な導入と定着の鍵となります。

① 現状の請求業務を棚卸しする

まずは、月間の発行件数や手作業で発生しているミス、郵送・印刷などのコストなど、現状の課題を明確にしましょう。たとえば、「現場ごとに書式が異なる」「請求書の控えがバラバラに保管されている」など、現場特有の課題も含めて整理することで、どの部分に電子化の効果があるかを明確にできます。

② サービス選定と比較

次に、請求書電子配信サービスの選定に移ります。単に法令対応(電子帳簿保存法やインボイス)を満たすだけではなく、業務フローとの親和性や操作性も重要な選定基準です。現場担当者でも扱いやすいUIが提供されているか、既存のシステムとの連携がスムーズかを確認します。導入後の業務負担や混乱を避けるためにも、関係部門への影響が少ない設計かどうかを確認しましょう。

例えば紙で行っていた時の業務フローを踏襲しながら違和感なく運用できるシステムかという点もポイントです。

③ 社内ルールの見直しとマニュアル整備

電子化の導入を円滑に進めるには、従来の紙ベースでの運用と新たな電子化運用の違いを社内全体で共有することが重要です。これには、新しいルールやマニュアルの整備が欠かせません。特に、現場と本社で業務が分かれている企業の場合、承認フローや請求書の管理方法を再設計することで、全体の運用がスムーズになります。

尚、キヤノンマーケティングジャパンの「bizform online 配信」は、帳票ごとに利用者の閲覧範囲を制御することができます。また、本社一括配信だけでなく、各支店からなどの配信にも対応可能で、組織の運用体制に合わせた柔軟な管理が実現できます。

④ 小規模からの試験導入

いきなり全社導入するのではなく、まずは支店や一部の取引先だけで試験的に運用を開始しましょう。実際の現場での運用に沿って問題点を洗い出し、改善を加えることで、本格的な導入に向けての準備が整えられます。

請求書電子配信サービスの選び方

請求書の電子化を進める際、建設・建築業に合ったサービス選定が重要です。以下のポイントを踏まえ、自社に最適なサービスを選びましょう。

① 建設業務に適した機能があるか

建設・建築業では、案件ごとの管理や原価連動、多様な請求パターンへの柔軟な対応が求められます。こうした業界特有のニーズに対応している機能があるかを確認しておきましょう。具体的なチェック項目は以下の通りです。

  • 既存フォーマットの利用:現在の請求書フォーマットを変えずに電子化できるか。
  • 一括検索・帳票出力機能:再発行や過去データの確認作業をスムーズに行えるか。
  • 既存のソフトとの連携:既存のシステムとスムーズに連携できるか。
  • 付随する書類の添付:納品書、契約書、伝票など請求書に付随する書類も添付できるか。
  • 郵送との併用可能:切り替えができない取引先には郵送代行と併用できるか。

これらの機能を備えているサービスを選ぶことで、業務の効率化を図れます。

② 電子化によって期待できる改善効果

建設・建築業では、帳票作成や確認作業が担当者に属人化しているケースがあり、業務改善の効果が数字として見えにくいという課題があります。そのため、請求書電子配信サービス導入前にどの業務にどれだけの効果が期待できるかを整理し、試算しておくことが重要です。

特に、次のような視点から効果を測ってみると、導入判断の指標になります。

  • 作業時間の削減効果:請求書発行、送付、管理にかかる時間がどの程度短縮されるか。
  • コスト削減効果:紙や印刷代、郵送費など物理的なコストをどれだけ減らせるか。
  • ミスの防止・精度向上:入力・送付ミスの発生リスクをどれだけ軽減できるか。

導入前にデモンストレーションや具体的なコスト削減効果に関する相談ができるサービスもあるため、試用して効果を確認するのも有効です。

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③ サポート体制が自社に合っているか

電子請求書サービスは、導入後も継続的な運用が必要になります。そのため、サポート体制が十分かどうかも、選定の重要なポイントです。特に、以下の点を確認してみましょう。

  • 導入時のサポート:設定や社内展開を支援してくれるか。
  • 取引先への対応支援: 導入時の混乱やトラブルを未然に防げるか。
  • 法制度に関する対応支援: 法改正時にも安心して使い続けられるか。
  • 受付時間・対応手段の充実度: 現場が稼働する時間帯に対応してくれるか。

サポート体制がしっかりしていれば、導入後の運用がスムーズになります。

④ 法令対応の信頼性

日本では、電子帳簿保存法とインボイス制度が適用されているため、これらに対応したサービスを選定しましょう。

電子帳簿保存法では、請求書を電子的に保存する際、法定の形式に従わなければなりません。対応していないシステムを選ぶと、保存された請求書が法的に無効となる可能性があります。そこで、法令準拠が確認されているJIIMA認証(公益社団法人日本文書情報マネジメント協会)を取得しているサービスを選ぶと安心です。

2023年10月から導入されたインボイス制度では、適格請求書の発行が義務となりました。対応していないサービスを選ぶと、取引先が仕入税額控除を受けられず、取引に支障をきたす恐れがあります。導入前には、法令への対応状況をしっかり確認することが大切です。

まとめ

建設・建築業では、紙の請求書対応や関係者とのやり取りが煩雑になりやすく、業務効率の改善が急務です。請求書の電子化は、コスト削減に加えて、ヒューマンエラーの防止や作業時間の短縮といったメリットをもたらします。これにより、経理業務の時短・正確さ・コストダウンを一度に実現することができます。

キヤノンマーケティングジャパンの「bizform online 配信」は、現在の請求書フォーマットを変えることなく電子化ができます。さらに明細書などの関連書類も一緒に配信ができ、あらゆるシステムと柔軟な連携が可能です。

具体的なコスト削減効果を試算できるシミュレーションもございますので、お気軽にお問い合わせください。

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