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ワークライフバランスとは?その目的やメリットを分かりやすく解説!

  • 働き方改革

政府が推進する働き方改革をきっかけに「ワークライフバランス」という言葉に再び注目が集まっています。ワークライフバランスは、従業員の多様な働き方や自己実現といったテーマと結びついていると同時に、企業にとっても重要な課題の一つとして位置付けられています。本記事ではワークライフバランスとは何か、ワークライフバランスが注目されている背景やそのメリット、ワークライフバランスの向上に取り組む企業の成功事例などを紹介します。働き方改革やワークライフバランス制度の導入について悩んでいる企業担当者の方は、是非参考にしてみてください。

目次

  • ワークライフバランスが注目されている背景
  • ワークライフバランス憲章とは?
  • ワークライフバランスに取り組むことで得られるメリット
  • ワークライフバランスに取り組む目的を明確にする
  • 制度を利用しやすい雰囲気や環境を整える
  • 制度の見直しを定期的におこなう

ワークライフバランスとは?

ワークライフバランスとは仕事と生活の調和がとれた状態のことを言います。

よく誤解されがちですが、ワークライフバランスは単に「仕事よりもプライベートを優先する」という取り組みではありません。従業員の生活を支え、やりがいを与える仕事と、家事や育児、家族と過ごしたり自分の趣味を楽しんだりする私生活、そのどちらをも充実させることで相互に良い影響を与え合い、好循環を生み出そうというものです。仕事だけに追われていればストレスや過労から健康を害してしまう恐れがあります。また、家事や育児・介護など家庭の事情で仕事ができずにいると、経済的に自立することができません。

従業員一人一人が仕事にやりがいや充実感を感じながら働き、人生のライフステージに応じた多様な生き方・働き方が選択できる。それを可能にするのがワークライフバランスです。

ワークライフバランスが必要な理由

では、なぜ今ワークライフバランスが必要とされているのでしょうか。

ワークライフバランスが注目されている背景

育児・就労の両立支援

共働き世帯の増加や女性の社会進出が、ワークライフバランスの推進につながっています。

かつては結婚・出産を経て働き続ける女性は少なく、「男性は外で働き、女性は家庭を守る」といった性別役割分担が社会に色濃く残っていました。しかし、現在では結婚や出産後も就業を続け、キャリアの構築を望む女性が増えています。

男性の家事・育児参加も進む中、出産・育児による離職の防止やキャリアへの影響を防ぐためにもワークライフバランスの実現が求められています。

少子化・高齢化に対する労働人口の確保

ワークライフバランスが必要とされる背景には企業が労働力人口を確保するための施策としての背景もあります。

急速に進む少子化・高齢化による慢性的な労働力不足は、今や日本社会全体の深刻な問題となっています。人手不足による倒産や従業員の過重労働など、労働力人口の減少は企業や働き手に甚大なダメージを与えます。また、長時間労働による従業員の生産性の低下やストレス、鬱病の発症、仕事と家庭が両立できないことによる離職などは、従業員本人はもちろん企業にとっても看過できない大変な損害となるでしょう。

ワークライフバランスを整えることは、人材を定着させ誰もがいきいきと働き続けられる職場を作るためにも重要な取り組みと考えられています。

多様な働き方・価値観(勤労観)への対応

仕事に対する価値観の変化や働き方の多様化もワークライフバランスが注目されるようになった理由の一つです。

かつての時代の日本社会においては「私生活よりも仕事を優先する」「誰よりも長く働く」といった価値観が重視されていました。しかし、昨今は長時間労働による心身の健康障害や過労死などが問題視されるようになり、仕事偏重型の価値観は変わりつつあります。また、女性や高齢者、外国人労働者など日本の労働市場に多様な属性の人々が増えています。これまでのような週5日1日8時間働くという、いわゆる「普通の正社員」の画一的な働き方だけでは、企業の人材採用は困難なものになってしまうでしょう。

新しい価値観や多様な働き方に柔軟に対応し、ワークライフバランスを整えていくことは企業にとって大きな課題です。

ワークライフバランス憲章とは?

2007年に策定されたワークライフバランス憲章は、ワークライフバランス実現のための取り組みの大きな方向性を示したものです。

本憲章ではワークライフバランスの重要性や、目指すべき社会の姿についても提示されており、「仕事と生活の調和が実現した社会の姿」として以下の3つが挙げられています。

  • 就労による経済的自立が可能な社会
    • 経済的自立を必要とする者(若者や母子家庭の母など)がいきいきと働ける
    • 結婚や子育てなどの実現に向けて経済的な基盤を確保できる
  • 健康で豊かな生活のための時間が確保できる社会
    • 働く人の健康で豊かな生活が保持されている
    • 家族や友人との充実した時間、自己啓発のための時間などをもてるゆとりのある生活ができる
  • 多様な働き方・生き方が選択できる社会
    • 年齢や性別に関わらず、さまざまな働き方や生き方に挑戦できる機会が提供されている
    • 子育てや介護など、個人の状況に応じて多様で柔軟な働き方を選べる
    • どのような働き方を選択しても公正な処遇が確保されている

ワークライフバランスに取り組むことで得られるメリット

ワークライフバランスに取り組むことで得られるメリットを、働く個人と企業の両面から見ていきます。

働く個人(従業員)にとってのメリット

従業員にとってのメリットは、生活や健康を守りつつ、多様な働き方ができる点にあります。

ワークライフバランスが整うことで育児・家事や趣味の時間を確保でき、プライベートを充実させることができます。資格の取得やスキルアップと言ったキャリア形成や、副業など自己実現にチャレンジすることもできるでしょう。また、プライベートの時間を確保することで、ストレス解消やリフレッシュができれば仕事のモチベーション向上にも繋がり、仕事と私生活の良い相乗効果が生まれます。

企業にとってのメリット

ワークライフバランスの実現は従業員の働きやすさだけではなく、企業にも大きなメリットのある取り組みです。

企業がワークライフバランスに取り組むことによって、従業員の業務効率や生産性の向上につながります。現在働いている従業員の満足度が高まれば離職者が減少し、人材が定着しやすくなるでしょう。また、ワークライフバランスの実現は企業の雇用獲得においても大きな武器となります。

「仕事と生活が両立しやすい企業」「働きやすい企業」であることを求職者にアピールすることで企業イメージが向上し採用力アップ、ひいては優秀な人材の獲得も可能になります。

ワークライフバランスに取り組む際の注意点

では、企業がワークライフバランス向上に取り組む際、どんなことに注意すべきでしょうか?

ワークライフバランスに取り組む目的を明確にする

ワークライフバランスの向上に取り組む企業においては、取り組む目的やその意義、目的を明確にしなくてはいけません。

ワークライフバランス推進担当者は従業員にはもちろんのこと、経営陣にもワークライフバランスに取り組む目的やその取り組みが目指すゴールをしっかりと理解してもらう必要があります。多くの人によくありがちな誤解が「仕事を減らして私生活を充実させる施策」「女性のためだけの取り組み」というものです。

ワークライフバランスの向上はすべての従業員の働きがい・働きやすさの実現だけでなく、企業経営においても業務効率化・生産性向上など大きなメリットをもたらすものです。ワークライフバランスに取り組む際には、勉強会やセミナー、社内報などさまざまな発信方法で取り組みの目的や意義を全社に周知しておく必要があるでしょう。

制度を利用しやすい雰囲気や環境を整える

ワークライフバランスを実現するために制度・施策を導入したものの、実際に利用する人がいないのでは意味がありません。

利用しにくい雰囲気や職場環境があり、せっかくの制度や施策が活用されず形骸化してしまうというケースは多くの企業でしばしば起こり得るものです。また、新しい制度が浸透するまでには時間もかかるでしょう。

制度の運用・利用推進においては、管理職自らが率先して制度を利用する、経営層がトップメッセージとしてワークライフバランス推進について発信するなど、社内の意識改革を促す環境整備も重要です。

制度の見直しを定期的におこなう

ワークライフバランスの取り組みは即座に良い結果が現れるものではありません。導入してすぐに期待通りの成果をあげるということは難しいでしょう。

制度運用開始後は定期的に効果測定を行い、制度の進捗状況や導入の効果を検証していく必要があります。運用が上手く進んでいない場合は、制度の改善や施策のアプローチ方法を変える必要があるかもしれません。社内で意見交換をする、アンケートなどを取るなどして率直な意見を募り、都度、施策へ反映させていくといった方法も有用です。

また、ワークライフバランスの向上が従業員にとって果たすべきノルマとなってしまっては、意味がありません。良い事例を社内で表彰したり、部署ごとに進捗を競い合ったりするなど、楽しみつつ目標を達成できるような工夫をしてみましょう。

ワークライフバランスに取り組む企業の事例

実際にワークライフバランス向上に取り組み成果を上げている企業の事例を紹介します。

①株式会社ブリヂストン

株式会社ブリヂストンは2017年に「働き方変革連絡会議」を設置し、従業員のワークライフバランスの向上にさまざまな施策で取り組んでいます。以下にあげるのは同社が行った多様な取り組みの一例です。

働き方について

所定労働時間の削減(8時間→7時間30分)
フレックスタイム制の導入
在宅勤務・テレワークの導入
定時退社日の設定
オフィスカジュアルの導入

仕事と育児・介護の両立支援

事業所内保育園の開設
キャリアサポートセミナー(女性のキャリア支援)
専門家による介護セミナー
育休者の不安を解消する育児休職者セミナー

これらの施策によって、2013年から2018年の間で平均有給休暇取得日数は2.7日増加、テレワーク利用者数は83人から1,276人に増加、介護休暇取得者数も約2倍に増えました。

②サイボウズ株式会社

サイボウズ株式会社は制度の整備・ツールの活用・風土の醸成の3つの柱で働き方改革を実現しています。同社の理念は「100人いれば100通りの人事制度」。社員それぞれの自由な働き方を尊重するユニークな取り組みを多数導入しています。

働き方宣言制度:ライフステージの変化に合わせて勤務時間や場所を自分で決められる制度。育児介護だけでなく副業通学をする従業員も対象。

ウルトラワーク:2010年にスタートした在宅勤務制度を進化させたもの。チーム個人の生産性向上を目的に、働き方宣言制度で宣言した働き方と異なる働き方をすることをウルトラワークと呼ぶ。

育自分休暇制度:再入社制度のこと。一度退職した人でも最長6年間はサイボウズへの復帰が可能。一度会社を辞め経験やスキルを積んで再度サイボウズに戻ってくることができる。

これらの施策によって、2005年には28%だった離職率を、2022年には3%前後にまで減少させました。

③株式会社お佛壇のやまき

株式会社お佛壇のやまきは、有給休暇を100%消化した社員に会社から10%のボーナス休暇と金一封を付与するなど、他社にはない独創的な取り組みで話題になりました。取り組みを始めたきっかけは、従業員の行動を分析していた社長が、残業をせずに休暇をしっかり取得している従業員ほど売上成績が良いことに気づいたというところから始まっています。

同社は先に挙げた有給休暇消化徹底の取り組みのほか、以下のようなルールや制度も導入しています。

プレミアムフライデー(毎月最終金曜日は14時帰社)
ファミリー休暇制度
時間外労働の制限
休日の選択自由化

その結果、有給消化率は98%を達成し、業績も40%アップするといった仕事と生活の好循環を実現しました。

④株式会社資生堂

株式会社資生堂はフレックスタイム制度や在宅勤務制度のほか、保育サービス・保育費・教育費の補助など、仕事と家庭の両立を重視した制度を行っています。同社のワークライフバランス制度の特長は、男女ともに育児・介護などのライフイベントを経てもきちんとキャリアアップできる体制を目指したところにあります。

同社は女性社員の割合が高く、仕事と家庭の両立支援制度において男性社員の制度の利用率が低い点を課題としていました。そこで2週間以内の育児休業を有給にし、条件を満たせば繰り返し育児休業を取得できるなど男性社員の育児休業取得を促進する制度を実施。これにより2021年末時点で同社の男性社員の育休取得率は34.3%にまで向上しました。

男性の育休取得率の全国平均は17%(2023年7月発表値)であることと比べると、同社の取り組みはかなり効果的なものだったと言えるでしょう。

ワークライフバランスの向上に役立つBPO

ワークライフバランスの実現は単に従業員の働きがいや自己実現に寄与するだけではなく、企業にとっても生産性や業務効率の向上・人手不足の解消といった経営上の課題を解決する重要な取り組みです。

生産性や業務効率改善のための一策として、業務の一部を外部に委託するBPOがあります。企業の経営課題解決の実現において、業務の効率化・最適化などBPOが貢献できることは少なくありません。

業務をアウトソーシングするメリット

  • リソースをよりコアな業務に集中させることができ、生産性向上や業務効率の改善が期待できる。
  • 業務の量やニーズ、繁閑に合わせてカスタマイズすることができるので、従業員の負担を軽減し、働きやすい環境を提供することができる。
  • 業務の効率化が図られることで、従業員はより効率的に業務を遂行することができ、働き方や労働環境が改善され、仕事とプライベートのバランスを取りやすくなる。

自社の課題解決の手段として外部リソースに目を向けてみてはいかがでしょうか?これからの経営戦略にBPO活用の余地や、BPOが自社にもたらす効果について、検討していただければと思います。

私たちキヤノンマーケティングジャパングループは、お客さまのビジネス変革を、ITとBPOで支援します。BPOの活用方法やその効果についてなど、ご相談、お問い合わせをお待ちしております。

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