第2回 撮影篇EOSムービー商品化プロジェクト
動画のチカラを、店の魅力に。
EOSムービー商品化プロジェクト第2回は「撮影篇」。スタビライザーやレールといった周辺機材を使った動画撮影のコツを学びます。
第2回は、いよいよ撮影のコツを学びます。
Step1 「編集」を意識して撮影しよう
動画は「編集」によって成り立つもの。
つねに編集することを意識して撮影してください。
小野寺:準備篇では、動画を撮るための基礎を学びました。もう一度、「動画と静止画の違い」を再確認しておきたいと思います。岩塚さん、どうですか?
岩塚:静止画は瞬間を切り取るもので、動画は過程を切り取ってストーリーを作る。
小野寺:はい、ばっちりです。では、動画の3つのポイントを覚えていますか。
加藤:カット割りでストーリー性を出す。
相磯:アクションとリアクション。
小野寺:そうですね。もう一つが、フォーカスを操り想像力をかき立てる、でしたね。そして、これらは撮影するだけで成り立つものではない。編集が必要です。動画は編集をすることによって初めて成り立つんですね。つまり撮るとき、編集を意識した撮影を行うことが大事になってきます。その理由は間島がお話します。
間島:私は、今だいたい1回の結婚式で100カット程度撮るんですけど、ビデオグラファーとして撮り始めた当初は200カットとかただやみくもにいっぱい撮っていて。編集を意識していなかったので、それでもう、あとあと編集がとても大変だったのを憶えています。
小野寺:編集を意識して撮影するようになると、カット数は自然と絞られてきます。これから皆さんも実際に動画を撮るわけですが、つねに編集のことを念頭において撮影してください。
ここがポイント!
Step2 得意なパターンをつくろう
商品化のためには、撮影効率も重要です。
撮り方をパターン化して、すぐに使える“引き出し”を増やしてください。
小野寺:動画を商品化した場合、皆さんが先陣を切って取り組まれていくと思いますが、実際に業務としてスタートすると、お客さまにとっていい動画を次々と作っていかなければならない。すると「撮影効率」を上げることも重要になってきます。そこで役立つのが、撮り方をパターン化すること。パターンをいくつも持っていれば、現場でその都度悩むことなく撮影業務を進められ、編集もラクになります。私と間島も何度かお子さんを撮らせていただいたことがあるのですが、その経験から「あ、この撮り方、パターン化できるな」って思ったものがありますので、今回はそれを提案させていただきます。
パターンA:家族の来店シーン
来店時の様子を撮っておけば、ムービーの導入として使えます。
小野寺:では、パターンAですね。撮影のときに、だいたいお父さん、お母さん、お子さんでお店にお越しになる。店舗に入ってくるその瞬間をまず撮っちゃいます。
さらに、スタジオに入るときにはたぶん靴を脱いだりすると思うんですけど、お父さんの大きい靴、お子さんの小さい靴、お母さんの中ぐらいの靴という絵を撮ります。もうこれだけで2カット。導入の部分で使えるような、絵になる動画を押さえることができますよね。
パターンB:その日の天気を映す
晴れだったのか、雨が降っていたのか、天気はその日を思い起こさせてくれるファクターになります。
小野寺:パターンBは天気です。その日の天気を動画として残しておいてあげると、それを見たときに家族は「あ、そう言えばあの日は天気良かったね」とか、「すごい風が強い日だったな」とか、その一日を思い返せる要素になるんですね。なので、晴れの日は、晴れならではの気持ちのいい風景を撮る。雨だって、動画はすごくきれいに撮れます。絵的に美味しいものが撮れると思います。
パターンC:親の目線で捉える
小さなお子さんを大人の目線の高さで撮る。
お父さんやお母さんの気持ちになったムービーを撮ることができます。
間島:皆さん、POV、ポイント・オブ・ビュー(Point Of View)という言葉をご存知ですか?
相磯、岩塚、加藤:?????
小野寺:カメラの視線と登場人物の視線を一致させるようなカメラワークです。ポイント・オブ・ビュー、ぜひ覚えてください。
間島:私があるときシャボン玉で遊んでるお父さんとお子さんを撮っていたときのことをお話します。最初は二人を横から引きで「シャボン玉をやってる」という構図で撮っていたんですけど、次にお子さんの表情を撮るときにお父さんの目線の高さに合わせたらいいと思ったんです。そうすると映像がお父さんの気持ちになる。子どもって成長が早い。小さいときだからこそ親の目線の高さに合わせて撮ると、後々見返したときに、お客さまもすごく思い出しやすくなると思います。お父さん目線だから、あえて手ブレさせるのもいいかもしれませんね。
パターンD:子どもを中心に回る
スタビライザーを使って、お子さんを中心にぐるっと回って撮影。ダイナミックなシーンを描けます。
小野寺:最後の提案は、スタビライザーを活用したパターン。スタビライザーを使って、遊んでるお子さんをまん中に置いて、コンパスで描くみたいに、ぐるっと回りながら撮るんですね。すると、遊んでるお子さんを中心にして周囲の風景が動いていくから、とてもダイナミックな絵が撮れます。スタビライザーを使うときにはカメラに広角レンズを付けていますので、そのまま遊んでるお子さんの表情を寄りで撮ったりとか、構図としても面白い絵が撮れ、カット数も稼げます。
小野寺:今日は私たちから4つのパターンを提案しましたが、ぜひ皆さんもこうしたパターンを作り、他のスタッフの方と共有してください。パターンが増えれば増えるほど、編集を意識した撮影を効率よくできるようになる。そして編集作業もラクになるので、より良い商品をどんどん作っていけるようになると思います。
Step3 スタビライザーはバランスが大切
バランスをとるには“慣れる”のが一番。
スタビライザーを構えて、歩いたり走ったり。練習してみてください。
間島:先程スタビライザーを活用した撮影のパターンをご提案しましたが、スタビライザーを効果的に使うことで映像をより魅力的で深みのあるものにすることができます。そこで、ここではその使い方のコツについてお話したいと思います。じゃあちょっと、皆さん持っていただけますか。ここを、はい。持ってみて。
岩塚:ズシリときますね、重さが。
加藤:これ片手で持つんですか。結構重い(笑)。
相磯:重いしグラグラするし。どう操るんですか?
間島:これは練習あるのみで。グラグラ、すごいグラグラするんですよ。私、地元が浅草なんですけど、さっきまで浅草寺の境内でこれをずっと練習してたぐらいです。
相磯、岩塚、加藤:えー、すごーい。
小野寺:わが社のビデオグラファーも、みんな公園とか、自宅の近所で、これを持って走るって言ってました。
間島:そういうことで、スタビライザーを使いこなすためには、まずバランスをしっかりとること。ポイントを整理しましたので、スタビライザーを使って動きに慣れてください。
Step4 レールはいつも一定のスピードで
視点を滑らかに水平に移動できるレール。
その使い方の基本は、スーッとゆっくり動かすことです。
小野寺:次はレールの使い方です。スライダーとも言いますね。レールを使うと動きのないシーンでも「動いている感」を演出できます。たとえば被写体が座っている場合、そのまま撮っても動きはでませんが、レールを使って被写体の手前にある壁など物陰から撮り始めると動画的になります。また、静止している小物もレールで撮れば動画として表現できます。
間島:手持ちだと難しい低いアングルも安定して撮れるというメリットもあります。
小野寺:そうですね。実際使うときのポイントとしては、速すぎず、遅すぎず、スムーズにスーッと一定のスピードで動かす。がたつきが少し出るだけで、やっぱり映像的に見た目が悪くなるので注意してください。
Step5 一脚はパン棒で固定する
パン棒は手で握って使うのではなく、脇にはさんで動きを固定するために使います。
間島:最後は一脚です。準備篇で、お子さんが思いがけず動いた場合などにレールから一脚に替えると便利という話をしました。一脚にはビデオ雲台をつけてカメラを取り付けますが、構えたときにビデオ雲台のパン棒を手で握って操作しがちですが、そうすると映像がブレてしまいます。パン棒は脇にはさんで撮影してください(①)。
それからこれはちょっとしたアドバイスなんですが、一脚は何段階かで伸張できるようになっていますよね。伸ばして高さを調節するとき、上から伸ばしてしまうと次の部分を伸ばすのが大変になってしまいます。伸ばすときは一番下から伸ばして調節してください(②)。
ここがポイント!
Step6 お店で動画を撮ってみよう
動画に関する基礎や機材の使い方を学んだメンバーは、それぞれの店舗で実際にお客様の動画撮影を行いました。
その様子をちょっとご紹介します。
静止画は作り込んでからシャッターを押しますが、今日はお客さまに合わせて、ずっと動いて撮っていました。
らかんスタジオ 相磯明来さん
お母さんの目線で赤ちゃんのハイハイを撮ったのが、いつもの撮影と違って新鮮でしたね。
ホリーホック 岩塚麻沙さん
ステディカムは練習が必要ですが、使いこなせたら臨場感のある絵が撮れると思います。
ハピリィ 加藤美貴子さん