BPO導入により年末調整業務の大幅な負担軽減と時間外労働削減に成功株式会社ニッスイ
業種:水産|従業員数:1,485名(個別)/9,515名(連結)| 成果:業務効率の向上・安定稼働、働き方改革
「人にも地球にもやさしい食」を届ける企業として働き方改革や健康経営にも力を尽くす株式会社ニッスイ
1911年に創業し、一隻のトロール船からスタートした株式会社ニッスイ。世界各地で漁獲した魚の加工を手がける水産事業を軸に成長を重ね、現在では冷凍・レトルトなどの長年培った技術や独自の研究開発力を活かして、幅広く「世界の食」を支える業界屈指の企業として確かなブランド力を誇っています。
2023年、同社では長年の課題となっていた煩雑な年末調整業務の平準化に着手。特に毎年10月から翌年1月にかけて業務が集中する担当社員の時間外労働削減や通常業務の最適化を図るため、キヤノンマーケティングジャパン(以下、キヤノンMJ)の年末調整アウトソーシングサービスの運用をスタートし、着実に成果を上げています。人事部・社員支援課の中林氏、田中氏、山本氏に、導入の背景や選定理由、運用の効果などについて詳しく伺いました。
01 導入背景約2,600名分の従業員の年末調整業務で人事部メンバーの疲労困憊が顕著だった
どの企業でも年1回、必ず行わなければならない年末調整。多くの従業員を雇用する大手企業ほど、業務負担が掛かるとされています。株式会社ニッスイでは、具体的にどういった課題があったのでしょうか。
通常業務との兼務で時間外労働が月40時間を超える者も
年末調整は、10月の準備段階から11月の申告書チェック、12月の本調整、1月の再調整まで、長い期間を使って対応しなければならない人事部にとっての一大業務です。例年、11名程の人事部メンバーが、生産工場で働く約800名分を担当する紙申請チームと、約1,800名分を担当するWEB申請チームに分かれて対応しています。
書類の印刷、配布、回収、開封をはじめ、やるべき作業が山積みになるため、時間外労働が月40時間を超える者が半数を超えるなど、メンバーの疲労感が顕著な状況に。さらに、来期に向けて人事給与システムの刷新を予定しており、その準備と併せて年末調整業務を兼務しなければいけなかったため、効率化を図りながら時間を捻出していく必要がありました。(山本氏)
人事異動による担当者の入れ替えも不安要素に
特に2023年度は大きな戦力となっていた熟練担当者の複数名が別の課へ異動になるといった状況も重なり年末調整の経験が少ないメンバーも含めてチェック業務を進めていかなければならず課内体制に対する不安がありました。
私自身も人事部社員支援課に異動になったばかりの年でしたので、通常業務と年末調整業務の兼務にプレッシャーを感じていたのは確かです。課員の作業工数や負担を減らし、できるだけ業務を切り出せなかと検討し、そこで導入に踏み切ったのがキヤノンMJの年末調整アウトソーシングサービスです。まずは1,800名分のWEB申請の方の業務をお任せすることにしました。(山本氏)
02 選定理由大手企業の年末調整業務を数多く手がけてきた実績とプロの総合力
選定の3つのPOINT
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確かな信頼性
充実した情報セキュリティ対策とチェック体制
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高度な専門性
幅広いシステムの操作技術やノウハウを保有
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親身な対応力
各企業の課題に合わせたオーダーメイドサービス
毎年10月~1月に業務がひっぱくする人事部の課題解決の方法として、キヤノンMJの年末調整アウトソーシングサービスを選択した理由はどこにあったのでしょう。提案内容や決め手などをお伺いしました。
優れたリスクマネジメントによる確かな信頼性
年末調整は、決められた納期までに正確に手続きを完了しなければなりません。しかも、個人情報を取り扱うため、外部に業務を委託するとなると信頼度の高い企業であることが大前提だと考えていました。実際に複数社から話を聞いて情報収集する中でキヤノンMJさんを選ぶ決め手となったのが、情報セキュリティ対策と各業務プロセスにおけるチェック体制の充実度です。年末調整を担う専門スタッフの育成プログラムや実務の過去事例についてなど詳しく説明していただけたほか、提案内容が具体的だったので優れた業務品質が期待できると実感できました。(中林氏)
先進のシステムにも精通した高度な専門性
当社が使用している既存システムの仕様や操作方法についてもキヤノンMJさんは熟知されており、幅広いノウハウをお持ちであることも安心材料になりました。しかも、先述の通り当社では新しい人事給与システムへの移行を計画中ですが、そのシステムにも対応できると言い切っていただき、今後の長期的な取引を見据えたお付き合いができる点も選定に至った重要なポイントです。(中林氏)
それぞれの企業の課題に寄り添った親身な対応
委託内容の打ち合わせを9月より開始し、年末調整が本格的に始まる11月までに計5回実施していただきました。こうしたアウトソーシングサービスの導入・運用に向けたキヤノンMJさんの丁寧な説明や親身な対応は大変有難かったです。打ち合わせの中でお互いに不明な点をクリアにしていきながら随時相談に乗っていただき、新たな依頼事項が発生した場合も対応できる領域を明確に示していただけたので、両社の役割分担や導入後の運用体制についてもスムーズに整理できました。(田中氏)
03 導入後の成果1人当たりの時間外労働時間がピーク期で47%減少するなど大幅な業務負担の軽減に成功
煩雑な業務から解放され、社員の心身も健全に
2023年度の年末調整では、WEB申請が約1,800名分、紙申請が約800名分という申請数となりました。アウトソーシングサービス導入の初年度ということもあり、WEB申請分のみをアウトソーシングした結果、2022年度と比較するとWEB申請チームは6名から3名への人員削減に成功。その分を紙申請チームに割り当てることが可能となり、こちらは4名から9名に増員できました。
年末調整業務の7割近く占めていたWEB申請分を外部に委託したことで、大幅な負担軽減を実現できたのは間違いありません。
社内調べでは、年末調整における人事部社員支援課全体の作業時間が35%減少し、1人当たりの時間外労働時間はピーク期で47%減少したという成果が得られました。人事部メンバーの疲労や重圧も解消され、心身の健康面でも絶大な効果があったと評価しています。(田中氏)
社員支援や会社の発展につながる本来の人事業務にも注力
この数字は個人的な肌感覚ですが、これまでの年末調整においては、人事部社員支援課の総力を挙げて毎年100%~120%の労力で業務に当たっていました。ですが、アウトソーシングサービス導入後は80%くらいの力に抑えられ、20%を通常業務や新たな施策の検討などに適切に使えるようになったと感じています。
人事におけるコーポレートサービスはもちろん、従業員がより良く活躍できるための支援や環境づくり、会社の発展につながる企画など、本来やるべき業務と向き合い、考える時間を確保できるようになったことも大きな成果ではないでしょうか。(中林氏)
04 今後の展開さらなる業務効率化を図りつつ、あらゆる可能性を追求していく
年末調整アウトソーシングサービスの導入によって人事部の負担となっていた業務の平準化や通常業務の最適化を実現した同社。
最後に、今後の取り組みや展望について伺いました。
委託領域を拡大し、さらなる業務効率化を
2023年度はWEB申請分のみを委託させていただきましたが、今後は紙申請分のアウトソーシングも検討しています。当社は事業所が全国にあるため、遠隔での業務となるほか、契約職員や外国籍の従業員が多い上に職種によって勤務時間がまちまちで、さらに多様なシステムを使っている点など、その実現に向けての課題は山積みです。
しかし、年に1回の年末調整業務は全社員が億劫に感じているので、マイナスのイメージを払拭するためにも人事担当者として社内環境の改善にしっかり取り組んでいきたいと考えています。(田中氏)
常識にとらわれず、より良い業務のカタチを模索
中長期的な視点で見ると、年末調整業務を一貫してアウトソーシングにすることがゴールではありません。現時点で明確なビジョンがあるわけではないですが、現状の紙申請分をすべてWEB申請できるよう社内システム全体を刷新するなど、いろんな可能性があると思っています。例えば、個人のスマートフォンからAIのガイドを通して申請できるようにするといったこともありえるはずです。キヤノンMJさんの知恵を借りながら、これからもより良い業務のカタチを追求できればと考えています。(中林氏)
株式会社ニッスイ
事業内容:食品・水産・ファインケミカル事業他
従業員数:1,485名(個別)/9,515名(連結)
所在地:東京都港区西新橋1-3-1 西新橋スクエア
設立:1911年(設立1943年)
資本金:306億8,500万円
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本記事は取材時(2024年5月)のものです。
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