年末調整BPOの導入で時間外労働の大幅削減と人事業務の最適化を実現キヤノンシステムアンドサポート株式会社
業種:卸売・小売 | 従業員数:4,555名 | 成果:業務効率の向上、コスト削減、その他
約4,500名分の書類確認業務をすべてアウトソーシング
キヤノン製品の販売や先進のIT技術を駆使したソリューションを提供するキヤノンシステムアンドサポート株式会社(以下、キヤノンS&S)。ビジネスに最適なITの計画から選定、導入、運用・保守までの一貫したサービスで顧客の経営課題解決をサポートしています。同社では、約4,500名の社員の年末調整における人事部の時間外労働が長年の問題となっていました。
そこで導入したのが、2022年8月よりキヤノンマーケティングジャパン(以下、キヤノンMJ)グループの一員となった株式会社キュービーファイブ(以下、QB5)の年末調整BPOサービス。QB5は、人事・総務分野のアウトソーシングをメインとした事業を展開し、例年約120社70万人分の年末調整業務を一手に引き受けるプロ集団です。
キヤノンS&S・人事部の今井氏、林氏、QB5の佐藤氏に、その詳しい背景や導入の経緯、導入後の効果などについて伺いました。
01 導入背景人事部員総出でも連日の時間外労働が常態化していた
どの企業でも年1回、行わなければならない社員の年末調整。キヤノンS&Sでは、具体的にどういった課題があったのでしょうか。
人事部総出の人海戦術でも対応が困難
毎年11月~12月になると人事部のメンバーは、自分の通常業務と並行して年末調整業務に労力を割かなければなりません。特にこの時期は賞与計算や定期異動の関連業務などが集中していて、1年の中でも繁忙期といえます。16名の人事部全員で協力し合っても、毎日の時間外労働が常態化していました。
なかでも大変なのが、約4,500名の社員から提出される紙の申請書類のチェック。保険料控除の証明書が正しく添付されているか、金額はきちんと合っているかなど、人海戦術で内容を確認しなければなりません。膨大な数の封筒を一つ一つ手で開けるのさえ、大変な作業となっていました。(林氏(キヤノンS&S))
時代が求める在宅勤務の流れにも乗れない状況に
年末調整は年に1回。それだけに社員の皆さんも、申請のやり方や書類の記入方法について忘れてしまうわけです。申請方法については社内イントラに掲載するものの、「人事に聞いた方が早い」と考える社員からの問い合わせが重なり、その対応に追われてしまうのも大きな課題でした。
さらに、当時は、コロナ禍の真っ只中。感染拡大防止を進めるなかで、自分たち自身が在宅勤務をどう回していくのか苦慮する状況が続いていたのです。そうした中で提案を受けたのが、QB5の年末調整BPOサービスでした。(今井氏(キヤノンS&S))
02 選定理由年末調整業務における業界屈指の実績に裏付けられた、確かな専門性が決め手に
毎年11月~12月に業務がひっぱくする人事部の課題解決の方法として、QB5の年末調整BPOサービスを選択した理由はどこにあったのでしょう。QB5の提案内容と選択した決め手をお伺いしました。
数千人規模の企業の業務を担える対応力
年末調整業務のアウトソーサーは、税理士や社労士といった士業の方を含めると世の中に2~3万社あるとされています。しかし、キヤノンS&Sさんのような数千人規模の企業の年末調整をワンストップで担えるアウトソーサーは日本で数社しかありません。また、年末調整を含む人事業務において、キヤノンS&Sさんではキヤノン独自のシステムと他社の人事支援システムを複合的に使用されています。
こうした実態を踏まえ、業界トップラスの実績と幅広いシステムに精通している当社の強みをご説明した上で、業務負担の平準化プランや費用対効果をご提案しました。ただ、2021年の当時はキヤノンMJグループに入る前で、キヤノンS&Sさんのオンプレ型のシステム環境に入れなかったため、まずは業務範囲を整理。年末調整の場合、従業員対応と申請書のチェック、データ入力と大きく3つの流れがありますが、初年度は前段2つの業務を任せていただけるようお話ししました。(佐藤氏(QB5))
痒いところに手が届く、細やかな提案
2021年の夏ごろからデータの提供方法や個人情報の取り扱いについてなど、何度もすり合わせしていただきました。一番有難かったのが、BPOサービスにおける年末調整業務全体の見える化。工程表を作成いただき、人事部側の作業内容や社員の書類提出期限といった業務フローを提供していただけたので、とても分かりやすくイメージできました。さらに、打ち合わせを重ねる中で書類の提出期限などの社内通達方法についての細やかなアドバイスも。QB5さんの高度な専門性はもちろん、こうした親身な対応が導入の決め手となりました。(今井氏(キヤノンS&S))
03 導入後の成果煩雑を極める業務から解放され、通常業務に注力できるように
14名分の時間外労働ゼロを実現
以前は通常業務を終えた17時半くらいから、人事部内で普段は別の仕事をしてる社員にも手伝ってもらい、申請書類のチェックを「よし、今日は200件がんばろうか!」といった感じで行っていました。今では、その作業が一切ありません。2021年の導入から年々、業務効率が向上していて、クラウドで必要なデータの共有も簡単にできるようになりました。現在、人事部で年末調整業務に携わっているのは主担当の2名のみ。手伝ってもらっていた14名は、全員が年末調整業務から離れ、本来の業務に集中することができるようになりました。在宅勤務で行えるデータ処理などの業務に集中することができ、週1回の出社を推奨している在宅勤務も何の支障もなくできるようになりました。(林氏(キヤノンS&S))
通常業務に集中できるようになり、人事部のあるべき姿へ
今回の導入による最大の成果は、何といっても多忙な年末調整時期においても通常業務に注力できるようになったこと。
毎年11月~12月は賞与計算や定期異動における通勤費の変更や転勤の住宅援助金対応、各種手続きや届出といった業務が山積みになります。そうした通常業務に人事部として集中でき、部内で連携を図りながら会社の運営を適切に支えられるのは、本来のあるべき姿です。時間外労働が続き、疲れて帰る。そんな労働環境が改善し、一人ひとりが健やかにいきいきと仕事に打ち込めるようになったのは何よりの喜びです。(今井氏(キヤノンS&S))
適切な人材確保こそ、本質的なBPOのメリット
これは他社の事例を含めた導入の成果になりますが、当社の大手企業のお客様は、大抵、数年ごとに人事異動やジョブローテーションを行います。官公庁なら3年ほどで変わっていくのが一般的。つまり、継続的に年に1回の年末調整業務に携わる人材は少ないということです。
通常業務であれば、新人に対して先輩がOJTで指導できますが、年末調整業務はそうはいきません。担当できる人材の確保は難しいですし、そもそもあらゆる業界で人手不足が深刻化している昨今です。そんな現状において、業務の平準化や効率化にダイレクトに貢献できるBPOサービスの活用は、時代の流れと言えるのではないでしょうか。(佐藤氏(QB5))
キュービーファイブの年末調整アウトソーシングサービス体制の様子
04 今後の展開キヤノンMJグループの発展のため、つぎの時代を見据えて進化していく
年末調整BPOサービスにより、業務の効率化を実現したキヤノンS&S。
アウトソーシングの可能性を追求するQB5。その両社に、今後の取り組みや展望について伺いました。
新システムの導入やBPOの拡大で、業務効率化を加速
実は2024年からキヤノンMJグループで新しい人事システムの導入が予定されており、年末調整もこの新システムでの申請が予定されています。QB5さんは既にこのシステムを用いた年末調整の受託を経験されていることから、社員からの問い合わせにスムーズに対応してくれるはずです。各社員が直接、情報を入力していく仕様になるので、当システムの知見をお持ちのQB5さんには、操作指導などもお任せしたいと考えています。(林氏(キヤノンS&S))
BPO業界でのさらなるシェア拡大を目指す
キヤノンS&Sさんにおいては、年末調整を受託させていただいておりますが、まずは当該作業の精度アップが大前提。さらに新システム導入の際にも幅広く貢献できると考えています。また、キヤノンMJグループに加わったので、キヤノンMJグループのブランド力と数千人規模の営業力を活かして、これまで20年以上にわたって培ってきたノウハウやナレッジを強みに積極的に事業拡大を図っていきます。(今井氏(キヤノンS&S)(佐藤氏(QB5))
キヤノンシステムアンドサポート株式会社
事業内容:キヤノン製品の販売、および関連ソリューション、他社製システム機器によるコンサルティングセールス、他
従業員数:4,555名
所在地:東京都港区港南2-16-6
設立:1980年5月
資本金:45億6,100万円
株式会社キュービーファイブ
事業内容:人事・給与計算フルアウトソーシング、年末調整アウトソーシング、住民税アウトソーシング、他
所在地:東京都千代田区飯田橋3-11-13-7F
従業員数:66名
設立:2001年12月
資本金:1,000万円
-
※
本記事は取材時(2024年4月)のものです。
こちらの企業の導入事例をダウンロードする
「BPOソリューション」についてのご相談・お問い合わせ
キヤノンマーケティングジャパン株式会社 BPO企画部